さらなる進化を遂げ、高速・低線量撮影を実現する
東芝メディカルシステムズ、次世代Area Detector CT「Aquilion ONE / Vision Edition」の発売開始

2012.06.28

 東芝メディカルシステムズ㈱(本社:栃木県大田原市 社長:綱川 智)は、320列Area Detector CT (ADCT)として世界で高い評価を得ているAquilion ONE(アクイリオン ワン)を進化させ、さらに高速・低線量撮影を実現した次世代の320列Area Detector CT 「Aquilion ONE / Vision Edition(アクイリオン ワン ビジョン エディション)」の国内販売を 7月1日より開始する。
 Aquilion ONE / Vision EditionはこれまでADCTとして培った技術を踏襲しながら、ハードウェアを一新し、160mm幅を1回転0.275秒で撮影する高速スキャン、開口径78㎝のワイドボアを実現。日常検査の適応範囲拡大と共に、心臓CT検査を始め、救急やCT透視(注1)などの様々な検査でのアクセス性や操作性を向上させる。
 同製品の発売により、320列ADCT「Aquilion ONE」は従来のGlobal Standard Editionとあわせ、2つのラインアップとなり、地域中核医療から大学、研究施設までの幅広いシーンにおいて高速、高画質、低被ばくを実現する次世代CTのスタンダードとして活用され普及することを目指すという。
 また、国内医療機関からの要望に応え、すでにAquilion ONEを導入している施設を対象に、「Aquilion ONE / Vision Editionアカデミックパッケージ」を用意。これは、既存の臨床アプリケーションソフトライセンスや周辺機器の共有化により、コストベネフィットを考慮した最新ADCTの導入プラン。

開発の背景
 320列のArea Detectorを搭載し、1回転で160mmの範囲が撮影可能なADCT Aquilion ONEは2007年北米放射線学会(RSNA2007)で発表されて以来、すでに全世界で450台以上が稼働している(2012年6月現在)。Aquilion ONEは主要臓器を1回転で撮影することで、時相のずれのない画像を提供したり、動態診断を可能にするなど、今までにない新たな臨床価値を提供しており、さらなる臨床応用の可能性に期待が寄せられている。一方、臨床現場では心臓CT検査精度の向上、救急患者への対応、CT透視などのアプリケーションの操作性向上が求められ、また、医療被ばくに対する関心が高まっており、さらなる低線量撮影、低侵襲検査が求められている。これらのニーズに応え、次世代320列ADCT「Aquilion ONE / Vision Edition」を開発した。

製品の特長
1.検査精度を向上する1回転0.275秒Volume Scan
 ガントリ回転速度の最大速度が従来の0.35秒から0.275秒へと高速化され、心臓1ビートスキャンが心拍数75bpmまで対応可能。心臓CT検査の適応範囲が拡大するとともに、さらなる被ばくの低減と高画質検査が期待できる。また、動きの抑制が困難な小児や救急検査でも撮影精度の向上が図れる。CTパーフュージョンなどの血流解析の精度向上や動態診断への応用が期待される。

2.新開発の320列Area Detector とX線管
 高感度・高精細マテリアルで構成された320列Area Detectorは、新たに開発した新設計のデータ収集装置(DAS)により、最大2910 views/秒のデータ収集レートと25Gbit/秒のデータ伝送を実現。また、高出力化したX線高電圧発生器と新設計のX線管により、最大900mAの出力を得ることが可能になるほか、小焦点による高分解能撮影の適応を広げている。

3.低線量撮影をルーチン化:AIDR 3D (Adaptive Iterative Dose Reduction 3D)標準搭載
 320列ADCTは1回転で160mmの範囲を短時間で撮影できるため、従来のマルチスライスCTで同範囲を撮影する場合と比較して線量の低減が可能。一方、東芝の最新かつ独創的な低線量撮影技術AIDR 3Dは逐次近似再構成法の原理を応用した画像再構成アルゴリズムで、撮影部位を選ばず様々なCT検査に適用でき、画像ノイズで最大50%、被ばく線量で最大75%の低減効果を発揮する。320列ADCTにAIDR 3Dを適応することにより、動態撮影や小児・救急の撮影で線量を低減することができる。また、患者の体型にあわせてスキャノ画像から最適線量を連続的に調整するVolume ECとの連動も可能なため、より低線量でのCT検査を提供する。

4.次世代ワークフローと最新アプリケーション
 新設計の画像再構成システムは一度に膨大なデータを収集するADCTに最適化されており、Volume Scanにおいて最短5秒/1Volume(320スライス)の高速再構成とスキャン時の並行再構成を実現。さらにデュアルエネルギーシステム(注2)、心筋パーフュージョン(注3)、ボディパーフュージョン(注4)、CT透視など、ADCTの特性を最大限に活かす多彩な最新アプリケーション(オプション)を可能にしている。

注1:CT透視:高速再構成技術を適応し、スキャン中の画像をほぼリアルタイムで観察することで、診断や治療のための情報提供を行う機能。
注2:デュアルエネルギーシステム:管電圧の違いによって生じるコントラストの変化などを比較することで組織性状の識別が容易となり、尿管結石などの解析が高精度に行える。
注3:心筋パーフュージョン:造影剤による心筋のコントラストを解析することで心筋血流をカラーマップで表示する機能。
注4:ボディパーフュージョン:造影剤を注入後、連続または間欠的にスキャンすることで体幹部の潅流情報を解析し、カラーマップで表示する機能。

▼「Aquilion ONE TSX-301C」

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