9月8日(日)、札幌医科大学附属病院(北海道札幌市)にて第15回消化管先進画像診断研究会が開催された。はじめに、モーニングセミナーにて永田浩一氏(福島県立医科大学/国立がん研究センター中央病院)が登壇し、大腸CT検査技師の認定制度について、認定制度のポイントや大腸CT検査の認定資格を取る必要性などが詳しく説明された。続いて、石井洋介氏(山手台クリニック/日本うんこ学会)が登壇し、自身が手掛けている大腸癌早期発見を目指すスマホゲーム「うんコレ」について「クリエイティブを利用したコミュニケーションデザインで、感情刺激レセプターを押すことで体験価値を変えることができる。届かない人に情報を届け、それにより行動変容を促す」と語った。
一般演題では、はじめに須川孝一氏(札幌中央病院)が「病院改築に向けた放射線科の準備と先行運用経験」と題して新棟移転に伴い導入される炭酸ガス自動送気装置の有用性の検証について発表し、「今後の大腸CT検査の積極的な運用に繋げていきたい」と述べた。次に、阪上洋道氏(新札幌豊和会病院)が自院の大腸CT検査における検査時間の推移に関して検査所要時間の短縮に向けた取り組みを発表し、「本検査ができるだけ受診者の負担が少なく、かつ精度の高いものとして広く一般的に行われる検査となるよう努力していきたい」と話した。続いて、川上 亮氏(JCHO 札幌北辰病院)が「腸重積様の変化を呈した結腸脂肪腫に大腸CT検査を施行した一例」を報告した。最後に、後藤秀樹氏(北海道消化器科病院)が「当院の大腸CT検査の現状と実際」と題して、自院の大腸CT検査の検査方法や運用方法が前処置から読影までの流れが詳細に紹介された。
続いて、「WSを用いて標準的読影を見直そう」と題してアミン㈱、㈱AZE、富士フイルムメディカル㈱によるプレゼンが行われた。その後読影の実演が行われ、各症例に合った各社WSの2D・3Dの有用性などが紹介された。
特別講演では、はじめに三澤将史氏(昭和大学横浜市北部病院)が「AIは大腸内視鏡神陵をどう変えていくのか?」のテーマのもと講演を行った。医療AIの普及が見込まれることでAI診断支援の普及により均てん化した医療が予想されるが、「AIは万能ではない。医師の判断が最優先である」と述べた。続いて、高山哲治氏(徳島大学大学院)が「癌のレディオミクスとAI診断」と題して、深層学習を用いたレディオミクスについて「レディオミクスデータをAIを用いて解析する研究が進んでおり、近い将来癌を初めとする種々の疾患の拾い上げ診断など様々な方面に応用されると考えられる」と語った。
次に、症例提示の発表が行われた。簡単な症例から比較的難しい症例まで、粘膜下病変や偽陰性症例などが発表された。
最後に「大腸CT読影における仮想展開像とフライスルーの接点」と題したパネルディスカッションが行われた。岩月建磨氏(松田病院)、満崎克彦氏(済生会熊本病院)は仮想展開像について、高林 健氏(斗南病院)、加藤貴司氏(北海道医療センター)はフライスル―について講演とディスカッションを行った。VGPを用いた場合の標準的な解析方法やPrimary3D法におけるフライスル―の特徴や課題が提示され、今後の必要性や活用について話し合われた。
閉会の挨拶では、遠藤俊吾氏(福島県立医科大学)より、次回は2020年3月14日に横浜での開催であることが発表された。