日本メドトロニック(株)(代表取締役社長:島田 隆、本社:東京都港区)は26日、植込みによる患者の違和感や体への負荷の軽減を目的とした独自のPhysioCurve®(フィジオカーブ)デザインと、致死性不整脈の識別精度を向上させ、不適切作動を低減することが臨床実績として示されたSmartShock®(スマートショック)テクノロジーを搭載した植込み型除細動器(ICD)の新製品「Evera®(エヴェラ)ICDシリーズ」を2013年7月1日に発売したことを発表した。
ICDは植込み型医療機器で、患者の自己心拍を常に感知し、自動で致死性不整脈を診断、抗頻拍ペーシングもしくは電気ショックによる治療(除細動)を行うことで、致死性不整脈による突然死を防ぐことを目的としている。「Evera® ICDシリーズ」では、ICD治療を受ける患者の負荷の軽減を目的として開発された。
従来の製品より小さく(同社従来品比較)植込み部が受ける圧力を低減する形状デザインを実現
ICD は高電圧電流によるショック治療を行うという特性上、大きなバッテリーを必要 とし、ぺースメーカと比較してもより容積が大きく、角ばった形状であったため、植込 み部位の皮膚に生じるストレスが高くなり、圧迫による植込み部位の皮膚のびらん・壊死などの合併症が懸念されている。「Evera® ICD シリーズ」では、従来品より機器の容積を小さくしPhysioCurve®デザインを採用したことにより、中央部から端にかけて厚みがなだらかに薄くなる独自の形状を実現した。これにより、植込みによって生じる皮膚の圧迫が減り、患者の体の違和感や負担の軽減が期待される。
また、電池の小型化と省電力な回路の設計により、従来製品の除細動出力を維持したままで、機器本体の小型化を実現。同時に、機器の内部機構に三次元形成されたコンデンサとエネルギー密度の高いバッテリーの独自開発も、これまでICDでは難しいとされていた形状の実現を可能としている。人間工学に基づいたデザインによって、皮膚への圧力を分散。皮膚への圧迫を約2~3割軽減させ、同社の既存製品に比べて植込み部位の突出を減らしている。
優れた臨床実績が示された不適切作動低減のためのアルゴリズム「SmartShock® テクノロジー」を搭載
ICD の一般的な自動診断機能においては、致死性不整脈の識別が難しい場合には治療を優先させるため、ときには治療が不必要な場合にも不適切作動と呼ばれるショック治療が行われることがある。不適切作動を経験する患者の割合は植込み後約2~5年間でおよそ1~2 割と報告されています。電気ショックに伴う痛みによる患者の QOL の低下や心筋へのダメージがもたらす長期的な生命予後への悪影響の可能性に対する懸念から、ICDの心拍感知と治療精度の向上および不適切作動の低減は、ICD治療における課題とされてきた。
「Evera® ICD シリーズ」は、同社の開発した不適切作動防止のためのアルゴリズム「SmartShock® テクノロジー」を搭載。このテクノロジーは、2013年5月に開催された第34回米国不整脈学会で発表された「PainFREE SST 試験」の中間報告において、植込み患者1308 例における植込み後一年間での不適切なショックが作動しなかった患者の割合が98.2%であったことが示された。「SmartShock® テクノロジー」により不適切作動を可能な限り低減し、患者のQOLや予後の向上への貢献を目指すとしている。
同社は、治療が必要な不整脈を見逃すことなく不適切作動を減らすという課題に、過去20年間にわたり臨床研究を通じて取り組んできた。「Evera® ICD シリーズ」は新たな形状の採用、そして不適切作動を減らすことによって患者負担を軽減し、さらなる医療ニーズにお応えすることを目指しています。
「Evera® ICD シリーズ」はヨーロッパでは2013年2月、米国では2013年6月17日と日本とほぼ同時の発売となっている。
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