9月20日(金)、GEヘルスケア・ジャパン株式会社は、がん治療の新たな技術である「セラノスティクス(Theranosstics)」を紹介するセミナーを開催し、セラノスティクスの現状と課題、今後の展望を解説した。
セラノスティクスとは、治療(Therapeutics)と診断(Diagnosis)を融合した造語であり、個々の患者の病変の位置やその性質をとらえ、病態に適した治療かどうかを判定しながら治療を行う治療法である。セラノスティクスでは、治療薬によって生体内で起こる様々な現象を分子レベルで捉えてリアルタイムに画像化することができ、がん細胞が殺傷されたかどうか視覚的に確認できる点で注目を集めている。
セミナーのなかで岩崎真梨子氏(戦略事業本部 アカデミック部 アカデミックリレーション&プログラムマネージャー)は「病気の有無や広がり性質を調べて治療を実施し、後に効果を調べるといったこれまでの治療とは異なり、セラノスティクスは治療薬ががんに集まることを確認しながら治療できる点でプレシジョンヘルスにつながる」と説明。さらに「バイオマーカーをターゲットにした画像検査や分子的な特徴に基づいて最適な治療法の選択ができるという『個別化医療の実現』、『癌の早期診断と治療の迅速化』、画像を通じた治療効果の把握・モニタリングや必要に応じた治療方針調整判断による副作用軽減といった『患者の負担削減』など、患者さんに大きな利益となる」と語り、セラノスティクスのメリットを強調した。その一方で「新しい治療法の機会損失や、海外渡航などの自己負担による費用は患者さんにとって不利益になる」とセラノスティクスのデメリットについても言及し、「海外から大きく遅れをとっていることにより、タイムリーな治療ができない国内のセラノスティクス治療をいかに普及させていくか。ドラックラグや様々な法の規制といった問題をどう解決させていくかが今後の課題だ」とした。
最後に、「患者さんごとに治療前に効果予測をしながら治療する個別化治療として、患者負担・医療費の削減の期待からマーケットは拡大していくだろう」と今後の展望を語り、セミナーを締め括った。