株式会社日立製作所(以下、日立) と日立の東南アジア地区における統括会社である日立アジア社は、このたび、シンガポール国立がんセンター(National Cancer Centre Singapore、以下 NCCS)に陽子線がん治療システム一式を納入し、8 月 11 日に最初のがん患者の治療が完了した。本システムは、日立にとって東南アジアで初めて治療を開始する陽子線がん治療システムである。
NCCS の地上 24 階建ての新棟の地下に設置されている本システムは、回転ガントリ室 4 室と固定照射室 1 室を備えており、呼吸に伴って移動する臓器の動きを捉える動体追跡技術と、腫瘍の形状に合わせて陽子線を照射できるスキャニング照射技術を搭載している。
NCCS は、がん治療の専門家を擁する、国および地域の主要な三次がんセンターである。今年 5 月 18 日に正式に開業した新棟により収容力が増え、がん治療やリハビリおよび研究教育の設備が同一ビル内で拡充された。
日立は、粒子線がん治療システムとして、陽子線、重粒子線、陽子線と重粒子線のハイブリッドがん治療システムなど、高性能で高付加価値な製品とサービスを提供し、世界的に著名な病院に納入されている。これまでに 85,000 名*以上の患者が日立のシステムで治療を受けるなど、高い信頼性と実績を有している。
日立は、患者に優しい治療や治療後の患者の QoL(Quality of Life)の維持・向上などを支援し、低侵襲ながん治療のさらなる発展に貢献していく。
*PTCOG(Particle Therapy Co-Operative Group)のホームページ(https://ptcog.site/index.php/patient-statistics)で公開された 2021 年 12 月までのデータを集計したもの。
■粒子線がん治療について
粒子線がん治療は、放射線によるがん治療法の一つである。水素の原子核や炭素イオンを加速器で光速の約 70%に加速させ、腫瘍に集中して照射することでがんを治療するもので、水素の原子核を加速したものを陽子線、炭素イオンを加速したものを重粒子線という。治療に伴う痛みがほとんどなく、他の放射線治療に比べて副作用が少ないため、治療と社会生活の両立が可能であり、生活の質(QoL)を維持しつつ、がんを治療できる最先端の治療法として注目されている。
■日立の粒子線がん治療システムに関するホームページ
https://www.hitachi.co.jp/products/healthcare/products-support/pbt/
■日立製作所について
日立は、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進している。お客さまの DX を支援する「デジタルシステム&サービス」、エネルギーや鉄道で脱炭素社会の実現に貢献する「グリーンエナジー&モビリティ」、幅広い産業でプロダクトをデジタルでつなぎソリューションを提供する「コネクティブインダストリーズ」の事業体制のもと、IT や OT(制御・運用技術)、プロダクトを活用する Lumada ソリューションを通じてお客さまや社会の課題を解決する。デジタル、グリーン、イノベーションを原動力に、お客さまとの協創で成長をめざす。2022 年度(2023 年 3 月期)の連結売上収益は 10 兆 8,811 億円、2023 年 3 月末時点で連結子会社は 696 社、全世界で約 32 万人の従業員を擁している。
詳しくは、日立のウェブサイト(https://www.hitachi.co.jp/)から。
■お問い合わせ先
株式会社日立製作所 ヘルスケア事業本部 ヘルスケアイノベーション事業部 スマートセラピー本部
フロント戦略推進本部 放射線治療事業推進部
〒277-0871 千葉県柏市若柴 226 番地 44 中央 141 街区 1
問い合わせフォーム:
https://www8.hitachi.co.jp/inquiry/life/jp/general/form.jsp?UM_QNo=99