島津製作所は2月3日、高速液体クロマトグラフ「Nexera XS inert」を発表。
「Nexera XS inert」の登場で、機器分析による試験の質の向上、研究開発による業務の改善、従来の方法では見えなかった新しい情報の発見が期待される。
はじめに、馬瀬嘉昭氏(株式会社島津製作所 分析計測事業部 事業部長)は、「Nexera XS inert」の開発にあたり、2つの課題があったと説明。
核酸などの分子は、金属に引き寄せられる性質をもっているため、(以後、これを金属吸着性という)金属でできている、高速液体クロマトグラフ(以下LC)などの金属機器の内部に化合物がくっつき、正しく分析することができない、という課題があった。
もう一つの問題点は、抗体やたんぱく質の物質を、分析装置に生理食塩水を流す必要があり、これが装置内部の錆を引き起こす原因となっていた、と述べた。
そこで、石濱 泰氏(京都大学大学院 薬学研究科 教授)と共同研究を行い、「解決策であるバイオイナートLCの技術を模索」したと振り返る。
つづいて、石濱氏は、この共同研究で「HPLCシステム全体の素材をバイオイナート化する必要」があること、「金属や金属イオンのLCシステムへの混入は、素材だけの吸収だけではなく、MS検出に対しても悪影響を及ぼす」ことが、判明したと説明。
最後に、冨田眞巳氏(株式会社島津製作所 分析計測事業部 副事業部長)は、「Nexera XS inert」を発売する目的について、「機器分析による治験の質の向上、研究開発での業務の改善、あるいは、従来の方法では見えなかった新しい情報の発見」といった価値を、ユーザーに届けることだと述べた。また、今後、大きな成長が見込まれ、コロナワクチンの一例である、核酸医薬品の研究開発を支援していくと語った。