富士フイルムとアストラゼネカ、肺がんの化学放射線療法の過去症例を検索できる医療情報システムを共同開発

2024.04.09

 富士フイルム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:後藤 禎一氏、以下、富士フイルム)とアストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:堀井 貴史氏、以下、アストラゼネカ)は、切除不能なステージIII非小細胞肺がん(Non-small cell lung cancer、以下、NSCLC)に対する化学放射線療法(Chemoradiotherapy、以下、CRT)の過去症例を検索できる医療情報システム(以下、本システム)を共同で開発した。
 また、富士フイルムは、本システムの検索機能を3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT(シナプス ヴィンセント)」の新バージョン「SYNAPSE VINCENT Ver7.0」にオプション機能として搭載した。富士フイルムのグループ会社である富士フイルムメディカル株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:川原 芳博氏)を通じて4月10日より「SYNAPSE VINCENT Ver7.0」の提供を開始する。

 CRTは、がんの治療法の一つで、放射線療法と化学療法を同時に組み合わせる治療法だ。肺癌診療ガイドラインにおいて、全身状態が良好な場合の切除不能なステージIII NSCLCの治療法として、根治を目的としたCRTが推奨されている。近年の放射線治療の高度化や免疫チェックポイント阻害薬の登場による治療法の進展に伴い、切除不能なステージIII NSCLC患者さんにとってCRTの重要性がますます高まっている。しかし、放射線治療計画の作成は、ステージIII NSCLCの腫瘍の大きさとリンパ節転移の位置のパターンが多岐にわたること、また、放射線の影響による肺臓炎などの有害事象を引き起こさないようにする必要があることから難しく、医療現場の負担となっていた。

 今回、富士フイルムとアストラゼネカが共同で開発した本システムは、両社が2021年より共同で開発を進めてきた医療情報システムで、切除不能なステージIII NSCLCに対するCRTの過去症例の検索に加え、放射線治療計画の表示が可能だ。アストラゼネカが14の医療機関からNSCLCに対してCRTが適用された約1,900症例の放射線治療計画の情報を収集し、富士フイルムがその情報のデータベース化および検索機能の開発を行った。
 本システムは、医師がCT画像を入力し腫瘍の位置や検索条件を指定すると、データベースから腫瘍の中心の相対位置が近い過去症例を検索し、医師が参照したい症例の放射線治療計画の情報を表示して、医師による放射線治療計画の作成をサポートする。

本システムによる過去症例検索の流れ

 富士フイルムとアストラゼネカは、本システムの提供を通じて、患者さんに対する治療の最適化につなげ、一人でも多くの患者さんの予後改善に貢献することを目指す。

お問い合わせ先

富士フイルム株式会社 03-6271-2000

アストラゼネカ株式会社 03-3457-9303