富士フイルム㈱は、連結子会社である富士フイルム富山化学㈱(以下、富士フイルム富山化学)の放射性医薬品事業をペプチドリーム㈱(以下、ペプチドリーム)に譲渡することを発表。ペプチドリームとの間で、新たに設立した完全子会社「放射性医薬品新会社」に対して富士フイルム富山化学の放射性医薬品事業を承継させたうえで、放射性医薬品新会社の全株式をペプチドリームに譲渡する株式譲渡契約を締結した。
本契約により、ペプチドリームから305億円の一時金と当該事業の進捗などに応じたマイルストンを受領。なお、譲渡時期は2022年3月を予定している。
中期経営計画「VISION2023」の下、重点事業分野の1つであるヘルスケアの成長戦略を進めている。現在、医療機器や医療ITなどを扱うメディカルシステムと、バイオ医薬品の開発・製造受託や創薬支援製品、医薬品などを展開するライフサイエンスの2領域で事業拡大を図っている。
今回、ライフサイエンス領域の事業ポートフォリオの最適化を図る中、富士フイルム富山化学の放射性医薬品事業のさらなる拡大・成長のためには、独自のペプチド創薬開発技術を有し、放射性医薬品との組み合わせによる創薬の相乗効果が見込まれるペプチドリームの傘下で事業活動を行うことが最適であると判断。今後、吸収分割により、富士フイルム富山化学が展開する事業の内、放射性医薬品に関わる事業を、設立した放射性医薬品新会社に承継させ、新会社の全株式をペプチドリームに譲渡する予定だ。
富士フイルム富山化学は、現在取り組んでいる新薬開発を推し進めるとともに、既に展開しているペニシリンなどの抗菌剤の製造受託を拡大予定だ。また、昨年新設した、ドラッグ・デリバリー・システム技術の1種である脂質ナノ粒子を用いた製剤(脂質ナノ粒子製剤)の製造設備・インフラなどを活用して受託ビジネスを推進。既に受託が決定している、次世代の新型コロナワクチン候補も含め、mRNAワクチンのプロセス開発・製造受託を積極的に行うことで、政府が進めるワクチン生産体制強化にも貢献。さらに、核酸医薬品などの次世代医薬品分野にも受託領域を広げ、事業の継続的成長を目指していく。