~GEヘルスケア・ジャパン 2018年成長戦略発表会~
GEヘルスケア・ジャパン(株)は2018年4月11日、日本GE赤坂パークビル(東京都港区)にて、今年の成長戦略発表会を催した。テーマは「これまでの成果と今後の成長に向けて」と題するもので、日本の医療環境における課題解決に向けた同社の取り組みについて、説明を行った。
はじめに、同社代表取締役社長兼CEOの多田荘一郎氏が「プラットフォームとパートナーシップによるイノベーション」と題し、昨年実績と今年の成長戦略について講演を行った。
日本の医療環境における課題として、高齢化・健康寿命の延伸、医療提供体制の変化などが挙げられる。高齢化にあわせて、慢性疾患の併存疾患数は増加しており、治療の複雑化、複合的治療の必要性は高い。それに対し、医療提供体制を見てみると、機能の分化・強化・連携が求められている。つまり、急性期から回復期、慢性期から在宅医療と状況が変化してきているという。その他、医師の専門領域や地域的な偏在、専門医制度構築、働き方改革、応召義務・裁量労働制など、様々な課題が噴出している。
それに対し、多田氏は「患者を主体とした医療提供に貢献していきたい」と同社の姿勢について説明を行った。
同氏は先の課題解決に向けた変革に関して、「成長の3本柱」を提示。①患者主体の複合的医療、②業務の効率化、臨床的アウトカム、③連結・可視化、インフラ、といったキーワードについて説明を行った。「データの活用を通して、医療の質やアクセス、コストを改善し、限られた医療資源を有効利用するのがよいのでは」と言及した。
続いて、同社の近年における社内組織体制を解説。アカデミック本部、パートナー営業本部、グループ病院統括部など新しい部門の発足を紹介。「プラットフォームとパートナーシップによるエコシステムの構築が必要。自社の強みと、協業による価値創造が『Precision Health プレシジョンヘルス』につながる」と同氏は指摘した。
それを受けて、アカデミック本部長の松葉香子氏がアカデミック分野での同社の取り組みについて講演。社内組織体制の変革に基づき、新たに発足したアカデミック本部の今後について説明を行った。
「日本において直面する課題と解決策が世界への指針となる」とまずは、アカデミック戦略の位置づけについて松葉氏は言及。アカデミック・成長戦略の活動の軸として、同氏は次のように語った。
「ナショナルセンターや大学病院、関連学会・政策へのアプローチ、国際コミュニティーの3つが活動の軸。その中で、先進的な医療機器の導入や効果のトラッキング、疾患動向を踏まえたテクノロジーの可能性に関する議論、諸外国の特質を生かしたマルチナショナルな協働、などが重要である」
実際に同社では、国立研究開発法人・国立循環器病研究センターや慶應義塾大学、東北大学や九州大学・医学放射線学会などと連携して、各種取り組みを展開している。
最後に、同社との連携を進める国立循環器研究センター理事長の小川久雄氏が講演。同センターの取り組みについて説明を行った。
同氏ははじめに、循環器病の課題について解説。循環器系の疾患における医療費に占める割合は20%、要介護となった要因における割合は23%、と現状について説明し、「循環器疾患の予防と制圧がQOLの向上、医療費削減に貢献できる」と指摘した。
次に、同研究センターの役割と業績についてアピール。心臓移植実施累計108件に及び、国内最多であるという。10年生存率は95%で、100例以上行っている施設の中では、世界で最も良好であるという。
また、2019年7月には、「新・国立循環器病研究センター」が誕生する。同氏は「一つ屋根の下の研究拠点、開発拠点である。多様な企業、研究機関の研究者同士の交流によって、イノベーションを生み出す拠点としての役割が期待される」と重要性を語った。最後に、同研究センターと包括協定締結を行っているGEヘルスケア・ジャパンに対し、「長期的パートナーシップの継続により、非常に面白い内容の提案が出ている同社の今後の展開に期待」と締めくくった。
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