東芝メディカルシステムズ、Global Standard CT Symposium 2011-Aquilion ONE & AIDR 3D-を開催

2011.10.14
綱川 智氏
杉原直樹氏
吉川秀司氏
森谷浩史氏
片田和広氏
会場風景
 東芝メディカルシステムズ(株)は10月8日、丸ビルホール(東京都千代田区)にて「Global Standard CT Symposium 2011-Aquilion ONE & AIDR 3D-」を開催した。
 綱川 智氏(同社代表取締役社長)は開会の挨拶に先立ち、同社のCT生産が、昨年累計で25,000台を突破したと述べ、Aquilion ONEをはじめ今後発売される高級機から普及機まですべてのCTに、低線量撮影を可能とする新たな再構成法(AIDR 3D:エイダースリーディ)を搭載することを発表した。また、同氏は挨拶の中で「世界に負けない低線量技術の開発を一層推進し、有用な技術を広めていく努力を怠らないことを約束する」と抱負を語った。
 本会はまず、技術紹介として杉原 直樹氏(同社CT開発部)がAquilion ONE とAIDR 3Dの技術について解説を行った。AIDR 3Dは逐次近似再構成のエッセンス、スキャナーモデル、統計学的ノイズモデル、アナトミカルモデルを用いて開発され、被ばく低減、ならびに飛躍的なノイズ低減と画質向上を実現したという。「スキャン連動によるルーチン化や再構成時間短縮、画像処理解析精度の向上といったワークフローとのバランスが取れている点もAIDR 3Dの魅力」と同氏は語った。
 続いて吉川秀司氏(大阪医科大学付属病院)より、「AIDR 3Dが低線量画像をここまで変える」と題した講演が行われた。現在のCT検査による発がんリスクが、将来的には全米のがん患者の1.5~2.0%に達すると推計されているなど、同氏はCTの被ばくを取り巻く最近の状況から検査被ばくの低減の必要性を述べた。そこで、現在同院で検証を続けているAIDR 3Dの有用性について、ファントム及び臨床データを示しながら解説した。同院における検証結果としてはAIDR 3Dの再構成時間は従来法のFBPとほとんど同じ実用レベルであり、AIDR 3Dは生データ(純生データ)ベースでのノイズ低減と画像ベースでのノイズ低減を取り入れることで初めて低線量撮影での画質向上がなされているとまとめた。「さらにノイズ低減効果で最大50%、被ばく低減効果で最大75%が期待される」という。
 次に森谷浩史氏(大原綜合病院附属大原医療センター)より、胸部領域におけるエリアディテクタCTとAIDR 3D導入のインパクトについて講演が行われた。3月11日の震災以来、患者の被ばくに関する意識が強まり、より一層CTの被ばく量低減が求められていることで、同氏は呼吸器臨床におけるAIDR 3Dについて「一般臨床撮影時の被ばく低減やDynamic撮影における被ばく低減と画質向上に期待を寄せ、検討を進めている」と語る。
 同院での臨床データを紹介しながら、同氏はAIDR 3Dのパイロットスタディの印象について「5mm厚画像では、AIDR 3DのLow Dose Scan(75%被ばく低減)とコントロール群の270mAsには描出能に概ね差はなく、0.5mm厚では気管支・血管の描出は良好。また、低mAs時に肺野のむら、微細構造(点・線)のコントラスト低下が起こるが、20~30mAs以上では画質は許容できる」と述べた。
 最後に片田和広氏(藤田保健衛生大学)より「Aquilion ONE-なぜ面検出器CTなのか?」と題した特別講演が行われ、逐次近似法と面検出器CT、AIDR 3Dについて解説した。同氏は「Aquilion ONEの本分は動態、機能検査であるため、撮像ボリューム数の増大は避けられない課題である。また、被ばく低減は動態CT実用化の要であり、IR法の進化はAquilion ONEの技術進歩に欠かせないものである」と語り、「東芝CTの更なる技術発展を期待したい」と述べた。