オーグメニックス株式会社、前立腺がんにおける放射線治療に関するプレスセミナーを開催

2019.09.02
中川恵一氏
 オーグメニックス株式会社は、8月28日(水)にAP 東京丸の内(東京都千代田区)にて「前立腺がんに対する最新放射線治療と副作用低減の取り組み~患者様のQOL向上へ向けて~」と題したプレスセミナーを開催した。本セミナーでは中川恵一氏(東京大学医学部付属病院)による講演と、前立腺がん治療を受けられた患者さんと中川氏による対談が行われた。
 中川氏による講演では、がん治療全般における現状と課題や、前立腺がんにおける放射線治療について話題が上がった。前立腺がんの放射線治療は高齢や併発症で手術困難な場合でも治療可能なことが多いが、前立腺周囲の臓器に副作用が生じることが問題となっていた。その副作用低減の試みとして、「SpaceOARハイドロゲル」を取り上げられた。前立腺と直腸の間にゲルを挿入して直腸を前立腺から遠ざけることにより、高線領域が直腸に照射されるのを防ぐという。日本での実施施設も急速に数を増やしており、患者に大きな恩恵を与えているようだ。
 続いて、実際にSpaceOARハイドロゲルを使用して前立腺がんの放射線治療を行った患者さんとの対談が行われた。65歳男性の患者さんは、2年前にSpaceOARハイドロゲルの臨床試験を受けており、副作用は何も起きず今に至るという。患者さんのご家族の方でも前立腺がんにより30回ほど治療を行っていたというが、患者さんは5回の放射線治療で仕事に支障なく終わったと話した。「少ない回数で手術と同程度の治癒率が見込める放射線治療ですが、受診する患者さんが少ないのが現状です。患者さんが望んだ治療に辿りつく手段がないのも問題となっています」と中川氏は語った。