キヤノンは、DR(Digital Radiography)方式の医療用 X 線デジタル撮影装置「CXDI」シリーズ専用コントロールソフトウエアで使用可能な画像処理技術として“Intelligent NR”を開発した。
キヤノンは 1998 年に DR 方式の X 線デジタル撮影装置「CXDI」シリーズの販売を開始し、その高い操作性と高画質によりお客様の好評を得てきた。このたび、AI 技術の一つであるディープラーニングを活用することで、これまで以上に粒状感の少ない画像生成を可能にする画像処理技術“Intelligent NR”を開発した。本技術により、医療現場における質の高い診断への貢献を目指すとともに、将来的に少ない X 線量での画像生成が可能になることを期待する。
■ キヤノン独自の AI 技術により従来処理比で最大 50%のノイズ低減を実現
キヤノンはこれまでも、X 線デジタル撮影における X 線量低減に関する検討とともに、画像のノイズ低減のための取り組みを行ってきた。キヤノンの従来のノイズ低減処理はルールベース方式を採用し、X 線画像におけるノイズの特徴を基に構築された一定のルールに従ってノイズを低減している。この方式ではノイズ処理性能に限界があり、撮影部位や条件によっては粒状感の改善を優先すると被写体の鮮鋭度が低下するなどの課題があった。
“Intelligent NR” はディープラーニングを活用したキヤノン独自の AI 技術で構成され、キヤノンが長年にわたり蓄積してきた「CXDI」シリーズの臨床画像から厳選した約 3,000 点の X 線画像を基に、さまざまな撮影部位におけるノイズの特徴を機械学習している。これにより、従来のノイズ低減処理と比較し、必要な画像信号を維持しながら不要なノイズを効率的に除去することが可能になり、最大 50%のノイズ低減を実現している。
キヤノンは今後“Intelligent NR”を「CXDI」シリーズ専用のコントロールソフトウエアのオプション機能として、全世界で提供していく。
<ご参考:“Intelligent NR”を使用したノイズ低減処理イメージ比較>
1.X線撮影装置の性能評価用器具(バーガーファントム)撮影時のノイズ低減イメージ
2.被写体別のノイズ低減イメージ
■小児胸部撮影時
■骨盤撮影時
<医療用 X 線撮影装置の市場動向>
画像処理や通信などのデジタル技術が急激な進歩を遂げる中、正確で迅速な対応が求められる医療機関においては、患者の医療データを効率的に一元管理することができる電子カルテや、ネットワークを介した遠隔診断システムの導入など、幅広い分野においてデジタルツールが浸透しており、近年では AI を用いたさまざまな取り組みが始まっている。
医療用 X 線撮影装置の市場においては、従来のフィルム方式や CR(Computed Radiography)方式と比べ、撮影画像の表示スピードが圧倒的に速い DR 方式が多くの医療現場で採用されている。さらに、X 線を用いて撮影を行う医療現場においては、放射線防護の基本的な考えに基づき、「人体への X 線の照射は社会的・経済的要因を考慮しながら、できるだけ少なくするよう努力すべき」という「ALARAの原則」の実現が世界的に求められている。(キヤノン調べ)
<“Intelligent NR”の対象製品について>
一般的名称 | 販売名 | 医療機器認証番号 |
X 線平面検出器出力読取式 デジタルラジオグラフ | デジタルラジオグラフィ CXDI-710C Wireless | 229ABBZX00020000 |
X 線平面検出器出力読取式 デジタルラジオグラフ | デジタルラジオグラフィ CXDI-810C Wireless | 229ABBZX00029000 |
X 線平面検出器出力読取式 デジタルラジオグラフ | デジタルラジオグラフィ CXDI-410C Wireless | 229ABBZX00049000 |
2022 年 3 月 23 日
キヤノン株式会社
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