ギブン・イメージング社、UEGW 2011で、大腸用カプセル内視鏡 PillCam(r)COLONに関する複数の試験結果が報告されたと発表

2011.10.31

-PillCam(r) COLONの日常の臨床適用に関する最初のガイドラインをESGEが 承認。潰瘍性大腸炎患者の粘膜炎症の外来検査、および家族性大腸がんのスクリーニング検査において、PillCam(r) COLONは扁平上皮腫瘍の検出に有用であることを示す新しいデータが発表される-

PillCam® COLON 2 カプセル
(2009 年 CE マーク取得)

ギブン・イメージング社(NASDAQ: GIVN、イスラエル・ヨクネアム)は10月31日、10月22日~26日にスウェーデン・ストックホルムで開催されている欧州 最大の消化器病会議である欧州消化器病週間(UEGW)2011会議において、 PillCam(r) COLONカプセル内視鏡に関する複数の臨床試験の結果が報告されたと発表した。同社はこの会議期間中、ブース番号A08:30で機器展示を行っている。

 イタリア・ローマのカトリック大学消化器内視鏡科のDr.Cristiano Spadaは、「大腸用カプセル内視鏡検査(CCE)の導入と臨床適用に関する最初のガイドライン」について昨日口頭発表し、このガイドラインが欧州消化管内視鏡学会(ESGE)の医療方法論と合致しているとして承認された。 31名の消化器病専門医からなる専門家会議が開催され、17点の研究論文が評価され、その結果、大腸用カプセル内視鏡検査の日常の臨床適用に関する包括的なフレームワークを形成する16の声明文が採択された。これらの声明文は主に、(1) 適応と禁忌、(2) 大腸の前処置、(3) レポート/精密診断、(4) 検査手技に焦点が当てられている。PillCam(r)COLONに関するこのコンセンサスガイドラインは現在、論文化のため学術専門誌に提出されている。

 Dr. Cristiano Spadaは次のように述べている。「PillCam(r) COLONカプセル内視鏡検査は、非侵襲的に大腸を可視化する画期的な検査手技であることが、すでに数多くの研究で示されています。私たちは、この大腸用カプセル内視鏡検査を、臨床現場に適切に組み入れるための指針を広く世界の医療界に指し示すために、このガイドラインを作成しました」。

PillCam(r) COLONに関する試験のポスター発表
 PillCam(r) COLONカプセル内視鏡検査の臨床適用に関する新しいデータが、4件のポスター発表で臨床医によって報告された。

・国立がん研究センター(東京)のDr.Y.Kakugawaは、「Evaluation ofDetectability for Flat Tumors Using Colon Capsule Endoscopy(扁平上皮腫瘍に対する大腸用カプセル内視鏡の検出能の評価」と題したポスター発表(P0123)で、大腸の適切な前処理および専門医によるビデオ画像の慎重な読影によって、大腸用カプセル内視鏡はほとんどの大腸病変を検出できることを確認した。従来の大腸内視鏡検査では、大腸への送気によって平坦病変の検出は通常難しいとされている。

・香港中文大学(中国)医学院のDr. J.J. Sungらは、「The Use Of PillCam(r)COLON In Assessing Mucosal Inflammation In Ulcerative Colitis: A Multi-Center Study(潰瘍性大腸炎の粘膜炎症の評価におけるPillCam(r) COLONの使用:多施設共同試験)」と題したポスター発表(P1062)を行った。この発表では、大腸用カプセル内視鏡(CCE)で可視化した粘膜の外観から活動性の潰瘍性大腸炎と非活動性の潰瘍性大腸炎を識別できるかどうかを100例の患者で検討した多施設共同試験を終了し、その結果、活動性大腸炎に対するCCEの検出感度は89%(95% CI 85% >93%)、特異度は75%(95% CI 57% > 87%)であったと報告した。また、大腸炎に対するCCEの陽性予測値および陰性予測値はそれぞれ93%と65%だった。報告者らは、CCEは潰瘍性大腸炎に対して高い検出精度が見込める安全な検査手技であると結論している。

・スペイン・バルセロナのデルマル病院消化器科のDr. M. Alvarezらは、「Colon Capsule Endoscopy Compared to Colonoscopy for Familial Screening of Colorectal Cancer(家族性大腸がんのスクリーニング検査における大腸用カプセル内視鏡検査と大腸内視鏡検査の比較)」と題したポスター発表(P1152)で、大腸がん(CRC)の高リスク患者に対する大腸用カプセル内視鏡検査のCRC診断率を大腸内視鏡検査と比較し、加えて腸管洗浄剤Moviprepによる大腸の清浄度を評価した試験結果を報告した。互いに盲検化した内 視鏡医が、カプセル内視鏡検査と大腸内視鏡検査を同日に実施した。この試験に組み入れた41例の患者はいずれも、60歳前にCRCと診断された一等親 血縁者を1人、または年齢を問わずCRCと診断された一等親血縁者または二等 親血縁者を2人以上持っていた。Moviprepによる清浄度はおおむね許容範 囲であり(77.5%)、処置レジメンの忍容性は非常に良好であったことが患者から確認され、大腸用カプセル内視鏡検査は、家族性CRCスクリーニング検査において正確で安全な代替検査手技であると、報告者らは結論付けている。

・イスラエルのビクール・ホリム病院消化器科のDr. Samuel Adlerらは、「Capsule Colonoscopy with PillCam(r) COLON 2 Is Feasible as an Outpatient Procedure(PillCam(r)COLON 2によるカプセル内視鏡検査は外来検査に適している)」と題したポスター発表(P0534)で、外来検査における大腸用カプセル内視鏡検査施行の有効性を評価した結果を報告した。試験への組み入れ基準および除外基準、ならびに大腸の前処置は、既報の多施設共同試験と同じだったが、 PillCam(r)レジメンに必要となる追加的な下剤服用の時期を、アラートで患者に知らせる新しいデータレコーダ(DR3)が用いられた。患者は、PillCam(r) COLON 2カプセル内視鏡嚥下後、15分で病院から帰宅した。 患者の誤操作によってエラーメッセージを発した1症例を除き、データレコーダ(DR3)は適切な間隔で、手順を知らせるアラートの自動発信を始めた。試験 適格患者28例中20例(71%)で所見を確認し、大腸がん1例を含めて5例は、その後に大腸内視鏡を施行することになった。このパイロット試験の報告 者らは、PillCam(r) COLON 2は医師の監督下における外来検査に使用可能であると結論している。