富士フイルム、内視鏡レポート作成支援ソフトウェア新発売 ~AI技術を活用して上部消化管内視鏡検査レポート作成の負担を軽減~

2024.09.27

 富士フイルム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・CEO:後藤禎一氏)は、AI技術を用いて上部内視鏡検査のレポート作成を支援するソフトウェア「AR-G1」を、富士フイルムメディカル株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:川原芳博氏)を通じて本日から発売する。「AR-G1」は、富士フイルム株式会社の内視鏡情報管理システム「NEXUS(ネクサス)」のオプションとして提供するソフトウェアだ。レポート作成において、適切な画像を自動で選択・貼付し、医師の負担を軽減する。

 内視鏡検査では、医師が患者の体内に挿入したスコープを移動させながら体内の様子を観察し、その場で診断や処置を行って、検査終了後すぐにレポートを作成する。検査中、医師は各部位を観察しながら静止画撮影を行い、多数の画像の中から記録すべき適切な静止画像を選定して検査レポートに貼付する。検査レポートには所見や使用機材などの記録も必要で、病変など異常な所見が認められない患者に対してもレポート作成が義務付けられている。食道がんや胃がん、大腸がんなどの早期発見に有用とされる内視鏡検査は、2016年に対策型胃がん検診での導入が推奨されたことなどから、上部・下部ともに検査数が増加傾向にあり、それに伴って内視鏡医の負担も増えている。今年4月に医師の働き方改革の新制度が施行され、医療現場では医師の長時間労働を抑制するための業務効率化がこれまで以上に求められている。

 富士フイルムは、医療画像診断支援、医療現場のワークフロー支援などに活用できるAI技術を「REiLI(レイリ)」のブランド名で展開し、医療現場の課題解決に取り組んでいる。内視鏡検査領域においては、2020年よりAI技術を活用した内視鏡画像診断支援機能「CAD EYE(キャドアイ)」を展開。2022年には、AI技術を用いて下部内視鏡検査のレポート作成を支援するソフトウェア「AR-C1」を発売し、内視鏡検査のワークフローの効率化に貢献している。

 今回発売する上部内視鏡レポート作成支援ソフトウェア「AR-G1」は、検査中に医師が撮影した静止画像の撮影部位を認識。画像の明るさやピントに加え、胃壁の伸展度合いや撮影方向といった日本消化器がん検診学会のガイドラインなどに則った判定基準をもとに適切な静止画像を自動で選択してレポートに貼付する。選択された画像を医師が確認し、必要に応じて別画像に差し替えることも可能だ。レポート作成のために撮影された多数の静止画像の中から、必要な画像を探す負担を軽減することで、内視鏡検査ワークフローの効率化を支援できる。

「AR-G1」は撮影された複数の静止画像を自動で10部位に分類し、部位ごとに適切な静止画像を自動で選択してレポートに貼付する。

主な特長

1.画像自動貼付機能

 医師が検査中に撮影した多数の静止画像から、部位ごとに設定された判定基準に基づき最適な静止画像を選択して自動でレポートに貼付する。自動貼付された静止画像を医師が確認し、必要に応じて別画像に差し替えることも可能。異常所見がない場合には、「NEXUS」上でボタンをワンクリックするだけでレポート作成が完了するため、病変など異常な所見が認められない患者が多い健診施設で特に有用と考えられる。

検査中に撮影された多数の静止画像から、最適な静止画像を選択して自動でレポートに貼付する。

2.ランドマークフォトチェック機能

 各ランドマークで撮影した画像の枚数を検査後に「NEXUS」上で確認可能。部位ごとに静止画撮影枚数を一覧表示できるため、撮影傾向の把握や研修医の指導に活用できる。

各部位で撮影した静止画像の枚数、特殊光観察BLI(Blue Light Imaging)モードで撮影した静止画像の枚数などを一覧で確認可能。対象ランドマークは胃7部位、咽頭、食道、十二指腸の計10部位。

内視鏡情報管理システム「NEXUS」について

「NEXUS」は、検査の受付から画像入力、レポート作成まで、幅広い機能を統合した内視鏡情報管理システムである。内視鏡部門内のさまざまな運用をデジタル化し効率化するほか、内視鏡部門と密接な関りを持つ放射線部門システムや病理部門システムなどとの接続が可能で、病院全体のワークフロー効率化にも寄与する。検査開始プロセスやスコープ洗浄の記録といった検査に関わる一連のワークフローを内視鏡メーカーや洗浄機メーカーに関わらず同一操作で行える仕様などが好評を得ており、特定機能病院を中心に全国約700施設で稼動している。

下部内視鏡レポート作成支援ソフトウェア「AR-C1」について

「AR-C1」は、AI技術を用いて下部内視鏡検査のレポート作成を支援するソフトウェアである。画像認識技術により使っている処置具を認識して、想定される手技の候補を表示。医師がフットスイッチで手技と検体採取を行った部位を選択すると、処置前に撮影した静止画像とともに、部位情報・手技情報がレポートに反映される。また、検査開始時刻・検査終了時刻も自動で記録される。従来は医師の記憶や看護師のメモに頼っていた情報の記録を、検査中に随時レポートに反映できるようにすることで、検体採取などの処置が必要なケースが多い下部内視鏡検査のレポート作成の負担を軽減する。

内視鏡診断支援機能「CAD EYE」について

「CAD EYE」は、富士フイルムがAI技術を活用して開発した内視鏡診断支援機能である。2020年に「CAD EYE」の第一弾として発売された、大腸内視鏡検査におけるポリープなどの病変検出および鑑別を支援するソフトウェア「EW10-EC02」は、今年6月から診療報酬加算の適用対象となっている。また、2022年に発売された、胃腫瘍性病変や食道扁平上皮癌が疑われる領域の検出を支援するソフトウェア「EW10-EG01」により、「CAD EYE」の対象領域は下部消化管から上部消化管まで広がっている。

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