モーニングセミナー
司会は馬嶋健一郎氏(亀田メディカルセンター)。講演は山田真善氏(国立がん研究センター中央病院)と杉本真樹氏(国際医療福祉大学大学院)が担当した。
山田氏は、AI技術を活用したリアルタイム内視鏡診断サポートシステムの開発について語った。内視鏡検査中のモニタ画像から病変の異常を検知することができるという。内視鏡検査での患者への負担軽減、人間の検出が難しい病変発見のサポートを目的としている。2018年に臨床検査し、薬事商品を経て、2019年にはグローバルでの普及を目指しているという。
杉本氏が語ったのは医用画像の立体化による画像診断の強化。CTやMRI画像を立体画像へと変換し、臓器や血管の位置関係や奥行がわかる「立体モデル」を作成することができるという。また、複数人でシェアできることから、手術シミュレーションや医学教育に有用性が高いことを説明した。
当番世話人の龍泰治氏(市立砺波総合病院)が登壇し、開会の挨拶を述べた。
基礎講座「大腸CT検査の基本に立ち返る」
司会に野崎良一氏(大腸肛門病センター高野病院)を迎え、準備、検査手技、画像診断の3ステップに分けて解説がなされた。担当したのは順に有馬浩美氏(大腸肛門病センター高野病院)、安田貴明氏(長崎県上五島病院)、加藤貴司氏(市立稚内病院)の3名。
有馬氏は前処置におけるタギングの重要性について語った。「タギングを行う事で、診断精度の向上、読影時間の短縮を実現できる。また、腸内洗浄剤を減量しても精度は変わらない。前処置の患者負担が軽減すれば、検査に対する受容性の向上につながるのではないか」と述べた。
続いて安田氏が、欧米のガイドラインをベースに、実際に現場で行っている検査手技を細かく説明した。「可能な限り低線量での検査をするべきだが、病変の形によっては見えにくく、精度に影響する可能性がある。2体位目や追加撮影で検討すべきだ」と語った。
加藤氏は、3D読影、2D読影の仕組みとそれらのメリット・デメリットを教示し、両者を組み合わせた読影の大切さを述べた。「熟練の医師においても、基礎は大切。学び直すことで我流の診断法もより精度を増すことができるのではないか。」と、熱く語った。
大腸CT検査ワークステーションから学ぶ実際の読影技術~読影の基本と学ぶべきコツ~
司会は松本啓志氏(川崎医科大付属病院)、藤原正則氏(亀田メディカルセンター)。実演に用いられたのは、株式会社AZE、富士フイルムメディカル株式会社の2社。実際に現場で使用しているという診療放射線技師2名が実演を行った。
教育講演 日本の大腸がん死亡を減らすために 今、私たちがなすべきこと ~大腸CTへの期待を含めて~
続いて松田一夫氏(福井県健康管理協会・県民健康センター)が、大腸がん検診に関する現状を報告した。先進諸国の中で最もがん死亡率が多いという日本。「大腸がんは治る病気。大腸がん死亡率を減らすには、就業の有無や会社規模を問わず、全ての人が検診を受けられる体制が必要である。」と声高に述べ、司会の永田浩一氏(国立がん研究センター)が「迫力のあるお話」と評した。
特別講演 大腸カプセル内視鏡の可能性(ColoCam-J study)
司会に遠藤俊吾氏(福島県立医科大学)を迎え、大宮直木氏(藤田保健衛生大学)が登壇し、「大腸カプセル内視鏡には欠点はあるものの、内視鏡検査への抵抗がある患者や医療機器・専門医のいない特定の地域で有用ではないか」と述べた。大腸がん検診の展望として、便潜血検査で懸念のある患者が精密検査として全大腸内視鏡検査を行うことを前提とし、患者が希望しない場合またはなんらかの要因により不可能な場合に、カプセル内視鏡検査と大腸CTを交互に行うモデルを提唱した。
最後に、主題の「大腸CT検査を当たり前の検査とするために ~より多くの方に受診いただくには~」に対し、9人の先生方が様々な視点から講演した。司会は木島茂喜氏(自治医科大学)、岩野晃明氏(徳島健生病院)。演者と質問者による熱い議論が交わされ、大盛況となった。
閉会の挨拶として、永田浩一氏が再登壇する。今回の学会成功を讃え、次回開催の案内で締めくくられた。第13回消化管先進画像診断研究会は、2018年9月9日(日)、大阪国際交流センターにて執り行われる。当番世話人は永田浩一氏。