GEヘルスケア・ジャパン、診断用CTとSPECTを一体化したSPECT/CT最上位2機種を発売
~先進の16列マルチスライスCTと新開発検出器を搭載したSPECTを統合~
GEヘルスケアグループ(以下「GEヘルスケア」)の世界中核拠点の1つであるGEヘルスケア・ジャパン(株)(本社:東京都日野市、代表取締役社長:熊谷昭彦)はこのほど、SPECT装置(単光子放射断層撮影装置)と診断用CT装置(コンピューター断層撮影装置)を一体化したSPECT/CT*1装置の最上位2機種を、先進の診療を手掛ける大学病院や基幹病院を主対象に発売する。
Discovery NM/CT 670 ProとDiscovery NM/CT 670は、診断用CTを組み込んだSPECT/CTとしては当社初の製品。最大の特長は、これまで相反関係にあった画質・検査時間・被ばく量を総合的に改善し、画質を高めながら短時間かつ低被ばくでの撮像を実現した点である。
臨床的には、診断用CT装置の高精細な形態画像とSPECT装置の機能画像を重ね合わせることで、病変部の位置と機能をクリアに描出できるため、脳血管障害や心疾患、がんの早期発見などにより高い有用性を誇る。
SPECT/CT装置はSPECT装置とCT装置の撮影を一度に実施するため、これまでにも「撮影時間が長い」「被ばくが増える」「操作が煩雑」などの課題があった。理想は高画質を保ったまま高速かつ低被ばくの撮像を簡便な操作で実現することであるが、画質・検査時間・被ばく量の3要素はどれかを優先すれば他の2つに響くという相反関係にあるため、すべてを同時に向上させることは実質的に困難であった。
そのような中、Discovery NM/CT 670 ProとDiscovery NM/CT 670では、臨床用装置としては現在のGEヘルスケア製CTの主流を占める先進の16列マルチスライスCT「BrightSpeed(ブライトスピード)」(2006年発売)と、新開発の検出器と撮影技術を搭載したSPECT装置を組み合わせることで、これらの課題を総合的に克服、短時間かつ低被ばくでの高画質撮像を実現した(技術的特長の詳細は次ページ参照)。
Discovery NM/CT 670 Pro/Discovery NM/CT 670の技術的特長
1. 新開発の検出器とデータ変換システムによるノイズの低減で高画質を実現
SPECT装置には、新開発のElite NXT(エリート・エヌエックスティー)検出器を搭載、内部の光電子増倍管*2や電気回路を一新することで従来に比べて電気ノイズを削減し、画質の向上と高い安定性を実現した。またCT装置では新開発データ変換システム(DAS)の採用で従来に比べてノイズを最大3割削減、さらなる高画質化を達成している。
2. SPECT装置搭載の新ソフトウェアと検査全体のワークフローの改善で検査時間を半減
SPECT装置とCT装置による一連の検査の中で最も時間を要するのがSPECT装置の撮影であるが、画像処理用ソフトウェア「Evolution(エボリューション)*3」を搭載することで、従来と同等の画質を維持したまま、代表的検査時間をこれまでの15分から7分半に半減した(当社比)。また、SPECT検査とCT検査を一元管理し、それぞれの検査への移行や患者の位置合わせなどを一段とスムーズにすることで検査全般の効率を向上、検査開始から終了までの総検査時間も半減している。
3. 体型に合わせたX線量の自動制御で被ばくを削減
CT装置に患者の体型に合わせてX線量を自動制御する機能を搭載、照射するX線量を従来の一定方式に比べて約60%削減した。さらにDiscovery NM/CT 670 Proでは、トレードオフにある高画質と低被ばくを両立するGE独自の新画像再構成技術「エイサー(ASiR:Adaptive Statistical Iterative Reconstruction)*4」を搭載、画質が同等であればさらに約40%の被ばく量の削減が可能である(当社比)。
4. SPECT装置とCT装置の撮影画像の一括処理で画像処理時間を短縮
従来の重ね合わせ用SPECT/CTでは、SPECT装置とCT装置の撮影画像を複数のアプリケーションで処理していたが、Discovery NM/CT 670 ProとDiscovery NM/CT 670では、体動補正、画像再構成、吸収補正、位置合わせなどの煩雑な画像処理を一括で自動処理できるようにした「Volumetrix MI(ボリューメトリックス・エムアイ)」を搭載、画像処理時間の大幅な短縮を実現している。
*画像処理は核医学装置ワークステーション「GENIE-Xeleris」(薬事承認番号:20700BZY00161000号)によって行われる。
国内のSPECT装置の市場規模は年間約40億円で、当社は現在約30%のシェアを有している。その内、約35%がSPECT/CT装置でこの割合は今後増加していくことが見込まれている。
当社では、2002年に発売した世界初のX線CT(吸収補正用)*5搭載SPECT/CT装置「Millennium VG(ミレニアム・ブイジー)」の後継機種「Infinia(インフィニア)」シリーズに加えて、今回PET/CT装置で主流となっている重ね合わせ用*5のSPECT/CT装置を発売することで、SPECT/CT装置のラインアップを拡充する。加えて、SPECT/CT装置の新製品の投入を機に、2010年11月に発売した国内初の半導体検出器搭載SPECT装置「Discovery NM 530c(ディスカバリー・エヌエム530シー)」、2008年10月に発売した心臓検査用装置「Ventri(ベントリ)」、汎用型の「Infinia」シリーズの全SPECTラインアップの拡販を狙う。幅広い製品の市場投入で医療機関のニーズにきめ細かく応え、SPECT/CT市場、ならびにSPECT市場でのトップの地位をさらに強固なものにすることを目指す。
製品名(括弧内は承認名称) | 発売日 | 希望小売価格 | 初年度国内販売目標 | 医療機器認証番号 |
Discovery NM/CT 670 Pro (核医学診断用装置Discovery NM/CT 670) |
2011年 4月7日 |
5億円(税抜き) | 20台 | 222ACBZX00088000号 |
Discovery NM/CT 670 (核医学診断用装置Discovery NM/CT 670) |
2011年 4月7日 |
4億5,000万円 (税抜き) |
20台 | 222ACBZX00088000号 |
*1 SPECT/CT装置は、体内の構造物の形状や病変の位置などの形態情報の描出に優れたCT装置と、放射性医薬品を体内に投与し代謝や血流など生体内の生理学的・生化学的な機能を描出するSPECT装置を組み合わせ、病変部位の位置特定と機能診断を一度の検査で容易に可能にした装置
*2 光電子増倍管(Photomultiplier Tube:PMT)は、光電効果を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電管を基本に、電流増幅(=電子増倍)機能を付加した高感度光検出器
*3 Evolution(コリメータ・検出器応答関数補正ソフト):コリメータと検出器に起因する画像の劣化を高度な画像処理技術で補正することで、撮影時間の短縮または画質の改善を行うアプリケーション。画質を維持したまま撮影時間を短縮するケースと、撮影時間を維持したまま画質を向上するケースの2つから選べるが、被ばくの低減につながる前者を選択する場合が多い
*4 ASiR(エイサー)は、統計学的手法を逐次近似画像再構成プロセスに組み込むことで、撮影画像から密度分解能を左右する画像ノイズやアーチファクト(偽像)成分のみを除去する技術。照射するX線量が同一の場合の密度分解能を従来に比べて最大20%向上し、一枚ごとの画質向上を実現。逆に従来と同等の画質であれば最大40%の被ばく量削減が可能(Discovery NM/CT 670 Proにのみ搭載)
*5 SPECT/CT装置には現在、薬事上の分類から吸収補正を目的としたCTを組み合わせた装置と、重ね合わせを目的に診断用CTを組み合わせた装置の2種類ある。Discovery NM/CT 670 ProとDiscovery NM/CT 670はともに当社初となる後者の製品
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