欧米市場で体外診断用医薬品事業へ参入 ~ドイツMEDICA2015に「SPFSイムノアッセイシステム」を参考出展~

2015.11.17

 コニカミノルタ(株)(以下、コニカミノルタ)は、このたび蛍光抗体法による高感度測定を可能にした免疫検査システム「SPFSイムノアッセイシステム」*1を開発した。本システムを、11月16日~19日にドイツで開催される世界最大の国際医療機器展「MEDICA(メディカ)」に参考出展する。

「SPFSイムノアッセイシステム」開発の背景
 心筋梗塞や悪性腫瘍(がん)などの診断手段のひとつとして、標識抗体(蛍光マーカーと呼ばれる化学物質を結合させた抗体)を用いて、血液中の疾患に関連した特定バイオマーカー(タンパク質)を光らせて検出する蛍光抗体法がある。コニカミノルタは、長年培ってきた独自のコア技術が、この蛍光抗体法の高感度化に活用できると考え、「SPFSイムノアッセイシステム」の開発に取り組んだ。具体的には、写真フィルム開発で培ったナノテクノロジーとファインケミカル技術は化学反応の制御レベルが高く、分子レベルでの高感度な検出を可能にするのに加え、カメラの開発で培ったレンズ設計や導光技術が微弱光検出や蛍光検出などに威力を発揮し、検査性能向上に寄与できると考えている。

「SPFSイムノアッセイシステム」が提供する価値
 胸痛で病院に救急搬送される急性心筋梗塞患者の内、非ST上昇型急性冠症候群患者*2では、高感度検査により早期診断・治療を開始することで、治療後の回復時間も早まり死亡率の低下が期待される。しかし、心筋梗塞診断で使われているこれまでのトロポニン(心筋内に存在するバイオマーカー(タンパク質))検査は診断に約6時間を要するとともに、精度に課題があると言われており、オーバークラウディング*3など救急医療にとって大きな問題になっている。
 コニカミノルタは、このトロポニンを高感度に測定し、診断の時間を約3時間まで大幅に短縮する小型装置とトロポニンを含む心疾患関連試薬で構成される「SPFSイムノアッセイシステム」を開発した。「SPFSイムノアッセイシステム」の提供を通じて、医療現場の診断・作業の効率性を飛躍的に高め、救急現場のオーバークラウディングの削減を可能とするとともに、患者の死亡率の低下、早期回復、早期帰宅に貢献できると考えている。
 更に、「SPFSイムノアッセイシステム」では、疾患に特有なバイオマーカー(特有のタンパク質)を正確に捉えることで、心疾患(心筋梗塞)だけでなく悪性腫瘍(がん)など様々な疾患に対し精度の高い免疫検査を提供することも可能だ。

体外診断用医薬品事業での今後の展開
 コニカミノルタでは、「SPFSイムノアッセイシステム」を、主に心疾患およびその関連マーカーを搭載したシステムとして、2017年の欧州への展開開始を皮切りに、欧米市場への展開を予定している。
 今後さらに、効率性の高い免疫検査システムの実現とともに、検査項目の拡大により、高感度型免疫測定システムでの体外診断市場への本格参入を計画している。

 コニカミノルタは、お客さまへの約束「Giving Shape to Ideas」のもと、コア技術であるナノテクノロジーを追求した体外診断分野での研究開発と実用化を加速し、社会的課題の解決に貢献する商品やサービスを提供し続けていく。

*1 Surface Plasmon Field-enhanced Fluorescence Spectroscopy法を用いた免疫検査システム
抗原抗体反応により捕捉された標識蛍光分子を、金膜極表面に誘起された局在電場により極めて効率的に励起し、その蛍光シグナルを検出する方法。
*2 急性心筋梗塞の兆候を示す心電図波形のST部分が、持続的変動を示さないものの、心筋逸脱酵素であるトロポニンの血中濃度の上昇を認める状態である患者。
*3 病床の空きがなくなり救急患者の受け入れができなくなること。

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