フィリップスと呼吸器疾患の患者会がコラボレーション
「世界COPD デー」(11 月15 日)に合わせた啓発活動の第一弾
エネルギーUP で患者さんを“食”からケアするレシピ集を発表
(株)フィリップス・ジャパンと、NPO 法人 日本呼吸器障害者情報センター(以下J-BREATH)は、国内患者数が500万人超と推定され、主にタバコが原因で引き起こされる呼吸器疾患「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」の啓発活動を開始する。その第一弾の活動として、11 月15 日(水)の「世界COPD デー」に合わせ、専門医や管理栄養士の協力の下、COPD 患者さんの栄養食事療法をサポートするレシピ集「COPD患者さんのおうちごはん」を作成。
■専門家の協力のもと、COPD 患者さんの視点を取り入れたレシピ
COPD は、長期間にわたる喫煙習慣などで生じる炎症性疾患で、重症化すると、自力での呼吸が困難になるなどQOL が著しく低下する。国内の潜在患者数は500 万人以上*と推定され、高齢化に伴い、患者数、死亡者数のさらなる増加が懸念されている。
こうした背景から、COPD 患者さんの治療法の一つである在宅酸素療法に使用する機器(酸素濃縮装置)の取り扱いを日本で開始して10 年という節目の年を迎えるフィリップスは、COPD 患者さんやそのご家族、介護者の方へのさらなる貢献を目指し、J-BREATH と共同で啓発活動を実施する運びとなった。
その第一弾の活動となるレシピ集「COPD患者さんのおうちごはん」の制作は、COPD の栄養食事療法の第一人者である駒沢女子大学 人間健康学部健康栄養学科 教授の田中 弥生 先生を中心に作成され、東京女子医科大学八千代医療センター 内科 部長、呼吸器内科 教授の桂 秀樹 先生に監修いただいた。また、J-BREATH から患者さんと支えるご家族の視点でのご意見をいただき、日頃の食生活に取り入れやすいレシピとなっている。
■COPD 患者と食の重要性
患者さんは、肺機能の低下で呼吸時のエネルギー消費量が多くなるため体重が減少しがちだが、これが呼吸不全の悪化を招くことがある。このため、一般の方より多くのエネルギー摂取が必要な一方、食事の際の息苦しさなどで、十分な栄養を確保できていない現状がある。今回、開発された患者さん向けレシピは、ご家庭で一般的に出されている食事に、エネルギーを上げる工夫を盛り込んだ。これにより、介護する方の負担を増やすことなく、患者さん自身も食事を楽しみながら、無理なくエネルギーを摂取し、健康状態を維持できるようサポートする。
*Nippon COPD Epidemiology study;NICE study より
―『COPD患者さんのおうちごはん』のポイント―
1)COPD 患者さんの体重減少を防ぐ高エネルギーなレシピ
一般の方の約1.5 倍のエネルギー量が必要なCOPD 患者さんのエネルギー摂取をサポート。
2)和洋中を織り交ぜ、一日のあらゆるシーンで活用が可能
トータル12 レシピ(基本献立52 品、変化献立例45 品)と間食6 品を作成。
3)食卓のメニューを生かしつつ、手間を掛けずにエネルギーUP する工夫が満載
油を使った調理、マヨネーズやドレッシングなどの調味料、乳製品などの活用など。
4)患者会の全面協力の元、COPD 患者さんの食の悩みに配慮
食べやすさや、食欲増進などの患者さん、家族のニーズに対応。
レシピ例
レシピ開発者らのメッセージ
東京女子医科大学八千代医療センター 内科 部長/呼吸器内科 教授
桂 秀樹 先生
COPD(慢性閉塞性肺疾患)は従来、肺気腫と慢性気管支炎と呼ばれて疾患を合わせた疾患概念で、長年の喫煙が主な原因の肺の生活習慣病です。わが国でも40 歳以上の8.6%、約530 万人の患者さんがいると言われていますが、認識が十分ではなく、治療を受けている患者さんは1 割にも満たないと言われています。
COPD は様々な疾患を合併することが知られていますが、特に重要なのは低栄養状態です。低栄養で「やせ」をきたすと、増悪を来たす頻度が高く、呼吸困難も強く、生活の質も低下し長生きできないと言われているため、患者さんに早期から適切な栄養指導を行い、体重を低下させない対策が重要です。患者さんに栄養指導がなされていても、具体的にどのようにしたらいいかわからないとの声がありました。「COPD 患者さんのためのおうちごはん」は、日本人のCOPD に合った食事を具体的に提案し、患者さんが簡単に栄養療法に取り組めるようになっています。是非このレシピ集を1 人でも多くの方にご使用いただき、栄養指導や栄養療法に役立つことを希望します。
公益社団法人 日本栄養士会 常任理事
駒沢女子大学 人間健康学部健康栄養学科 教授 田中 弥生 先生
COPD 患者さんは呼吸不全の問題だけでなく、加齢に伴い筋肉量が減少するサルコペニアや、心身の活力低下に伴い要介護状態に移行するリスクとなりうるフレイルの問題なども含めたケアを考慮する必要があります。このため、COPD の栄養食事療法では、エネルギーはもちろんのこと、しっかりと筋力をつけ、食力をあげることが大切です。ぜひ、多くの患者さん、ご家族にこのレシピを活用いただき、家庭での“食”からのケアにご活用いただけますと幸いです。
NPO 法人 日本呼吸器障害者情報センター 理事長 遠山 和子
おいしい食事を楽しむことは、患者さんの療養生活のモチベーションを高める要因となります。その一方で、普段の家庭のメニューを考えるに当たっては、COPD 患者さん向けに注意すべきポイントや、エネルギーを上げる方法などについて十分な知識が行き渡っていないことが課題でした。手軽なエネルギーアップの方法が盛り込まれた「COPD 患者さんのおうちごはん」によって、「おいしいものを食べたい」「食事を楽しみたい」という患者さん、家族の想いが叶えられることを願っています。
株式会社フィリップス・ジャパン 代表取締役社長
フィリップス・レスピロニクス合同会社 職務執行者社長 堤 浩幸
2017 年は、フィリップスが在宅酸素療法(HOT)に使用する機器の取り扱いを開始して10 年となる節目の年です。COPD は、原因となるタバコは喫煙率が減少している反面、高齢化の影響から患者数は一層の増加が懸念されており、その対策は喫緊の課題です。この度のCOPD 啓発活動を通じ、フィリップスはこれまで以上にCOPD患者さんやその介護者の方々の健やかで満ち足りた暮らしに貢献したいと考えています。
●お問い合わせ
(株)フィリップス・ジャパン ブランド コミュニケーション部
TEL: 03-3740-5896
NPO 法人 日本呼吸器障害者情報センター
TEL: 03-5981-1181
URL:https://www.philips.co.jp/