富士フイルム株式会社(以下、富士フイルム)はヘルスケア領域のより一層の事業拡大をめざし、2019年12月18日、株式会社日立製作所(以下、日立)の画像診断関連事業の買収を行うことを発表した。これにより同日、記者発表会が行われ、われわれも参加してきた。
まずは、富士フイルムホールディングス株式会社 代表取締役会長・CEO 古森重隆氏が登壇した。古森氏は富士フイルムの成長戦略について話した。
富士フイルムは変化への対応や変化を予測する事の一歩先にある、“自ら変化を作り出していく”経営を志しているという。そのなかで未来に向けて、基幹ビジネスであるヘルスケア領域への投資を実施し、約1,790億円で日立製作所の画像診断関連事業を買収した。この買収によって今後富士フイルムは、➀製品ラインアップの拡充、②富士フイルムの画像処理技術・AI技術と日立の製品を組み合わせることで革新的なソリューションの提供、③販売チャネルの相互活用によるグローバルでの営業力強化、そしてより優れた画像診断の提供を実現するという。
つぎに、同社 代表取締役社長・COO助野健児氏が登壇した。助野氏は富士フイルムヘルスケア領域の成長戦略について説明した。
今回の買収対象はCTやMRIなどの画像診断システムと、電子カルテなどの研究開発・製造・販売・保守サービスであるという。また、富士フイルムはこれまでX線画像診断や内視鏡・超音波といった各種製品事業と、ビック3に対抗可能な販売網を持つPACSブランド「SYNAPSE」を始めとする医療IT事業とが連携し合い成長してきた。これに加え、これからは日立の製品・サービスと統合することで、診断領域で成長し、病院への提案力向上や新しい価値の創出をめざしていく。具体案としては「REiLIを始めとした富士フイルムの高度な技術力と日立製品とを組み合わせ、付加価値の高いソリューションを実現する」、「富士フイルム製医療ITと日立製CTを組み合わせた製品を以前販売したところ市場で高い評価を獲得しており、これをより拡大して豊富な製品に展開していく」などを考えている。また、さらには富士フイルムの医薬・再生医療領域とのシナジーにより、診断だけでなく治療ソリューションまで提供する新しいビジネス構築も視野に入れているという。
今回の買収の売上効果に関しては、富士フイルムはヘルスケアの売上目標として1兆円規模(2020年代半ば)を掲げおり、今後は両社の有する販売チャネルを相互活用することで、新興国向けに、ミドルクラスの拡充路線でのメーカー経営を行っていくなど、よりグローバルな拡販をめざしていることを話した。
発表会では上記ご両名に加え、富士フイルムホールディングス株式会社 取締役兼 富士フイルム株式会社 取締役・常務執行役員 メディカルシステム事業部長 後藤禎一氏や、富士フイルムホールディングス株式会社 執行役員 経営企画部長 樋口昌之氏が登壇した。