エーザイ子会社と売買契約を締結、前準備からCT撮影・読影支援まで
検査の効率・精度を高め、患者負担を軽減するソリューションを一括提供
検診率を向上し、国内死亡数第3位の大腸がんの早期発見・早期治療への貢献を目指す
GEヘルスケアグループ(以下「GEヘルスケア」)の世界中核拠点の1つであるGEヘルスケア・ジャパン株式会社(本社:東京都、社長:川上潤)は、CT(コンピューター断層撮影装置)の撮影画像を用いて大腸がんなどを検出する低侵襲の大腸検査法である「CTコロノグラフィー」に対する取り組みを強化する。
4月2日付で、エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)の診断薬事業子会社であるエーディア株式会社(本社:東京都、社長:渡辺啓祐)と国内の売買取引に関する契約を締結し、エーディアが販売するCTコロノグラフィー用の炭酸ガス送気装置と炭酸ガス送気用チューブ*1(以下、併せて「エーディア製品」)の取り扱いを開始する。
同社は現在、短時間で高精細なボリュームデータを撮影可能なマルチスライスCT、トレードオフにある高画質と低被ばくを両立させるCTアプリケーション、高度な読影支援機能を有する専用解析ソフトなど、検査前の処置から実際の撮影、撮影後の画像再構成、読影支援まで、効率的で患者に優しい高精度なCTコロノグラフィー検査につながるソリューションを開発・提供しており、その一環として一段と質の高いCTコロノグラフィー検査の支援に向けたラインアップの拡充を積極的に推進している。
一方、昨年8月に国内で初めて炭酸ガス送気装置を発売したエーディア社は、エーディア製品のさらなる拡販を目指して販売チャネルの拡大を模索しており、CTコロノグラフィー検査向けソリューションの充実を図るGEヘルスケア・ジャパンと新たな販路開拓を狙うエーディア社双方のニーズが合致し、今回の契約締結に至った。
同社は昨日のエーディア社との契約締結を機に、検査の効率・精度を高め、患者負担を軽減するソリューションを一括提供する体制を強化することで、大腸がんの検診率を向上し、国内死亡数第3位の大腸がんの早期発見・早期治療に一段と貢献することを目指す。
国内の大腸がん患者はここ数年増加の一途をたどっており、同がんによる死亡者数は男性で第3位、女性は第1位*2と、他国と比べても高い死亡率を記録。この原因の1つとして指摘されているのが検診率の低さで、2007年の検診受診率は米国の52.1%、韓国の34.1%に対し、わずか24.9%にとどまります*2。そのため大腸検査の検診率をいかに高めるかが政策の焦点の1つとなっている。
大腸がん検査では現在、手軽に実施可能な便潜血検査法に公費補助が付き、一次検診として広く用いられていますが、出血を伴わない病変は検出できないため、早期大腸がんや平坦な病変は発見が難しいとされており、同検査の結果、より詳しい精査が必要となった場合には内視鏡検査に移行するケースが大半ですが、処置できる患者数や施術する医師数を考慮すると、近年の患者数の増加に対応しきれない状況となっている。そのような環境のなか、大腸がん検査の新たな試みとして有望視されているのがCTコロノグラフィーだ。
CTの撮影画像を3D構築して、大腸の画像をさまざまな角度から診断するCTコロノグラフィーは、2000年代初めからのマルチスライスCTの進化に伴い、大腸の全体像に加えて、ポリープ型および平坦型腫瘍も短時間で明瞭に描出可能になってきたことで、迅速かつ簡便で低侵襲な大腸がんの検査法として普及が進んできている。
同社も、4列、16列、64列とCTのマルチスライス化を加速させるとともに多彩な大腸検査専用解析ソフトを開発し、CTコロノグラフィーの浸透を後押ししてきましたが、検査の進歩につれて、(1)患者負担の軽減、(2)患者被ばくの低減、(3)高度な読影支援といった点が一段と求められている。
これらの課題に応える当社の主要ソリューションは次の通り。
エーディア製品の提供で腸管拡張時の患者負担を軽減
当社のラインアップに新たに加わったエーディア製品は、腸管内の病変部のより正確な描出に向けて検査前に行う腸管拡張用の装置。大腸は通常、腹部内では内圧に押されて潰れており、その状態でCTコロノグラフィー検査を施しても腸管内の病変部を正しく描出できないため、腸管を広げる必要があります。この腸管拡張では通常、手動で空気を送り込んで腸管内を広げるが、空気圧が一定せず、腹部に痛みを伴ったり、検査後も膨満感と痛みが続いたりするなど多くの受検者にとって負担となっている。
エーディア製品は、空気の代わりに腸で吸収されやすい炭酸ガスを一定圧のもとに自動注入する装置で、同製品を使用することで安定した大腸の拡張と大幅な患者の負担軽減につながる。
画像再構成技術ASiRの搭載で、画質を同等に保ったまま被ばく量を最大40%削減
CTコロノグラフィー検査において、ポリープ描出のみであれば照射するX線量を下げた状態でも問題ありませんが、壁肥厚状態などの診断には高精細な断層像が必要とされる。トレードオフの関係にある画質向上と被ばく低減を両立するのが、新画像再構成技術ASiR(エイサー:Adaptive Statistical Iterative Reconstruction)」。
ASiRの搭載で、撮影画像から密度分解能を左右する画像ノイズを除去できるため、照射するX線量が同一の場合の密度分解能を従来に比べて最大20%高め、一枚ごとの画質を向上します。逆に従来と同等の画質であれば最大40%の被ばく量削減が可能で、高画質と被ばく低減の両立を実現しています。微細な病変を捉える必要のある検査においてはこれまでと同じX線量で、通常の画質で十分な場合にはX線照射量を大幅に低減した撮影を可能にすることで、患者と担当医に最大限のメリットを提供する。
新開発の画像解析用ソフト「Colon VCAR EC」で、前処置の効率改善や高度な読影支援を実現
前処置の効率改善や高度な読影支援を実現するのが大腸検査専用解析ソフト「Colon VCAR EC(コロン・ブイシーエーアール・イーシー)」です。同ソフトの主要機能は次の2つ。
Digital Contrast Agent
CTコロノグラフィー検査では病変と残渣、大腸襞を見分けながら、病変のみを的確に把握するのが難しく、検出率と読影時間は医師の経験値によって左右される傾向があった。撮影画像のなかで球状の構造物に自動的に色付けをするのが「Digital Contrast Agent(デジタル・コントラスト・エージェント:DCA)」機能。読影医に注意を促し画像観察をサポートする。
Electronic Cleansing
検査の際に腸管内に糞便や残渣が残っていると病変部描出の妨げとなるため、CTコロノグラフィー検査の前には前処置を行い、腸管内をきれいにする必要がある。バリウムやガストログラフィンなどの造影剤を経口服用して腸管内の残便や残液を高濃度にすることで、CT値の差を利用して残便や残液を抽出・削除するのが「Electronic Cleansing(エレクトロニック・クレンジング:EC)」機能で、被検者の負担が少なく、術前の煩雑さも解消できる。