アボット、日本初のサイトメガロウイルスDNA定量検査キット「アキュジーンm-CMV」の体外診断用医薬品の承認を取得

2019.12.24

 アボットジャパン(株)(以下、アボット)は、移植患者やヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染などによる免疫不全状態にある患者の血漿または全血中のサイトメガロウイルス(CMV)DNAをリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法により定量する検査キット「アキュジーンm-CMV(承認番号:30100EZX00035000)」の承認を12月18日に取得したことを発表した。アキュジーンm-CMVは、リアルタイムPCR法でCMVDNAを検出する体外診断用医薬品として日本で初めて承認された1)

 CMV感染は臓器移植、造血幹細胞移植、後天性免疫不全症候群(AIDS)などによる免疫不全状態の患者で最も頻度の高いウイルス感染のひとつである。また、CMV感染は、移植後合併症の1つであるCMV感染症の発症のリスクとなることから、抗ウイルス薬の予防投与または先制治療が行われる。CMV感染のモニタリングにより適切に抗ウイルス薬での治療を行うことで、感染症の発症および死亡率を減らすことにつながる。

 現在、日本におけるCMV感染モニタリングのための標準的な診断法はCMV抗原血症法(アンチジェネミア法)である。CMV抗原血症法は日本で保険適用されており、長年の実績がある。一方、欧米ではリアルタイムPCR法が主流であり、定量検査であること、検出感度が高いこと、好中球が少ない場合にも測定できることなどの利点がある2,3,4)

 
 アボットジャパン(株) モレキュラー事業部 カントリーマネージャーの荻村正孝氏は、以下のように述べる。
「私たちは、治療判断につながる信頼性の高い結果を臨床現場に届けるために、技術開発を進めています。今回開発した2つの領域を標的としたプローブデザインのCMV DNA定量検査キットにより、正確にCMV DNA量を報告することで、DNAレベルの変化によるCMV感染の診断および治療効果モニタリングの改善につながることを期待しています。ひとりでも多くの患者さんに貢献すべく、引続き、本製品の保険適用を目指してまいります。」

 
移植について
 日本では、2017年に2,322例の臓器移植5)、5,500例以上の造血幹細胞移植6)が行われている。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染及びAIDSについてHIV感染は世界的な公衆衛生問題のひとつであり、日本での2018年の新規報告症例数は、HIV感染者が940人、AIDS患者が377人、2018年末までの累積報告症例数は、HIV感染者が20,836人、AIDS患者が9,313人である7)
 

アキュジーンm-CMVについて
 アキュジーンm-CMVは、m2000システムを用いて、移植患者やヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染などによる免疫不全状態にある患者の血漿または全血中のCMV DNAを定量するためのPCRキットである。アキュジーンm-CMVは、The 1st WHO International Standard for Human Cytomegalovirus for Nucleic Acid Amplification Techniques(NIBSC 09/162)8)により標準化された測定結果(IU/mL)を提供し、臨床所見および他の検査マーカーとともに使用され、DNAレベルの変化によるCMV感染の診断および治療効果モニタリングの補助として使用するもの。

1) 2019 年 12月 20 日時点 当社調べ
2) 造血細胞移植ガイドライン サイトメガロウイルス感染症 第 4 版 2018年 8 月改訂 日本造血細胞 移植学会
3) Guidelines for the management of cytomegalovirus infection in patients with hematological malignancies and after stem cell transplantation from the 2017 European Conference on Infections in Leukemia (ECIL 7) (Lancet Infect Dis. 2019 Aug;19(8):e260-e272)
4) The Third International Consensus Guidelines on the Management of Cytomegalovirus in Solid-organ Transplantation. (Transplantation. 2018 Jun;102(6):900-931)
5) 一般社団法人 日本移植学会、2018臓器移植ファクトブック
6) 一般社団法人 日本造血細胞移植データセンター、日本における造血幹細胞移植の実績 2018年度
7) 厚生労働省エイズ動向委員会、平成 30(2018)年エイズ発生動向
8) World Health Organization International Standard. 1st WHO International Standard for Human Cytomegalovirus for Nucleic Acid Amplification Techniques. Website: http://www.nibsc.org/documents/ifu/09-162.pdf. Accessed Dec 20, 2019
 
 
●お問い合わせ
アボットジャパン株式会社
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