島津ダイアグノスティクス、バイオ系ベンチャーのマイキャン・テクノロジーズ社に出資
細胞関連事業に注力して臨床事業拡大へ

2023.04.11

 島津製作所の臨床事業における開発・製造子会社である島津ダイアグノスティクス株式会社(旧社名:日水製薬株式会社、以下SDC)は、3月23日に再生医療分野に特化したベンチャーであるマイキャン・テクノロジーズ株式会社(本社:京都市、以下マイキャン社)に約5000万円を出資した。SDCは2019年にも約2,000万円を出資している。

 マイキャン社は2019年に世界で初めて、増殖培養可能な、ヒト免疫を有する白血球細胞「Mylc(ミルク)細胞」を開発した。血液またはiPS細胞から作製するMylc細胞は、「刺激に対する高い反応性(薬剤への反応試験用途での適性)」「同一の遺伝子情報を持ち均質」「安価な製造コスト」という特長を持つ。

 再生医療分野では、医薬品・ワクチンなどが一部の細菌の菌体成分などによる発熱性物質に汚染されていないかを確認する「発熱性物質試験」が必須である。各国法令で、出荷前にロットごとでの実施義務が定められている。現在はウサギを使った動物試験が主流だが、今後は欧州をはじめ本邦でも薬局方改正などに伴い細胞を利用した試験法(MAT法)への置き換えが進むと見込まれる。マイキャン社は2021年にMylc細胞を使ったMAT法(MylcMAT法)を開発した。マイキャン社は今回の追加出資を受けて、Mylc細胞の安定した製造体制を構築する。SDCとマイキャン社は、SDCの有する特定の細胞に適した培地を開発する能力などを生かして、Mylc細胞や検査試薬、細胞培地などから成る、MylcMAT法を簡易に実施できるキットを製品化し、日本、欧州で共同で販売していく。

 島津グループは今後も細胞関連事業に注力し、マイキャン社と協働しMylc細胞を利用した試験キットをグローバルに拡販していく。また、臨床診断事業において、PCR検査装置や液体クロマトグラフ質量分析計などで使われる感染症検査用試薬などについてのマイキャン社との共同開発を検討していく。

マイキャン社の概要

マイキャン・テクノロジーズ株式会社

代表者:代表取締役CEO 宮崎和雄
所在地:京都府京都市西京区御陵大原1-36 京大桂ベンチャープラザ
事業内容:再生医療技術を使用した「研究用血球様細胞の提供」
     同細胞を用いた「薬系開発の評価サービス」
     実験動物代替法に基づく「各種試験受託サービス」
設立:2016年7月
URL:https://www.micantechnologies.com/home-2

SDCの概要

島津ダイアグノスティクス株式会社

代表者:代表取締役・社長執行役員 小野徳哉
所在地:東京都台東区上野三丁目24番6号 上野フロンティアタワー20F
事業内容:医療機関・研究機関向け培地・診断試薬類の製造、販売ならびに輸出入
     産業関連施設向け培地・産業試薬類の製造、販売ならびに、輸出入
     ヒト細胞を含む生物細胞・組織の培養、保存または検査に用いる培地、試薬等の製造、販売ならびに輸出入
創業:1935年4月6日
URL:https://corp.sdc.shimadzu.co.jp/ 

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島津製作所:https://www.shimadzu.co.jp/