株式会社島津製作所(以下、島津製作所)と学校法人慈恵大学(以下、慈恵大学)の総合健診・予防医学センター 加藤智弘教授・伊藤恭子准教授、臨床検査医学講座 越智小枝教授、整形外科学講座 斎藤充教授らは、2023年6月から10月に共同で「骨の健康」関連の概念実証を実施。本実証は「骨の健康」に関わる健診施設(骨ドック)での検査を起点とする骨粗しょう症の予防と早期発見の仕組みの構築を目指す。
本実証をもとに島津製作所は来春から、健診センターを始めとする骨ドック施設などに向けて製品・ソフトウェアを組み合わせて提供する「骨の健康」関連の新事業を開始。「骨密度測定装置」「X線画像診断装置」「椎体計測ソフトウェアSmartQM」「医療従事者向けの対面指導マニュアル」などに加え、日常の健康データおよび医療機関が取得した検査データを収集・見える化する健康増進プラットフォーム「SUPOFULL(サポフル)」も提供する予定。国民の健康や高齢化対策に取り組む日本において、骨粗しょう症患者の増加が懸念される。骨粗しょう症は放置されると骨折につながり「骨折・転倒」は要介護状態に至る要因の1つである。島津製作所は、本事業を通じて骨ドック施設などの新規開設や機能増設を支援することで、骨粗しょう症の予防と早期発見を実現して、社会全体の「骨の健康」増進に貢献する。
島津製作所と慈恵大学は2021年12月に5カ年の包括連携協定を締結して、分析計測機器や画像診断装置等に関連するニーズ探索、検査技術の共同開発などに取り組んでる。今回の実証はこの取り組みの一環となる。実証における具体的な取り組みは、以下の通り。
東京慈恵会医科大学附属病院(以下、慈恵大学病院)新橋健診センターにて人間ドックと骨ドックを受診した12名について、人間ドックに加えて「骨密度測定」や「血液検査」、島津製作所の製品やソフトウェアによる「胸椎・腰椎X線画像AI診断」「椎体計測ソフトウェアSmartQM」や「血中ビタミンD測定」などの健診結果に基づき、新橋健診センターの保健師が対面指導を行うとともに、慈恵大学病院の整形外科医が受診者向けの「アドバイスレポート」を作成した。慈恵大学と島津製作所の両者は一連の検査の流れや、スタッフの業務負荷などを確認して、仕組みを運用できることを実証した。また、受診者12名のうち1名について骨粗しょう症が疑われる椎体骨折を発見した。
実証した仕組み概念図
島津製作所は2023年度からの中期経営計画において、健康に関わるトータルソリューションを提供する「メドテック事業」に注力している。当社は今後、分析計測機器や画像診断装置の知見を活かして、製品・ソフトウェアを改良していく。また、社外研究機関・民間企業などと連携して事業実証を重ねて「骨の健康」増進を図るオープンイノベーションを推進していく。
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