エレクタのマルチリーフコリメータ(以下、MLC)「Agility」が、米国や欧州で承認されたのに続き、日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)でも承認された。この承認により、今後数ヵ月以内に日本の医療施設で同製品の臨床使用が行われるという。
多数の個別タングステン製リーフで構成されるMLCは、放射線治療で様々な角度から患者にビームを照射する際に使用される。「Agility」は、160枚の高度分割タングステン製リーフと飛躍的に高速化したその動きにより、放射線治療におけるレベルの高い精度と照射スピードを実現。一般的なMLCの2倍となる枚数のリーフを備えており、腫瘍の輪郭に合わせてビームを正確に照射する一方、健康な正常組織に照射するリスクを減らしてくれる。さらに、同製品のリーフは、業界で一般的に使われているMLCの2倍の速さで作動し、臨床医は定位放射線手術(SRS)、定位放射線治療(SRT)、強度変調回転放射線治療 (VMAT)のような先進的ながん治療をさらに推し進めることができるという。また、新開発の低放射線漏洩設計により、他の一般的なMLCに比べ、Agilityが患者の非治療部位の不必要な放射線被爆量を減少させることが学術研究で示されている※1。
ティマスィ・ジョン・ルーニー氏(同社代表取締役)は、「世界的な臨床パートナーとの多年にわたる緊密な協力の積み重ねの結果、日本にAgilityを導入できるのはこの上ない喜びである。Agilityによって治療時間が短縮されるだけでなく、治療結果の向上とともに合併症リスク低減が期待でき、大きな恩恵を受けることができる。患者に対するこうした重要な恩恵の提供は、日本の放射線治療コミュニティが強く要望してきたものであり、われわれはこの技術の急速な普及を期待している」と語っている。
同社が欧州で「Agility」のCEマークを取得して販売を開始した直後から、ビーム成形の精度と照射スピードの著しい向上がユーザから報告されているという。治療時間の短縮により、患者に快適性と利便性の向上がもたらされるとともに、医療従事者が1日により多くの患者を治療することが可能になった。
【Agilityの機能概要】
・わずか5mm幅の160のタングステン製リーフを持ち、最大稼動速度は6.5cm/秒。
・可変線量率や各種治療パラメータでリーフ動作を高精度に制御する、エレクタの第7世代フルデジタルコントロールシステムである専用のIntegrity(商標)R3.0。
・統合型ダイナミックリーフガイドによる効率的な照射と、他の一般MLCシステムで発生する「照射野のつなぎ合わせ」の排除。
・大照射野MLCで最大40×40cmまでの照射野が作成可能。
※1 Cosgrove, VP, Thompson, C, Chrisophides, D et al. (2009) Physical characterization of a new concept design of an Elekta Radiation Head with integrated 160-leaf multi-leaf collimator. Poster presented at ASTRO 2009.
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