新しい産業創出を目指す「単回医療機器再製造推進協議会」発足

2018.02.02

 このたび任意団体「単回医療機器再製造推進協議会」(以下「本協議会」)が発足した。医療機器分野の新しい産業領域として、単回医療機器再製造業の育成と発展を期すこととなる。
 使用済みの単回使用医療機器(SUD=1回限り使用できることとされている医療機器)を医療機器製造販売業者が、その責任のもとで適切に収集し、分解、洗浄、部品交換、再組み立て、滅菌等の処理を行い、再び使用できるようにする「再製造」に関する新たな通知が、厚生労働省より昨年7月31日に示され、それに係わる法整備が行われた。本協議会は、これら国の新たな施策を受け、医療の安全を確保しつつ資源の有効活用、持続可能な医療の提供を可能とするため、行政の窓口として機能するとともに、広く医療提供者、関連団体、産業界に対して正しい知識の普及、啓発、推進を行い、国民の医療に貢献することを目的として、「再製造」事業、およびその関連事業への参入を目指す個人、法人、団体により結成、発足させたものである。設立時現在の企業会員は9社だが、今後広く門戸を開き多くの再製造関係・関連企業の参加を呼びかけていく。

 SUDの再製造は、米国ではすでに医薬食品局(FDA)により2000年から制度の整備が行われ、現在は広く普及するに至っている。米国での主な再製造品には、心臓EPカテーテル、腹腔鏡用シーリング装置、超音波メス先、関節鏡用シェーバ先、超音波カテーテル、パルスオキシメータプローブ、血圧用カフなどがある。また、ドイツでも、再製造品はCEマークを取得してオリジナル品と同等として取り扱われており、EUでは2017年に医療機器指令を改訂して制度の整備が完了している。
 日本では、2015年度および2016年度に厚生労働科学特別研究事業として、研究総括者である武藤正樹教授ならびに上塚芳郎特任教授のもと、米国・欧州におけるSUD再製造の実態と規制の現状を調査し、また国内におけるニーズ調査、再製造ガイダンスのあり方の検討等を行い、昨年の制度整備への道筋をつけるに至っている。将来の日本国内における再製造品の市場規模を現在時点で見通すことは難しいものの、欧米の状況に照らせば、今後大きく成長発展する期待の大きい産業であることは疑う余地がない。本協議会では、関係行政機関への提言や意見調整を進めていく。また、研修会、勉強会、シンポジウム等を通じて、広く一般的に単回医療機器再製造についての正しい理解と、安全性の周知を進めていく。
 本協議会では、産官学との密接な連携のもと、SUDの「再製造」を新しい産業として大きく育成すべく努力していく。

【単回医療機器再製造推進協議会の概要】
発足日:2018年1月5日
所在地:東京都中央区日本橋浜町二丁目31番1号浜町センタービル内
一般財団法人松本財団内
役員:
理事長:松本謙一(サクラグローバルホールディング株式会社 代表取締役会長)
副理事長:佐伯広幸(日本ストライカー株式会社 代表取締役社長) 佐々木勝雄(株式会社ホギメディカル 取締役生産本部長)
監事:関丈太郎(アイテック株式会社 代表取締役社長)
最高顧問兼特別会員(順不同):
武藤正樹(国際医療福祉大学大学院 教授)
上塚芳郎(東京女子医科大学附属成人医学センター 特任教授)
特別会員(順不同) :
安原 洋(東京大学医学部附属病院 教授)
坂巻弘之(東京理科大学 教授)
青木 眞(米国内科学会認定感染症内科専門医)
高階雅紀(大阪大学医学部附属病院 病院教授)
洪 愛子(元 日本看護協会常任理事)
企業会員(設立時・五十音順):
アイテック株式会社、オリンパス株式会社、サクラグローバルホールディング株式会社、サクラ精機株式会社、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社、第一医科株式会社、日本ストライカー株式会社、株式会社ホギメディカル、メディアスソリューション株式会社
事業:
1) 単回医療機器再製造に関する関係省庁、国内外関連団体との連絡・意見調整
2) 再製造医療機器に関する技術的課題の検討と関係省庁への提言
3)再製造医療機器に関する海外状況の情報収集と提供
4)医療機器再製造に関わる製造、販売業者等に対する法的要件の周知等に必要な勉強会の開催
5)医療提供者に対する再製造医療機器に関する適切な情報提供活動
6)その他本会の目的を達成するために必要な事業

●お問い合わせ
単回医療機器再製造推進協議会
事務局 長谷川フジ子
TEL:090-1848-7181
Mail:f.hasegawa@sakuraghc.com