島津製作所は4月21日に近赤外光イメージングシステム「LuminusQuester NI」を発売した。本製品は近赤外光と可視光を同時に撮影可能なカメラと解析用ソフトウェアで構成された非臨床研究用途のシステムである。
従来は「撮影中に検体の処置が出来ない」「小型の検体しか撮影できない」「実験中に薬の挙動を動画撮影できない」などの問題があり、これらを解決する自由度の高いイメージングシステムが求められていた。
室内照明の影響を受けにくい近赤外光を利用しているため、検体を暗箱に入れる必要はなく、作業台に載せたままで投与する蛍光試薬の量などの条件変更と撮影・薬の挙動観察を並行して行うことが可能である。カメラ位置を自由にセッティングができるキャスター付きの台と伸縮自在の備えており小動物(マウス)だけでなく中動物(ブタなど)の検体撮影にも対応できる。
また、解析ソフトウェアは、近赤外蛍光画像と可視画像を重ね合わせて表示できるため、どの部分に蛍光反応があるか、容易に判断できる。撮影中は近赤外蛍光画像や可視画像のリアルタイム動画と近赤外蛍光反応強度グラフを同一画面に表示することで時間経過と薬の挙動を関連づけて観察可能である。撮影後は、記録データを利用して、検体上の観察位置などの条件をソフトウェア上で変更し、再解析を行うことが可能で幅広い研究に対応する多様な機能を備えている。
近赤外光カメラシステム「LIGHTVISION」に用いたイメージング技術を発展させ、がん光免疫療法への取り組みも進めてきた。2003年以来、米国国立がん研究所 小林久隆主任研究員との共同研究や国立がん研究センター東病院における共同研究等に取り組んでいる。本製品はこのような技術を利用して開発された。
今後も島津製作所は近赤外光イメージング技術を用いて、創薬研究の効率化や、医薬品の安全性評価の精度向上に貢献していく。