シーメンスヘルスケア(株)は2020年8月20日、ウェブ配信にてシーメンスヘルスケア事業戦略説明会を開催した。
森 秀顕氏(シーメンスヘルスケア代表取締役)が今後の事業展開について語った。
2025年までの中・長期的な戦略フェーズとして2社を買収することを発表した。まず1社目はバリアンメディカルシステムズ社(以下、バリアン社)である。同社は先進的ながん治療を進める世界有数の放射線治療機器メーカーである。シーメンス社が買収することにより、がんと闘うためのグローバルリーダーとなり、先進的ながん治療を推し進めることを目指すという。2021年上半期には手続き完了予定だ。
続いて2社目はコリンダス社。同社は2019年12月に買収済みであり、また血管内治療支援ロボットで先駆的な会社だ。支援ロボットを使用することで、より安全で効果的な低侵襲治療を、迅速かつ正確に行うことができる。また、術者の被ばく低減も期待できる他、カテーテルやガイドワイヤーを正確にコントロールすることができ、リモートコントロールのコックピットを用いて手技が行える点も大きなメリットだ。
続いて森氏は具体的な日本における戦略について、「我々は、デジタルの技術革新で画像診断のポートフォリオを拡大する予定だ。イメージング事業ではデジタル技術を搭載した新製品の拡販やAI技術を用いた画像診断技術の効率性・生産性の向上を目指しているAI-Rad Companionの医療機器承認を6月に取得し、胸部CT画像AI解析受託サービスを開始した。
また常に質の高い画像診断・撮影を行う環境づくりを目指した、syngo Virtual Cockpitという遠隔検査プロトコル支援システムについても、遠隔サポートが可能になることで、離島やへき地医療などにおいて良質な検査をより多くの患者に提供することができる。このような医療サービス提供の変革を通じて、医療従事者の働き方改革もサポートしていくことも目的としている」と語った。
さらにteamplayという拡張性のある医療クラウドプラットフォームを展開。線量分析情報などの情報共有、teamplay Insightの利用統計分析ができるほか今後も多様なサービス展開を予定している。
2019年11月に画期的な血管撮影装置として発表されたARTIS icono D-Spinも注目を浴びている。同装置によって今までは診断と治療がそれぞれ別々であったが一度に診断と治療ができることから放射線被ばく線量低減も見込め、虚血性脳卒中患者に対する治療ワークフローの再定義がなされることも発表された。
最後に同社はCOVIT-19について、採血検体を使用して抗体検査キットを研究用試薬として受注を開始した。特異度・感度ともに99%以上であり、IgM抗体とIgG抗体の両方を検出することができる。また、COVIT-19のCT画像解析をAI技術によりアシストする臨床研究用ソフトウェアの開発も行っている。医療機関のバリュー向上を通じ、医療にかかわる人々にとって”信頼されるパートナー”を目指していく。
●お問い合わせ
シーメンスヘルスケア株式会社
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