バリアンメディカルシステムズがプレスセミナーを開催。脳腫瘍に関する放射線治療における実態と現状・最新治療法について

2021.04.13

転移性脳腫瘍の患者のSRT、SRSを非侵襲・短時間で効率的に行う新技術を提供

株式会社バリアンメディカルシステムズは、3月24日(水)、「脳腫瘍に関する放射線治療の実態と現状・最新治療法について」と題するプレスセミナーをオンライン同時配信で開催した。

同社は、多くの放射線治療法に対応できる汎用型リニアックで、主に転移性脳腫瘍の患者の定位放射線治療(SRT)および定位手術的照射(SRS)を、非侵襲、かつ短時間で効率的に行うことができる新技術を提供している。

セミナーの冒頭、福島権一氏(バリアンメディカル システムズ専務執行役員)が、同社の放射線治療装置の納入実績は、2019年時点において全世界で8,000台を超え、年間400万人以上の患者の治療に貢献し、日本でのシェアは52%を占めると紹介した。

福島権一氏

 

続いて青山英史氏(北海道大学放射線治療学教室教授)が、「転移性脳腫瘍の放射線治療」と題した講演を行った。転移性脳腫瘍の放射線治療法には、脳全体を広く照射する「全脳照射」と、転移病巣を1個ずつ照射する「定位放射線照射(定位照射)」があり、定位照射には「1mm以下の高精度で多方面から病変に集中して当てられる」などの長所があると述べた。全脳照射を省略した「定位放射線照射単独治療」には、正常脳の放射線障害の危険性が低いという長所、全脳照射併用時と比較して脳内の腫瘍再発率が2~3倍高いという短所があると報告した。従来の定位照射では、転移病巣を1個ずつ照射すると時間がかかり過ぎるが、定位放射線照射(SRS)新システムでは、治療時間は大幅に短縮され、転移病巣10個程度なら30分程度で治療できると語った

青山英史氏

 

最後に、手島昭樹氏(大阪国際がんセンター放射線腫瘍科主任部長)が、「汎用型リニアックにおける新しいSRT・SRSシステム」と題した講演をオンラインで行った。大阪国際がんセンターでは新しいSRS・SRTシステムを導入して約1年半が経過し、治療数はその前の同期間と比べ、約2倍を超えたと述べた。このシステムには「線量低減のための効率的なコリメータ角度の決定」「ほぼ全自動による最適化計算」などの利点があり、処理能力を向上させながら、高品質の脳定位放射線治療を提供できると紹介した。

手島昭樹氏