フィリップス、冠動脈疾患の機能的評価として、冠動脈血流予備量比(FFR)と比較検討した瞬時血流予備量比(iFR)のベネフィットを臨床試験で実証

2017.04.06

 フィリップス(株)は、冠動脈疾患の機能的評価として、冠動脈血流予備量比(FFR)と比較検討した瞬時血流予備量比(iFR)のベネフィットを臨床試験で実証した。

●『the New England Journal of Medicine』誌に発表されたDEFINE FLAIRスタディおよびiFRSwedeheartスタディの臨床結果は、iFRによる冠動脈評価の普及に好影響を及ぼす可能性がある。
●2つのスタディデータは、FFRによる診断と比較して、iFRによる診断は臨床的な予後の予測能がほぼ同等であるが、費用対効果が高く、症例あたりの手技時間を短縮し、患者の不快感を有意に低減することを示した。
●2つのスタディ登録患者数4,529名を最大規模のランダム化にて、冠動脈生理学的評価による長期成績を比較検討した臨床試験である。

 アムステルダム&ワシントンD.C. – ロイヤルフィリップス(NYSE: PHG, AEX: PHIA)は本日、虚血性心疾患の診断および治療において瞬時血流予備量比(iFR)と冠動脈血流予備量比(FFR)を使用し、比較検討した2つの大規模臨床スタディの臨床的な結果が『the New England Journal of Medicine』誌に掲載されたことを発表した。2013年に発表されたiFRは、Image‐guided therapyで世界をリードするフィリップス社の血管内圧による指標(pressure‐derived index)であり、血管拡張剤を使用せずに冠動脈狭窄の生理学的評価を行うことができる。

 DEFINE FLAIRスタディおよびiFR Swedeheartスタディの結果は、2017年3月17~19日にワシントンD.C.で開催された米国心臓病学会学術集会(ACC.17)で発表された。これらのスタディは登録患者数4,529名を現時点で最大規模となる無作為割付を実施し、冠動脈生理学的指標による臨床結果を比較検討した臨床試験である。治験責任医師である英国 Imperial College London のDr. Justin Davies とスウェーデン Lund UniversityのDr. Matthias Götbergによって発表された1 年後の臨床結果は、iFRガイドによる方法はFFRガイドによる方法に比べて費用対効果が高く、症例あたりの手技時間を短縮し、患者の不快感を低減する。2つのスタディはほぼ同じプロトコルのため、一貫した臨床結果を提供できることを示している。

 Duke University School of Medicine の循環器内科部長(Chief of the Division of Cardiology)でありDuke Heart Center の共同センター長(Co‐Director of the Duke Heart Center )を兼務するDr. Manesh Patel(MD, FACC, FSCAI)は、次のように述べている。「この2つの大規模臨床スタディの結果は、冠循環の生理学的評価の普及率を大幅に高める可能性があります。iFRの採用を妨げていた原因の1つが長期臨床成績の欠如でしたが、将来の心血管イベントの発生率に関してiFRガイドによる治療の信頼性はFFRガイドによる治療とほぼ同等であることを示すエビデンスが獲得されたことになります。また、iFRは患者の不快感も低減すると考えられます。2つのスタディの結果は実際の臨床現場での無作為割付試験(large simple trials)が可能であることを示しており、冠動脈インターベンションへの生理学的評価の適用に対する障壁はなくなるでしょう」。

 これまでの冠動脈疾患のImage‐guided therapyは、適切な治療法を決定し、ガイド、実行、確認するために、血管造影画像に加えてFFR を使用し、冠動脈の狭窄部を生理学的に評価する診断法がとられてきた。iFRはFFRと同じガイドワイヤーと器具を使用して測定するが、FFR に必要な最大充血を惹起する血管拡張剤の投与を必要としない生理学的指標である。DEFINE FLAIRスタディおよびiFR Swedeheartスタディは、FFRと比較してiFRが主要心血管イベント(MACE)の発生率を増加することなく、手技時間や費用および複雑さを低減することを明らかにした。DEFINE FLAIRスタディおよびiFR Swedeheartスタディの主要評価項目は、iFR群およびFFR群の1年後のMACE発生率だった。DEFINE FLAIR試験のMACE発生率はiFR 群6.8%、FFR 群7.0%(非劣性、p=0.003)、iFR Swedeheart試験のMACE発生率はiFR群6.7%、FFR 群7.0%(非劣性、p=0.007)であった。
 また、2つのスタディのデータからiFRがFFRに比べて症例あたりの手技時間を短縮し、血管拡張剤の使用よってまれに出現する深刻な症状をほぼ完全に解消できることが確認された。DEFINE FLAIRスタディでは、最大充血を惹起する血管拡張剤の使用が不要になることにより、iFRガイドによる治療はFFRガイドによる治療に比べて処置時間を10%短縮し(p=0.001)、患者の不快感を90%低減する(p<0.01)ことが分かった。これらの血管拡張剤は副作用として、心拍数増加、動悸、潮紅、体温上昇のほか、身体的・精神的苦痛を伴う重篤な症状を引き起こす場合がある。  Philips Volcano の事業責任者(Business Leader)であるChristopher Barys氏は、次のように述べている。 「われわれのImage‐guided therapyの戦略においてイノベーションのクリニカルバリデーションはきわめて重要です。これらの臨床試験の結果は、iFRが患者さんの安全性と診断において有益であることを裏付けています。これらの臨床結果がiFRの採用を推進し、結果的に患者さんのケアが改善されることを望んでいます。2つのスタディのデータは、これまでに収集されたコロナリーフィジオロジーの最大規模のデータセットの1 つであり、冠動脈疾患の生理学的評価におけるiFRの有用性を見事に実証しています」。  DEFINE FLAIR スタディは、欧州、アジア、北米およびアフリカの49施設で2,492例の患者を対象にiFRによるインターベンションとFFR によるインターベンションの臨床結果および費用対効果を比較した無作為割付けによる盲検試験である。一方、iFR Swedeheartスタディは、スウェーデン、デンマークおよびアイスランドの15施設で2,037例の患者を対象にiFRによるインターベンションとFFRによるインターベンションのアウトカムを比較した無作為割付試験である。2つのスタディはともにフィリップス社のプレッシャーガイドワイヤーおよび装置を使用してiFRとFFRを比較している。フィリップス社は2013年に最大充血を惹起させる血管拡張剤を使用しないiFRを発売した。iFRは約15,000名の患者と世界中の4,100以上のカテーテル室でのスタディに使用されている。  本資料は、蘭 ロイヤルフィリップス社が2017年3月18日(オランダ時間)に発表したプレスリリースを日本語に翻訳し、4月6日、皆さまのご参考に供するものである。本資料の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先する。本資料(英文)については、 http://www.philips.com/a‐w/about/news/all‐news.html をご覧ください。

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