フィリップス、血管撮影装置の最上位モデル「Azurion 7シリーズ」から アームの柔軟性を高め手技時間を短縮するバイプレーンモデル 「Azurion 7 B20/15 LN」、日本先行発売する診断CTレベルの高画質で 脳卒中治療をサポートするアプリケーション「SmartCT 3.0」販売開始

2024.07.02

 株式会社フィリップス・ジャパン(本社:東京都港区、 代表取締役社長:ジャスパー・アスエラス・ウェステリンク氏、 以下 フィリップス)は、国内外で高い稼働実績のある血管撮影装置の最上位モデル「Azurion 7シリーズ」より、アームの柔軟性を高め、手技における時間短縮を可能とする新たなバイプレーンモデル 「Azurion 7 B20/15 LN」と、脳血管疾患が増加し社会的負担が多い日本市場に向けて、グローバルに先がけ先行発売する診断CTレベルの高画質で脳血管内治療 に特化したアプリケーション「SmartCT 3.0」を7月1日(月)より販売開始した。
 「Azurionシリーズ」は、2017年に日本で発売されて以来、虚血性心疾患等のカテーテル治療や脳梗塞や脳動脈瘤の血管内治療時に使用され、直感的な操作性で治療のワークフロー改善に繋がる装置として日本国内で400台以上導入されている。
 2022年度の調査では、日本人の死因は脳血管疾患が4番目に多く、近年では死亡者数も再び増加傾向にある。また、最も重い要介護5となった原因をみても、脳血管疾患(脳卒中)は1番目に多いことが分かっている。厚生労働省が、脳卒中や心臓病などの循環器病についての予防と治療方針を策定した「循環器病対策推進基本計画」においても、脳卒中治療体制の整備に注目が集まっており、脳卒中は、発症から1分1秒でも早い治療が予後に影響するため、薬剤治療や血管内治療が行える施設基準や治療基準の整備が喫緊の課題となっている。
 脳血管内治療で使われる血管撮影装置は、術者の技量や経験、人数に関わらず、短時間で確実に出血確認や梗塞部位を特定することが必要不可欠だ。フィリップスでは、2024年4月から始まった「医師の働き方改革」の一助となれるよう、新しい血管撮影装置で作業効率を向上させることで医療従事者の負担を軽減し、診断CTレベルの高画質を提供することで診断・治療を迅速に高確度で行えるようサポートする。

「Azurion 7 B20/15 LN」の製品特長

バイプレーンの新しいモデルは、アームの柔軟性を高め、より短時間での手技を実現する。

1.正面アームのポジション範囲の拡張

 アーム位置とは独立してX線管内のコリメータが回転し、アームを斜め位置から挿入した場合でも正像を表示する。術者はより柔軟な立ち位置を選択でき、より簡便に鼠径部や手首の穿刺位置にアクセスできるため、負担軽減に繋がる。また、側面アームをモニター側に振ることで、緊急の際には完全に頭側をフリーにした状態にセットアップできる。

2.側面アームの操作性向上
 従来より側面アームの移動と回転の速度が向上し、より短い時間でアームを希望位置に設定することができる。また完全退避の必要なく3D撮影が可能となったため、撮影時間の短縮に繋がる。


「SmartCT 3.0」の製品特長


 可視化されたガイダンスと人間工学的なユーザーインターフェイスによって、3Dのセッティング、取得、解析の一連の操作が直感的に行えるアプリケーションだ。このたび新たに、脳血管治療用の「SmartCT Soft Tissue Helical(ソフト・ティシュー・ヘリカル)」と「SmartCT Dual Phase Cerebral(デュアル・フェーズ・セリブラル)」、またこれらの画像の分析や診断への応用をサポートする「SmartCT Dual Viewer(デュアル・ビューワー)」が登場した。これらのアプリケーションは、操作室だけではなく、ベッドサイドにある手元モニターからでも操作でき、少人数でも迅速で確実な撮影を実現する。

1.SmartCT Soft Tissue Helical

2軸での回転撮影によりアーチファクト低減で画質向上

 従来の回転撮影では平面の軌道でしか画像収集が行えず、特有のアーチファクトが生じていたが、「SmartCT Soft Tissue Helical」では、従来の撮影軌道に頭尾方向の傾きを追加し、2軸での回転撮影を行うことで、より多くの角度で画像を収集できる。臨床現場においても、アーチファクトの低減で画質向上に繋がっていると報告されている。

再撮影を低減するアイソセンタリングツールと体動補正技術

 撮影中の患者の動きや回転中心のずれで再撮影となることを低減するため、回転撮影の中心を簡便に合わせるアイソセンタリングツールと体動補正技術を搭載している。日本ではCTやMRIを用いて脳出血・梗塞部位の確認を行い、血管撮影装置で治療を行う運用が主流だが、海外では血管撮影装置で診断と治療を行う運用が進められている。海外の施設では、「SmartCT Soft Tissue Helical」と体動補正技術を用いた場合に93%の画像にて脳出血・梗塞部位の特定ができたと報告されている。

2.SmartCT Dual Phase Cerebral

1回の撮影で2つの画像を取得し、迅速な診断・治療につなげる

 脳梗塞の治療の際には、治療方針を確定するために造影剤を用いた血管撮影を行う場合があり、通常は1回目に梗塞部位の特定、2回目に梗塞部位の先の血流評価のため2回撮影を行うが、「SmartCT Dual Phase Cerebral」では、1回の撮影で2つの画像を取得することが可能。

再撮影を低減するBolus Watchで造影剤注入確認と3D撮影が同時に行える

 従来の回転撮影では、一度3D撮影が始まると透視画像が取得できず、造影剤が頭部にまで注入されたことを確認できないまま3D撮影が行われており、術者の技量や経験に委ねられていた。「Bolus Watch(ボーラス・ウォッチ)」は、造影剤が注入されたことを透視画像でリアルタイムに確認しながら同時に3D撮影を開始することができるため、確度の高い撮影が可能だ。

3.SmartCT Dual Viewer

 SmartCTで撮影した各画像や、術前画像を含め、さまざまな3D画像を2つ同時に表示・解析できる機能だ。往復回転や左右それぞれの画像を並べたり、重ねたりして1つの画面で比較することで、梗塞部位の特定や血流評価などの診断ワークフローをサポートする。


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