オランダ、アムステルダム–肺疾患領域において最近報告された研究結果で、在宅で非侵襲的換気療法(Noninvasive Ventilation、以下NIV)と在宅酸素療法(Home Oxygen Therapy、以下HOT)を併用することで急性増悪を起こした慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease、以下COPD)患者の再入院や死亡までの期間が有意に遅れることが示唆された。
5年間にわたり多施設で行われた本試験では、再入院または死亡までの期間が3 カ月近く延び、試験開始後6 週間の健康関連QOLが改善した。
ロンドンのセント・トーマス病院レーン・フォックス呼吸器科で臨床部長を務めるニコラス・ハート教授は、「これまでは、重度のCOPD で高炭酸ガス血症が持続する患者に提供できる治療の選択肢は限られており、一般的に予後は不良でした」と前置きし、次のように述べた。「本試験では、在宅でのHOTとNIVの併用が、患者のQOLを保ちながら再入院の回数を減らすことが示唆されました。これにより、COPDの治療方針は世界中で大きく変わっていくと予想されます。今後も研究を積み重ね、重度のCOPDにおける死亡率や再入院率を低下させることを目標としていきます」。
COPD患者116名に対する今回のランダム化比較試験はロイヤルフィリップスとの共同出資で行われ、イギリス ロンドンのセント・トーマス病院の呼吸器専門医を代表として実施された。その結果、在宅NIVをHOTに追加することで、再入院または死亡までの期間が、HOTのみの場合の1.4カ月から4.3カ月まで延びた。
フィリップスのチーフメディカルリエゾンであるテオフィロ・リー・チョン・ジュニア医学博士は、「本試験結果から、在宅におけるNIV は重度のCOPD 患者の再入院を予防するための有力な治療方法となり得ることが分かりました」とした上で、次のように述べた。「これにより、患者がより健康で健やかな生活を送れるようになることを願っています。今回の結果は、COPDという有病率が高い呼吸器疾患に関する我々の知見を大幅に増やし、また、臨床医がCOPD 患者の長期にわたる在宅酸素療法をどのように管理するかに大きく影響を与えると期待されています」。
本試験結果は2016年9月にイギリス、ロンドンで開催された欧州呼吸器学会 国際会議で初めて発表された。「COPD急性増悪後の再入院または死亡に対する在宅非侵襲的気療法+酸素療法併用と酸素療法のみの有用性を検討したランダム化比較試験(Effect of home non‐invasive ventilation with oxygen therapy vs. oxygen therapy alone on hospital readmission or death after an acute COPD exacerbation: A randomized clinical trial)」と題された最終論文は、米国胸部学会国際会議(米国ワシントンDC、5月19~24日開催)で発表された後に米国医師会雑誌(Journal of the American Medical Association)で報告された。
2017年4月に報告されたフィリップス出資の別の試験では、AVAPS‐AE(トリロジー特有のモード)の使用を含む包括的なケアプログラムの実施によるCOPDの再入院率低下に伴い、患者や病院の医療費負担が有意に削減されたことが認められた。これらの試験に対する出資は、在宅NIVの技術向上を先導し、COPD患者の症状緩和を目標とするフィリップスのコミットメントの表れである。
フィリップスは、BiPAP A40システムシルバーシリーズ、トリロジーのような先進的なNIVを含む幅広いソリューションを提供することでCOPD患者を支援し、QOLを改善できるよう日々取り組んでいる。フィリップスは、現在北米で販売されているトリロジーとCare Orchestratorを広めることで、さらに効率的な患者管理を可能にしている。
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