富士フイルムメディカル、デジタル式乳房用X線診断装置「AMULET Innovality(アミュレット イノバリティ)」のオプションに乳房の圧迫を自動減圧制御する「Comfort Comp(コンフォート コンプ)機能 “なごむね”」と乳腺領域の乳腺量計測機能を追加
富士フイルムメディカル(株)は、デジタル式乳房用X線診断装置「AMULET Innovality(アミュレット イノバリティー)」向けのオプションとして、乳房の圧迫を自動で減圧制御する「Comfort Comp(コンフォートコンプ)機能 “なごむね”」及び、医師の診断をサポートする「乳腺領域での乳腺量計測機能」を4月16日より発売する。
なお、4月13日から15日にパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催される「2018国際医用画像総合展(ITEM2018)」にて、これらの機能は展示される。
2010年における日本人女性の乳がん検診の受診率は39.1%だったが、政府による受診率向上への取り組みや、社会の関心の高まりにより、2016年には44.9%(*1)まで上昇した。しかし、この数値は、欧米など他の先進国に比べると、依然として低いものだ。2017年に一般女性約1,500名を対象に行われたアンケート(*2)では、マンモグラフィ検査を受けていない理由として、2割以上の方が「撮影中に痛かった(痛いらしい)」を挙げ、全回答の3位に入っている。この結果から、撮影時に乳房を圧迫して固定する際に生じる痛み・不快感に対する抵抗などが、乳がん検診の受診率が伸び悩む一因だと考えられている。
富士フイルムは、マンモグラフィ検査を受診しやすい製品・機能・環境の提供を目指すコンセプト「AMULET Harmony(アミュレットハーモニー)」で、乳房を固定する圧力を分散させる「Fit-Sweet(フィット スイート)圧迫板」や、撮影室の雰囲気を明るくする装置用デコレーションラベルなど、マンモグラフィ装置用のオプションを2013年から展開している。
今回、圧迫時の痛み軽減を目的とした更なるソリューションとして、従来通りのポジショニングで乳房の圧迫固定を行った後、乳房の状態や画質・線量に影響しない範囲で圧迫力を自動で減圧する「Comfort Comp機能 “なごむね”」を追加した。乳房には、現在加えられている力だけでなく、過去に加わった力に依存して状態が変化する「ヒステリシス(履歴現象)」現象が生じる。加圧時と減圧時で乳房の圧迫力が同一であっても、減圧時の方が、加圧時よりも乳房の厚みが薄くなる特性を活かし、設定した圧迫力に応じた減圧を自動で行うことで、乳房の圧迫力が最大になっている時間を通常より短縮する。
また、富士フイルムは、「AMULET Innovality」のオプションとして、腫瘤等の病変が観察しにくいとされる高濃度乳房(デンスブレスト)など乳房のタイプを、医師がより定量的に判断できるように、マンモグラフィ画像から乳房領域の乳腺量を自動算出する「乳腺量計測」機能を2016年から提供している。今回新たに、富士フイルムがこれまでマンモグラフィ検査領域で培ってきた画像解析技術を活かして、NPO法人日本乳がん検診精度管理中央機構が定める乳腺分類(*3)基準に沿った算出方法である、「乳腺領域(*4)の乳腺量計測機能」を追加した。本機能により得られた結果は、乳腺分類の精度を高め、また現在検討されている超音波同時併用検診の対象者の判定などに役立つことが期待される。
富士フイルムは今後も、高品質・高画質のマンモグラフィ装置の開発を通して、受診者や医療従事者にとって快適なマンモグラフィ検査を可能にするソリューションを提案することで、乳がんの早期発見と医療の質の向上に貢献していく。
*1 国立がん研究センターがん対策情報センター「国民生活基礎調査による男女別がん検診受診率(40~69歳)の推移」より。
*2 認定NPO法人乳房健康研究会「乳がん検診についてのアンケート[2017]」より。24の選択肢からの複数回答で、1位から4位までの回答は「受診する機会がなかったから(24.9%)」、「費用が高いから(24.6%)」、「撮影中痛かった(痛いらしい)(23.4%)」、「特に理由はない(16.4%)」。
*3 乳房内の乳腺の実質量と分布(脂肪の混在する程度)に関する評価で、病変が正常乳腺に隠されてしまう危険性の程度を示す分類(日本乳がん検診精度管理中央機構「乳房の構成の分類に関するお知らせ」)。
*4 乳房領域内において乳腺が既定量以上含まれる領域。
1.品名
(1)Comfort Comp 愛称“なごむね”(圧迫自動減圧制御)
(2)乳腺量計測機能
(AMULET Innovality 販売名:デジタル式乳房用X線診断装置 FDR MS-3500/認証番号:224ABBZX00182000 のオプション)
2.発売日
2018年4月16日
3.主な特長
(1)Comfort Comp機能 愛称“なごむね”(圧迫自動減圧制御)
ヒステリシスを利用した圧迫自動減圧制御
患者の痛みを軽減する目的で、通常の乳房圧迫完了後に、乳房の厚みが変化しない範囲(+3mm)で圧迫力を自動で減圧する機能。乳房には、加圧時と減圧時で圧迫力が同一であっても、減圧時の方が、加圧時よりも乳房の厚みが薄くなる特性がある。これを利用し、通常の圧迫方法よりも、圧迫力が最大となる時間を短縮しても、乳房の状態がほとんど変化しない様に自動減圧する。
(2)乳腺内乳腺量計測
日本乳がん検診精度管理中央機構は、乳房内ではなく、乳腺内における脂肪の割合に基づいて、乳房カテゴリーを(1)脂肪性、(2)乳腺散在、(3)不均一高濃度、(4)極めて高濃度、の4つに分類している。富士フイルムの乳腺量計測機能では、計測する領域を従来の乳房内の乳腺量だけでなく、乳腺領域での乳腺量に広げることで、上記の分類基準に沿った測定が可能となった。
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