病院内の各診療科が扱う診療情報(*1)を一元的に管理・保管
システム更新時に生じるデータ移行の負担軽減にも貢献
複数病院の診療情報も集約・管理できるので、地域医療連携への活用も可能
富士フイルム(株)は、病院内の各診療科のシステムや異なるメーカーのPACS(*3)に保管されている診断画像、各種動画などの多様な診療情報を一元的に管理・保管できる統合アーカイブシステム「SYNAPSE VNA(シナプス ブイエヌエー)」を、富士フイルムメディカル(株)を通じて平成28年4月15日より発売する。なお、本システムを、平成28年4月15日から17日までパシフィコ横浜で開催される「2016国際医用画像総合展(ITEM2016)」に出展する。
病院では、CTやMRIなどで撮影した診断画像、内視鏡検査や手術時に撮影した動画など、多様な診療情報が診療科ごとに異なったシステムで別々に管理されている。最近は、医師がほかの診療科システムで管理されている診療情報をも参照し、総合的に診断に活かすため、病院内の診療情報を一元的に管理・保管し、患者ごとに一覧できるシステムが求められている。また、定期的に行われる各診療科のシステム更新の都度、蓄積してきたすべてのデータを新しいシステムに移行しなければならず、膨大な量のデータを速やかに低コストで移行したいというニーズが高まっており、さらに複数の病院がそれぞれ所有している診療情報を一元的に管理して、地域医療連携に活用したいという声も高まっている。
今回発売する「SYNAPSE VNA」では、管理・保管されるすべての情報を、院内の各診療科システム専用のビューワから参照することが可能。患者ごとに複数の診療科の情報を一覧することもできる。また、「SYNAPSE VNA」は各診療科のシステムに保管されている診療情報を集約して保管できるため、システムを更新する際に新旧システム間で必要となるデータ移行において、作業面・コスト面の負担軽減に貢献。さらに、複数施設の診療情報を一元的に管理し、共通のルールで運用することも可能である。地域連携時に、診療情報の共有基盤としての活用が期待される。
当社は平成27年5年に販売子会社 FUJIFILM Medical Systems U.S.A., Inc. を通じ、米国でVNAの先駆者として市場をリードしてきたTeraMedica社(現在は、FUJIFILM Medical Systems U.S.A., Inc.に統合)を買収し、VNAの積極的なグローバル展開を推進している。同社のVNAは、大容量の診療情報を管理・保管する大学病院グループや地域の医療機関に導入され、安定的に運用されてきた実績から、その優れたシステム設計と拡張性が高く評価され、米国の医療系独立調査機関KLAS(*4)によるVNA分野での2014年のレポートにおいて、最高賞となる「Best in KLAS awards」を受賞した。同社のVNAは、米国でトップクラスの医療体制を整えた大手病院Mayo Clinicをはじめ米国内の約200の病院、全世界で合計300以上の病院へ導入されている(*5)。
「SYNAPSE VNA」は、平成28年1月に、大阪大学医学部附属病院に先行導入され、稼働を開始している。診断や検査などを通じて、同病院で生じる画像データの量は国内有数の規模で、これまで蓄積してきたデータと今後6年間で生じるデータを合わせると、約700TBに上ると試算されている。同病院からは、「診療科ごとに運用している複数のシステムから、メーカーを問わず一つのストレージに保管ができる『SYNAPSE VNA』は、システムの安定性についても高い信頼がおける。当院では、大量の診断画像データが管理されているが、他社システムからの移行もスムーズに行うことができた。将来的には、院内・病院間でのデータ保存・共有を発展させていく基盤となると期待している」とのコメントをいただいている。
富士フイルムは、今後も病院内のITシステム運用の効率化や、病院間における診療情報の共有基盤として地域医療連携への活用が期待される「SYNAPSE VNA」の導入を加速させることで、効率的で質の高い医療サービス実現に貢献していく。
*1 PACSで管理する標準規格DICOM画像、JPEG画像、MPEGの動画、PDFファイルなど。
*2 Vendor Neutral Archiveの略。異なるメーカーのPACSや各診療科のシステムに管理されている多様な診療情報を一元的に共通ルールで管理・保管できるアーカイブシステム。
*3 Picture Archiving and Communications Systemの略。CT、MRI、CRなどの医用画像診断装置からの検査画像を電子的に保存・検索・解析する医用画像情報システム。
*4 実際に医療機関などへの取材をとおして各社の機器・システムを分析することで定評のある、米国の医療専門の調査会社。
*5 提携パートナーからの販売を含む。
<SYNAPSE VNAを導入した場合>
異なる診療科間や複数施設間で、デジタル化された診療情報を共通ルールの下、一元的に管理できる。
*6 Digital Imaging and Communications in Medicineの略。医用画像システムや医療情報システムなどの間で、デジタル画像データや診療データの保存・通信方法について定めた国際標準規格。
*7 容量追加の際、CPUやメモリ、ネットワークも同時に増設されるNAS(Network Attached Storage)システム。
*8 Storage Area Networkの略。複数のコンピュータとストレージ(外部記憶装置)の間を結ぶ高速なネットワーク。
記
1. 品名 「SYNAPSE VNA」
2. 発売日 平成28年4月15日
3. 主な特長
(1) 病院内の各診療科システムの診断画像や各種動画などを一元的に管理・保管
病院内の診療情報は、放射線科、循環器科など診療科ごとに専用のPACSやシステムで、異なったルールに基づいて管理・運用されるなど、独立した状態で存在している。「SYNAPSE VNA」は、診療科ごとのPACSやシステムで管理されたこれらの診療情報を、共通ルールで一元的に管理・保管することができる。診療情報を集約して保管できるため、各診療科のシステムを更新するたびに必要となるデータ移行において、作業面・コスト面の負荷軽減に貢献。また、VNAで管理されるすべての情報を、各診療科システムの専用ビューワから参照することが可能。患者ごとに複数の診療科の情報を一覧することもできる。
(2) 複数施設の診療情報を一元的に管理し、連携時の共有基盤として活用
異なるメーカーのPACSに対応しているため、グループ病院など複数施設間においても、各病院の診療情報を「SYNAPSE VNA」で共通ルールの下、一元的に管理することが可能。また、「SYNAPSE VNA」は、施設間において文書を共有する規格「IHE(*9)XDS(*10)」に対応。地域連携を行う際に、診療情報の共有基盤としての活用が期待される。
(3) 最新アーキテクチャの採用
一般的にPACSや各診療科のシステムは、保管するデータ量が増えるとストレージ領域の拡張などの管理作業が発生し、負荷が大きくなっていた。「SYNAPSE VNA」は、「SAN(Storage Area Network)」のほかに、「スケールアウトNAS」を採用可能。システムのディスク容量やパフォーマンスを自由に拡張できるため、その負荷がかからない。
*9 Integrating the Healthcare Enterprise の略。医療情報システムの相互接続性を推進する国際的なプロジェクト。
*10 Cross-Enterprise Document Sharing の略。施設間などにおいて文書を共有するしくみ。
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富士フィルム(株)販売統括本部 マーケティング部
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