シーメンスヘルスケア、胸部CT画像AI解析ソフトウェア「AI-Rad Companion Chest CT」の一部変更承認を取得

2022.05.20

-肺がんが疑われる肺結節検出におけるAI(人工知能・拡張知能)技術を活用した医療機器プログラムとして、業界初1) の「コンカレントリーダー型」に-

  • CT画像を用いた肺結節検出において従来型より読影時間の短縮に期待
  • 読影者間の計測のばらつき減少と読影の標準化に貢献

 シーメンスヘルスケア株式会社(東京都品川区、代表取締役社長: 森 秀顕 以下、シーメンスヘルスケア)は、胸部CT画像AI解析ソフトウェア「AI-Rad Companion Chest CT(エー・アイ・ラド・コンパニオン・チェスト・シーティー)」の一部変更承認を取得し、肺結節検出機能において「コンカレントリーダー型」の使用方法が新たに追加された。肺がんが疑われる肺結節検出のためのAI(人工知能・拡張知能)技術を活用した医療機器プログラムとして、コンカレントリーダー型での使用方法が承認された初めての事例となる。

 従来、本ソフトウェアを用いた肺結節検出では「セカンドリーダー型」での使用のみが承認されていた。セカンドリーダー型の場合は、まず医師が単独で読影を行い、その後ソフトウェアの解析結果を参照して読影レポートを作成する。これに対して今回初めて承認を取得した「コンカレントリーダー型」では、医師は最初からソフトウェアの解析結果を参照しながら読影を行うことができる。その後、ソフトウェアが見落とした可能性のある肺結節を特定するための読影を行うことにより読影レポートを作成することができるため、従来型より読影時間の短縮が期待される。

図:「セカンドリーダー型」と「コンカレントリーダー型」 読影プロセス

 複雑な肺疾患を対象とした研究2)では、AI-Rad Companion Chest CTを使用しない場合、肺結節の平均読影時間が2分44秒であったのに対して、AI-Rad Companion Chest CTを使った評価では、平均読影時間は36秒となり、AI-Rad Companion Chest CTを使用しない場合に比べ78%もの大幅な時間短縮がされたとの報告があがっている。また、「放射線科専門医はすべての症例について、肺結節検出の自信が高まった」と研究で報告されている。

 また、AI-Rad Companion Chest CTの機能のひとつの大動脈径の自動計測では、大動脈拡張症に関する研究3)において、AI-Rad Companion Chest CTを使用することにより、読影者間の大動脈径の計測のバラツキが42.5%減少したのとの報告もあり、読影の標準化に繋がるだけでなく、検査を受ける患者にとっても大きなメリットがあると考えられている。

 現在AI-Rad Companion Chest CTを導入している京都桂病院放射線科 診断部部長 山岡利成先生は次のように述べている。「コンカレントリーダー型での使用方法が承認されたことで、読影時間の短縮が期待できそうです。AI-Rad Companion Chest CTを参照しながら読影を始められることで、AI解析結果を受けた再読影から解放されますので、読影業務の効率化という観点で大きなポイントになると考えられます。従来の感覚からすると疲れを知らない優秀な研修医のレポートをチェックするような感覚になるのだろうと想像しています。2024年の医師の働き方改革に向けて、コンカレントリーダー型での読影が、どのように効果を発揮するかの議論の必要はあると考えていますが、人工知能技術を活用した診断支援ツールとして一歩前進したと思います。今回の診療報酬改定では画像診断管理加算3の施設基準に、人工知能関連技術が活用された画像診断補助ソフトウェアの適切な安全管理が明記されましたので、この点も重要なポイントになると思います。今後の期待としては、いずれの施設においても、診断専門医のレポートにより、常勤・非常勤に関わらず、診療報酬上のメリットが得られる体制となれば、より読影支援ツールとしての活用が広がると考えています」

 シーメンスヘルスケアは、今回のコンカレントリーダー型での承認取得を契機に、今後日常的な検査のみならず、肺がんCT検診や肺がんドック等の読影ワークフローの効率向上に繋がるよう取り組んでいく予定である。AI-Rad Companion Chest CTをはじめ、販売中のAI技術を活用した読影支援ソフトウェアをより多くの施設でご利用いただくことで、医療従事者にとって信頼されるパートナーとなり、患者さんを含むすべての人々により良い医療を届けていく。

1) 現在胸部CT画像から肺結節を検出するAI(人工知能・拡張知能)技術を活用した医療機器として、使用方法に「コンカレントリーダー型」を含む読影診断支援ソフトウェアは「AI-Rad Companion Chest CT」のみとなります。(自社調べ:2022年4月末)

2) Diagnostic Accuracy and Performance of Artificial Intelligence in Detecting Lung Nodules in Patients With Complex Lung Disease: A Noninferiority Study. Andres F Abadia 1, Basel Yacoub 1, Natalie Stringer 1, Madalyn Snoddy 1, Madison Kocher 1, U Joseph Schoepf 1, Gilberto J Aquino 1, Ismail Kabakus 1, Danielle Dargis 1, Philipp Hoelzer 2, Jonathan I Sperl 2, Pooyan Sahbaee 2, Vincenzo Vingiani 1 3, Megan Mercer 1, Jeremy R Burt 1, J Thorac Imaging. 2022 May 1;37(3):154-161. doi: 10.1097/RTI.0000000000000613. Epub 2021 Aug 12.

3) Artificial intelligence assistance improves reporting efficiency of thoracic aortic aneurysm CT follow-up. Rueckel, J., Reidler, P., Fink, N., Sperl, J., Geyer, T., Fabritius, M. P., Ricke, J., Ingrisch, M., & Sabel, B. O. 2021, Eur J Radiol, Vol. 134, p. 109424.

販売名: AI-Radコンパニオン 承認番号:30200BZX00202000

販売名: AI-Rad コンパニオンCT 認証番号:302AABZX00047000

シーメンスヘルスケア株式会社