キヤノンメディカルシステムズは12月15日(日)に「画論27th The Best Image」をキヤノン本社(東京都大田区)にて開催した。「画論 The Best Image」は今回で27回目を迎えるイベントで、ユーザーから応募を募り、診断、治療に必要な画像のクオリティはもとより、被験者へのメリット、撮影・処理技術の工夫等、臨床的価値(クリニカルバリュー)を総合的に判断することによる「最良のイメージ」の選定という試みである。
CT/MR講演では「臨床最先端~新たな診断の可能性~」と題し、CT部門では吉岡邦浩氏(岩手医科大学医学部 放射線医学講座 教授)、MR部門では青木茂樹氏(順天堂大学医学部・大学院医学研究科 放射線医学教室 放射線診断学講座 教授)の座長のもと開催された。
はじめにCT部門では陣崎雅弘氏(慶應義塾大学医学部 放射線科学教室 教授)は、「立位CT~重力下の人体の可視化」をテーマに立位CTの開発に至る経緯を述べて、「人体の形態を3次元で可視化できるようになって、造影X線検査が置換されたことをわかりやすく話した。そして、単純X線で診断されている立位の形態定量評価と機能評価を目指して立位CTを開発した。健康長寿を目指す現代社会において機能性疾患の早期発見に立位CTの活用が一つの手段になると考えている」と締めくくった。
続いて、MR部門では長縄慎二氏(名古屋大学大学院 医学系研究科 総合医学先行高次医用科学講座 量子医学分野 主任教授)が「Glymphatic SystemとMRI」と題し、Glymphatic System(脳の老廃物排泄機構)の概要を説明し、MRIでGlymphatic Systemを観察する方法を紹介した。「Glymphatic Systemは睡眠中に活発になり、脳を綺麗にする機能がある。しかし、外傷性脳損傷、くも膜下出血、脳梗塞等の病的な状態では働きが悪くなる。この働きがアルツハイマー病、緑内障、メニエル病等の神経変性に関与しているのではないかという報告が出ており、非常に注目を集めている」と語った。
超音波講演では「Beyond the 画論~平成から令和へ~」をテーマに、はじめに嶺 喜隆氏(キヤノンメディカルシステムズ超音波開発部)が「キヤノンメディカルシステムズが提供する超音波装置の最新技術」と題した講演として、プローブやアプリケーションなどの最新技術を中心に紹介が行った。
続いて松尾 汎氏(医療法人松尾クリニック)が「平成から令和の時代に受け継ぐ画論のこころ」と題して、画論について、これからの医療の課題、超音波の役割という三つのトピックスより講演が行われた。画論の始まりから振り返り、その間で起こった高齢者の増加や国民医療費や在宅医療などの課題を提示した。この課題に超音波検査はどう対応していくか、技師と医師、そしてメーカーが臨床のニーズに応えるべき必要性をそれぞれの立場から考えるべきだと述べた。
最後に瀧口登志夫氏(キヤノンメディカルシステムズ代表取締役)は「受賞された皆様、おめでとうございます。私共の「Made for life」というスローガンは、多くの患者様に私たちの商品、技術を臨床の現場で最大に活用されてこそです。今年はラグビーワールドカップで「ONE TEAM」という言葉が流行語大賞となり、一つにまとまれば何か大きなことができるということを実感できました。キヤノンのメディカル事業につきましても、「ONE Canon」としてグローバルに事業の統合を進めており、引き続きご支援のほどよろしくお願い致します。また、今年は令和元年、いくつか新しい試みに挑戦してきました。これからますますキヤノンメディカルシステムズとして、臨床の現場のお役に立てるようなサービスを提供できるよう精進していきたい」と述べ、閉会した。
●お問い合わせ
キヤノンメディカルシステムズ株式会社
https://jp.medical.canon/
表1 CT部門
1~160列部門 | ||
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【最優秀賞】 | 藤田医科大学病院 | 舌癌(SCC cT3N1M0) |
【テクニカル賞】 | 国立研究開発法人 国立がん研究センター 中央病院 | 肝門部胆管癌 |
日本赤十字社 岡山赤十字病院 | 腎細胞癌 膀胱癌 術後肺転移(単純CT) | |
【優秀賞】 | 日本赤十字社 足利赤十字病院 | 圧力勾配を考慮したCT-peritoneography |
東邦大学医療センター大森病院 | 超高精細CTを用いた胃がん術前CT | |
1~160列(心血管)部門 | ||
【最優秀賞】 | 医療法人社団水光会 宗像水光会総合病院 | CRT-D術前における冠状静脈洞評価 |
【優秀賞】 | 山口大学医学部附属病院 | 右足背の動静脈奇形 |
Aquilion ONE部門 | ||
【最優秀賞】 | 杏林大学医学部付属病院 | 心電図同期dynamic volume撮像を用いた可動性プラークの描出 |
【テクニカル賞】 | 大分市医師会立アルメイダ病院 | Excessive Dynamic Airway Collapse(EDAC)疑い |
【優秀賞】 | 日本赤十字社 さいたま赤十字病院 | アルコール肝障害+肝細胞がん再発 |
聖マリアンナ医科大学病院 | 両側遺残アブミ骨動脈 | |
Aquilion ONE(心血管)部門 | ||
【最優秀賞】 | 一般財団法人厚生会 仙台厚生病院 | 腎臓に優しいTAVI術前造影CTライクイメージング |
【テクニカル賞】 | 一般財団法人厚生会 仙台厚生病院 | 腎臓に優しいTAVI術前造影CTライクイメージング |
【優秀賞】 | 日本赤十字社 足利赤十字病院 | unroofed coronary sinus |
医療法人社団 CVIC 心臓画像クリニック飯田橋 | Bridge collateral | |
杏林大学医学部付属病院 | 乳児大動脈奇形 | |
社会医療法人 栗山会 飯田病院 | 急性冠症候群 |