GEヘルスケア・ジャパン㈱は、深谷赤十字病院でクラウドコンピューティングを活用した医療用画像のデータホスティング・サービス「医知の蔵(いちのくら)」の試験運用を開始した。
医知の蔵は、同社のPACS(医用画像管理システム)を導入している顧客医療機関が撮影したCTやMRI、PETなどの医用画像をソフトバンクテレコム㈱の保有するデータセンター設備を活用して院外保存するクラウド型の医療サービス。大手ヘルスケア企業と国内トップクラスの通信会社によるデータホスティング事業は国内。同社は医用画像の保存に関する運用管理業務を手掛ける。
同社は10月下旬からのサービス開始に先立ち、9月20日から深谷赤十字病院で医知の蔵の試験運用を開始し、サービスの安定運用を確実にするための使い勝手などを検証し、運用の評価を行う。
深谷赤十字病院は病床数506床(感染症6床)、標榜診療科20科を擁する埼玉県北部の中核医療施設。がん診療連携拠点病院、地域医療支援病院などの多くの指定を受け、同エリアの中心的存在として地域医療の充実に努めている。ヘルスケア製の64列マルチスライスCT「LightSpeed VCT」、MRI「Signa EXCITE 1.5T」、フルデジタル血管造影撮影装置「INNOVA 2100IQ」、フルデジタルマンモグラフィ(乳房X線撮影装置)「Senographe 2000D」などの画像診断装置に加えて、医用画像管理システム「Centricity PACS」を導入し、早期から院内ネットワークの構築や医用画像のデジタル保存に取り組んできた。
医知の蔵を導入することで、医療機関は加速度的に増大し続ける大容量の医用画像データを、院内と同等の利便性を残したまま、各種ガイドラインに対応したセキュリティ体制のもとで外部保管できるようになる。外部保管に伴い、これまでの院内保存時にかかっていた保管スペースやサーバー代、電気代、その他運用管理にかかる人件費などが一部不要になるため、医療機関は核となる診療行為に資源をより集中投下し経営効率を改善できると見込まれている。また医用画像は、プライマリーデータセンターと国内遠隔地に設置されたバックアップ用のセカンダリデータセンターの2カ所で保管し二重化されるため、医療機関のディザスタリカバリ(災害時復旧)体制の強化にもつながるという。
【医知の蔵(いちのくら) 概要】
■名称の由来
医知の蔵は、「医」で医療機関を対象にしていること、「知」で画像を単なるデータとしてだけでなく知識・知恵・知見を駆使し情報を取り扱うこと、「蔵」でこの「知」を保存・保管するサービスを表す。
■特長
GEヘルスケアのPACSは2ティア型と呼ばれる「短期ストレージ」(主に撮影から3~5年以内の画像を保管)と「長期アーカイバー」(病院が電子保管を決定したすべての撮影画像を保管)の2層構造という特長を有しており、医知の蔵ではこの長期アーカイバーに保管されている画像を対象とする。このユニークな2層構造型PACS にデータホスティング・サービスを組み合わせることで、医療機関はこれまでにない以下のようなメリットを享受できる。
1.短期ストレージ(STS)は引き続き院内に置くため、直近に撮影し頻繁にアクセスするデータはこれまでと同様、院内の高速ネットワークを活用した迅速な読影・参照が可能。
2.長期アーカイバーを院外のデータセンターに持つため、長期・短期とも院内に保存されている現状に比べてディザスタリカバリ能力が大幅に向上するだけでなく、さらにバックアップ用のセカンダリデータセンターを遠隔地に用意することでより強固な災害対策を実現。
3.当社が、PACSの保証期間中又は保守契約を締結している医療機関に対して既に提亭しているセキュリティの確保された保守回線(InSite®)を利用可能なため、院内システムとデータセンター間をつなぐ高速回線の新設が不要。その結果、低コストかつ短期間でのサービス導入を実現(院内の環境によって異なる場合がある)。
4.データセンターで保管する長期アーカイバー内に、院内で保存する短期ストレージ(STS)内の画像も含まれているため、将来院内の短期ストレージを交換する際にも、より効率的かつ経済的なデータ移行が可能。
●お問い合わせ
GEヘルスケア・ジャパン㈱
コミュニケーション本部 松井
Tel:0120-202-021