本システムは、カテーテルアブレーション時の心臓マッピングをより迅速かつ正確に提供し、不整脈を有する患者様の治療を最適化
セント・ジュード・メディカル(株)は、Ensite Precision™心臓マッピングシステムおよびAdvisorサーキュラーマッピングカテーテルSEの製造販売承認を取得、日本で上市することを発表した。ハードウェア、カテーテル、体表面電極(パッチ)およびソフトウェア機能の革新など、使いやすさを改善するために設計された一連の新しい技術が導入されることになる。新しいEnSite Precision™心臓マッピングシステムは、同社の電気生理ポートフォリオの最新製品で、心拍リズムの異常(不整脈)を有する患者様の治療において、心臓マッピングの自動化、柔軟性およびより正確さを提供するように設計されており、複雑な不整脈診断を容易にするシステムである。この次世代プラットフォームは、欧州で有名な電気生理学研究所や病院ですでに導入されており、今や欧州の100以上の施設で設置・使用されている。2016年1月にCEマークを取得後、欧州では何千もの症例でこの新しいプラットフォームが使用されている。
医師が異常な心拍リズムの治療でカテーテルアブレーションを行う場合、アブレーションカテーテルの先端にあたる心臓組織の小領域が高周波エネルギーによって加熱され、焼灼巣つまり小さなやけど痕が作られる。結果として、この組織は不整脈を伝える/持続することができなくなる。心臓マッピングは心臓のライブビューを表示することから、医師は心臓の解剖学的構造を視覚的に理解しながらカテーテルを進めることで、より正確にアブレーション療法を実施することができる。新しいEnSite Precision™心臓マッピングシステムは、デュアルテクノロジーを用いた新しいプラットフォームを提供し、極めて詳細な解剖学的モデルとマップを表示することによって、治療の指針となるばかりでなく、心房細動または心室頻拍などの複雑な不整脈を含むさまざまな不整脈をより効率的に治療することができる。
AdvisorサーキュラーマッピングカテーテルSEは、先進的なハンドリングと操縦性を目的に設計されていることから、インピーダンスフィールドの柔軟性および磁場の安定性をもって、正確なナビゲーションおよびモデル作成が可能である。また、EnSite Precision™心臓マッピングシステムによって、最低限の蛍光透視法を用いたリアルタイムでのカテーテルナビゲーションの実現が可能なことから、患者様や医療従事者が過度のX線に曝されることに関連したリスクの可能性を低減することができる。
「同社は著明な電気生理学者と協力して、今日のアブレーション手術時に必要とされる自動化、柔軟性および正確さを提供する心臓マッピングシステムを開発しました。」と、セント・ジュード・メディカルのチーフメディカルオフィサー兼メディカルアフェアのバイスプレジデント、マーク・カールソン医師は述べている。また、同医師は、「医師らによって欧州の施設で本システムが採用されてきたことをたいへん嬉しく思うと同時に、より多くの承認取得を目指すことでシステム利用の可能性が広がることに期待してやみません。」と述べている。
また、ドイツ、ライプチヒ大学心臓病センター(University of Leipzig Heart Center)電気生理学科のディレクター、ゲルハルト・ヘンドリックス教授は次のように述べている。「複雑で進行した心不整脈を有する患者様のアブレーション症例の支援において、この技術プラットフォームが与える影響が非常に大きいものであることを感じています。今日、複雑で困難な不整脈を有する患者様が増えてきています。こうした不整脈では、非常に正確かつ迅速な解析とアブレーション戦略が求められます。EnSite Precision™プラットフォームは、標的部位に迅速にアクセスすることから、速くて正確なマッピングデータの作成、そして自動データ解析まですべてを支援しています。」
EnSite Precision™心臓マッピングシステムは、世界の 2,000以上の電気生理学研究所で使用されているSt. Jude Medical™ EnSite Velocity™心臓マッピングシステムに基づいている。EnSite Precision™心臓マッピングシステムには、EnSite™オートマップモジュールを含む新しいソリューションが導入されており、電気生理学者は、治療を容易にするための自動心調律マッピングツールを使って、不規則な心拍の原因を特定する形態学的照合をより迅速に行うことができる。EnSite™オートマップモジュールには新しいターボマップ機能があり、医師は記録されているデータを使って、現行システムより10倍速く心臓マップを作成することができる。セント・ジュード・メディカルは、心臓に複数の起源がある不整脈を経験された患者様にとって、この技術が新たなスタンダードとなることを期待している。
「同社の新しい EnSite Precision™心臓マッピングシステムは、医師が心臓内で正確にナビゲーションすることが可能となるよう、また、より優れた診断結果を得るための高密度の診断データの提供を医師が受けることができるよう設計されています。そして医師は、個々の患者様および状況に適したツールを使用することができます。」と、セント・ジュード・メディカルのクリニカル、メディカルおよびサイエンティフィックアフェアのバイスプレジデント、スリジョイ・マハパトラ医師は述べている。また、同医師は、「本システムの知的に設計された自動化ツールによって、症例間での一貫性をさらに保ちつつ、より迅速で正確な高密度のマッピングが可能になりました。これらは今日の EP ラボのニーズに応える重要な要素です。」と述べている。
Ensite Precision™心臓マッピングシステムの製造販売承認に加えて、同社は、イリゲーション型アブレーションカテーテルである TactiCath™ Quartz アブレーションシステム N の製造販売承認も取得した。セント・ジュード・メディカルの最新技術でありアブレーション手技の過程で心臓壁にかかる力を修正するために医師によるカテーテルのコントロール性を高めるよう設計されており、発作性の心房細動(AF)の治療を受ける患者の病変部位をより効果的に焼灼することを目指している。この二つの製品が上市されることで、心房細動と不整脈患者の治療に取り組む医師に最適な治療法を提供することが可能となる。
EnSite PrecisionTM心臓マッピングシステムについて
EnSite Precision™心臓マッピングシステムには柔軟性があり、ワークフロー効率を高める。すなわち、医師は EP カテーテルを使って心腔内マッピングを実施し、手順をカスタマイズすることで各症例の状況に対処することができる。また、St. Jude Medical™ EnSite Precision™心臓マッピングシステムおよび同社のSensor Enabledツールによって、最低限の蛍光透視法を用いたカテーテルナビゲーションの実現が可能なことから、過度の放射線に曝されることに関連したリスクの可能性を低減することができる。
EnSite Precision™心臓マッピングシステムの上市には、新しい体表面電極(パッチ)や Sensor Enabledマッピングカテーテルを含むその他のポートフォリオを含む。TactiCath™ Quartz コンタクトフォースアブレーションカテーテルと共に、これらの新しいツールは当社の包括的 EP ポートフォリオの一部であり、不整脈治療の臨床転帰を最適化する一助となる。
カーディアックアブレーションについて
医師が異常な心拍リズム(不整脈)の治療でカテーテルアブレーションを使用する場合、カテーテルと呼ばれるワイヤ付きの長くて屈曲性のあるチューブが数本、心臓内に挿入される。診断用カテーテルは心臓からの電気的情報を記録し、それを3次元の解剖学的モデルに表示する。これは、異常なリズムを研究するために使用される。
別のカテーテルは、実際のアブレーションに使用される。医師は、標的組織上または標的組織の非常に近くにアブレーションカテーテルを配置する。アブレーションカテーテルの先端にあたる心臓組織の小領域は高周波エネルギーによって加熱され、焼灼巣つまり小さなやけど痕が作られる。結果として、この組織は不整脈を伝える/持続することができなくなる。
販売名:エンサイトシステム Velocity
承認番号:22200BZX00093000
製造販売元:セント・ジュード・メディカル(株)
●お問い合わせ
セント・ジュード・メディカル(株)
URL:http://www.sjm.co.jp/