キヤノンメディカルシステムズ(以下、キヤノン)は12月16日(日)、「画論26th The Best Image」を東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開催した。「画論 The Best Image」は今回で26回目を迎えるイベントで、ユーザーから応募を募り、診断・治療に必要な画像のクオリティはもとより、被検者へのメリット、撮影・処理技術の工夫等、臨床的価値(クリニカルバリュー)を総合的に判断することによる「最良のイメージ」の選定という試みである。
CT、MR講演では「AIとモダリティの融合による新たな進化」をテーマとして、富山憲幸氏(大阪大学大学院医学研究科 放射線統合医学講座 放射線医学教室 教授)の座長のもと開催された。
はじめに、CT部門で粟井和夫氏(広島大学大学院 医歯薬保険学研究科 放射線診断学研究室 教授)は、「Deep LearningがもたらすCT画質のquantum leap」をテーマに、放射線診断分野のAIに関して説明を行うとDeep Leaning Reconstruction(DLR)について「強力なノイズ低減にも関わらず、高い空間分解能を維持することが可能だ。また体格が大きい患者でも高画質で得られる可能性があり、頑健な画像再構成と考えられ、再構成時間はhybrid IRと同じである。今後、画像再構成の標準オプションとなる可能性がある」と述べた。
続いて、山下康行氏(熊本大学大学院生命科学研究部 放射線診断学分野 教授)は、「AI融合によるMRI診断の新しい可能性」と題して、AIの放射線領域へのインパクトについてDeep Learningの概略を踏まえて述べると、「画像診断の様々な課程において、AIは適応可能である。DLRは様々なシークエンスに用いることができ、MRI画質向上や撮像時間の短縮、高分解能画像の画質向上、定量解析の寄与が期待できるだろう。今後、臨床症例によるDLRの有用性の検証が必要である」と語った。
超音波講演では、「時代を先駆ける! 超音波画像診断の新たな進化」をテーマとして、平井都始子氏(奈良県立医科大学附属病院総合画像診断センター センター長・病院教授)の座長のもと開催された。
はじめに、嶺 喜隆氏(同社超音波開発部主幹)は、「キヤノンメディカルシステムズが提供する超音波装置の最新技術」と題して、「我々の技術はDifferential THI というイメージング技術で平成30年度全国発明表彰式で文部科学大臣賞を受けて、我が社の技術力が評価されたものとして嬉しい。心臓の壁運動を歪みで診る、肝臓を組織性状で診るなど今後もますます発展していく。特にViamo sv7は、いつでも超音波検査が診れるといものみも積極的にチャレンジしたい。同装置はタブレットタイプで新基準になるだろう」と述べた。
続いて、濵口浩敏氏(北播磨総合医療センター脳神経内科部長/脳卒中・神経センター副センター長)は、「Aplio iシリーズでみる 血管エコーの世界」というテーマで、「Aplio i シリーズは、詳細な病態評価を可能にしてこれまでの装置を遙かに凌駕している。特に705BXリニアプローブは脳梗塞の診断において、プラーク内部に血流が侵入し、潰瘍病変であることが観察され、臨床的有用性もとても高いものだ。またSMIにより、頸動脈潰瘍でも潰瘍病変が明瞭に描出されている。さらに超音波診断装置は適切な場所を考え、設置することが大事で、Viamo sv7を下肢静脈エコー検査に使用しており、首の動きがとても楽で満足した結果が得られている。我々は、Aplio i 800、Aplio500、Aplio a450などをそれぞれ、超音波検査室、手術室、救急室、外来などに置き、適材適所で活用することが望ましい」と語った。
最後に、瀧口登志夫氏(キヤノン代表取締役社長)は、「受賞された方は本当におめでとうございます。我々は、日々皆様の熱いご支援を頂き、機器開発をして参りました。臨床画像も常に変化をしてきました。昨今は機能診断の時代を迎えつつあり、キヤノンはAIを世界で初めてCTに搭載し、続いてMRにも載せていきたい。本日の講演で山下先生が仰られていたように、AIは放射線科の皆様にとっては役立つツールとなりえると思う。今後ともご指導ご鞭撻賜りたい」と述べ、閉会した。