ARM Cortex-A/Cortex-Mコアをシームレスに統合した革新的な非対称型
マルチプロセッシング・アーキテクチャ・プラットフォームにより、
産業アプリケーションの複雑性とコストを低減しつつ、システム・セキュリティを向上
フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン株式会社(本社:東京都目黒区、代表取締役社長:ディビッド M. ユーゼ)は、リッチなヒューマン・マシン・インタフェース(HMI)やコネクティビティ、厳格なリアルタイム制御/応答性を必要とするアプリケーションの開発を劇的に簡素化する新しい「Vybrid(バイブリッド)」コントローラ・ソリューション・ポートフォリオを発表した。Vybridは、長年に渡りマイクロコントローラ開発とマルチコア設計をリードしてきたフリースケールの技術をベースとし、独自の非対称型マルチプロセッシング・アーキテクチャ・プラットフォームを確立。新しいVybridコントローラ・ソリューションは、Kinetis(キネティス)マイクロコントローラやi.MX(アイドット・エムエックス)アプリケーション・プロセッサとともに、ARM 32ビット・アーキテクチャをベースとする広範なポートフォリオを形成する。
Vybridは、ビルディング/ホーム・オートメーション/制御、産業オートメーション、POSシステム、患者モニタなどの医療機器、エネルギー・メータやデータ・コンセントレータなどのスマートエナジー機器、ならびに各種家電製品といった幅広いアプリケーションに理想的です。また、IEEE 1588やスマートエナジー2.0、低消費電力Wi-Fi、Bluetooth Low Energy、電力線通信(PLC)など、低消費電力性能と厳格なリアルタイム性が求められる各種の有線/無線ネットワーク通信プロトコル機器や、その他さまざまな独自プロトコル通信インタフェースにも適している。
フリースケールの上席副社長兼オートモーティブ・インダストリアル・マルチマーケット・ソリューション・グループ担当ジェネラル・マネージャであるレザ・カゼロニアンは、次のように述べる。「フリースケールは、リアルタイム制御が重視される従来型のアプリケーションに先進的なユーザ・インタフェースを追加する際に生じるさまざまな課題に対応するべく、新しいVybridコントローラ・ソリューションを開発しました。Vybridプラットフォームにより、フリースケールは、一半導体メーカーという枠を超えて、包括的なソフトウェア/ハードウェア・ソリューション・プロバイダとなり、リッチなアプリケーションとリアルタイム制御の両方を必要とするシステムを容易かつ迅速に開発できるようにします。」
リアルタイム制御を必要とする多彩なアプリケーションをワンチップで実現
産業システムでは従来、グラフィカルなディスプレイ機能とリアルタイム制御機能を実現するために複数の製品を必要としてきました。Vybridソリューションの場合、非対称型マルチプロセッシング・アーキテクチャを通じて、ワンチップでHMIとリアルタイム制御双方のニーズを処理できるため、部品点数を削減し、システムの複雑性が軽減される。最初のVybrid製品となるVFシリーズは、エネルギー効率に非常に優れたARM Cortex-A5コアとARM Cortex-M4コアを組み合わせて、それぞれ、ハイレベルのオペレーティング・システム(HMIやコネクティビティ、処理性能のニーズに対応)と、リアルタイム・ドメイン(安全かつセキュアなリアルタイム性を実現)を管理します。Vybridコントローラ・ソリューションは、ハードウェアと密接に連動したソフトウェア環境を活用し、2つのオペレーティング・システム(例:Linuxとフリースケール製MQXなど)の間で同時通信を可能とする。
VFシリーズのハードウェア実装では、ARM Cortex-A/Cortex-Mコア向けに利用可能な広範なエコシステムを容易かつ効果的に利用することができ、この利便性を備えたVybridコントローラ・ソリューションは、厳格なリアルタイム性能が必要とされる産業アプリケーションの開発において、今日の市場に存在する他のリアルタイム処理ソリューションと比較してはるかに魅力的なオプションとなる。
市場調査会社Linley Groupの上級アナリストで『マイクロプロセッサ・レポート』の編集主任を務めるTom R. Halfhill氏は、次のように述べている。「非対称型マルチコア・システムは、リアルタイム制御と直感的なユーザ・インタフェースを必要とする組込みアプリケーションに理想的です。たとえば、ファクトリ・オートメーション、医療機器、家電製品などがターゲット・アプリケーションになります。フリースケールのVybridコントローラ・ソリューションは、ARMが推進する“Big.LITTLE”戦略の新たな一翼を担います。Cortex-A5アプリケーション・コアとCortex-M4マイクロコントローラ・コアの統合を通じて、リアルタイム制御、通信、ユーザ・インタフェースといった機能が追加されます。また、仮想ハードウェア・モデルにより、設計プロジェクトにおいてますます開発期間を必要とするようになっているソフトウェア開発を加速することができます。Vybridは、部品点数を削減し、設計サイクルを短縮します。」
VFシリーズの主な特長
2つのARMコアをサポートし、フリースケールの高度な集積技術を活用したVybridプラットフォームは、多機能とコネクティビティ・オプションを提供します。主な特長は次の通り。
・エラー訂正コード(ECC)を備えた最大1.5MBのオンチップSRAM
・ECCを備えたDDR3/LPDDR2コントローラ
・ダブル・データ・レート機能および直接実行(XIP)機能を備えたデュアル・クアッドSPI
・ECCを備えたNAND Flashコントローラ
・レベル2(L2)スイッチを備えたデュアルEthernetコントローラ
・ハイスピードPHYを内蔵したデュアルUSB 2.0 OTG
・映像/カメラ・インタフェースを備えたデュアル・ディスプレイ・コントローラ
・パルス幅変調(PWM)、デュアル・アナログ・デジタル・コンバータ(ADC)、デュアル・デジタル・アナログ・コンバータ(DAC)などのリアルタイムI/Oサブシステム
・OpenVG対応グラフィックス処理ユニット(GPU)
・複数のオーディオ・インタフェース
・暗号化アルゴリズム・アクセラレーションおよび改ざん検知機能を備えたセキュア・ブート
Vybrid VFシリーズは、フリースケールの長期製品供給プログラム(Product Longevity Program)の対象となっており、製品リリースから最低10年間の供給体制が保証される。
包括的なシステム・ソリューション
Vybridコントローラ・ソリューションは、フリースケールが提供する強力な開発ツール・スイートによってサポートされる。たとえば、EclipseベースのCodeWarrior統合開発環境(IDE)、Processor Expertソフトウェア、フリースケール製MQXソフトウェア・ソリューション、PEG GUI開発ツール、迅速なプロトタイプ作成に対応するTower Systemモジュール型開発プラットフォームなどが用意されている。また、Vybridデバイスは、Green HillsのMULTI IDEやINTEGRITYランタイム・ソフトウェアなど、広範なARMエコシステムによってサポートされます。フリースケールとサードパーティの開発ツールを組み合わせることで、設計を加速し、実装上の課題に対処することができる。
Green Hills Softwareの最高技術責任者(CTO)であるDavid Kleidermacher氏は、次のように述べている。「フリースケールのVybridコントローラ・ソリューションは、組込みアプリケーションをめぐるソフトウェアの多様性や複雑性から生じる課題に対処する上で理想的です。Green HillsのスケーラブルなINTEGRITY RTOSファミリ、Multivisorセキュア仮想化、TimeMachineトレース・デバッグ/最適化コンパイラを組み合わせることで、組込み開発の複雑性を抑えつつ、次世代の高性能エレクトロニクス製品を開発することが可能になります。」
供給
Vybrid VFシリーズの最初のデバイスは、2012年第2四半期に特定顧客向けのアルファ・サンプル出荷を開始する予定です。一般向けのサンプル出荷や開発ツールの提供は2012年第3四半期に開始する予定。
●お問い合わせ
http://www.freescale.co.jp/