日本BD、微生物検査用「BD BBL™ EHEC クリアーHTシステム寒天培地」 新発売~集団食中毒の原因となるEHECが疑われる菌の分離を確かなものに~
日本BD(本社:東京都港区、代表取締役社長:阿知波達雄)は、集団食中毒の原因ともなっている腸管出血性大腸菌 (Enterohemorrhagic Escherichia coli; EHEC:イーヘック)が疑われる菌を迅速かつより確実に分離培養し、EHECの見逃し防止に寄与する微生物検査培地BD BBL™ EHECクリアーHTシステム寒天培地(以下、EHECクリアーHTシステム寒天培地)を5月16日に発売する。
腸管出血性大腸菌O157に代表されるベロ毒素や志賀毒素を産生するEHECによる感染症は、腹痛や下痢、嘔吐、血便、発熱を伴い、脳症および溶血性尿毒症症候群などの重篤合併症を併発し、死に至ることもある疾患だ※1。感染症法上、三類感染症に定められ、診断した医師はただちに保健所に届け出を行うことが義務付けられている※2。
EHECの分離は、一般的に培養法で行われる。分離培養後、体外診断用医薬品を用いてベロ毒素を産生しているかどうかを判定する※3。近年、現行の培養法では分離が難しい亜テルル酸感受性EHECが存在することが分かってきた※4。こうした分離培養が困難なEHECが見逃されることにより、感染症の重篤化や、感染拡大が引き起こされる可能性がある。そのため、より分離率の高い選択分離培地を用いた原因菌の早期特定・早期診断により、少しでも早く適切な治療を開始することが求められる。
腸管出血性大腸菌EHECが疑われる菌をより高い分離率で分離培養
EHECクリアーHTシステム寒天培地は、1枚のシャーレに2種類の培地が組み合わされている培地だ。これらの組み合わせにより、EHECの疑いのある株を分離すると同時に、これまで分離が難しく見落とされていた亜テルル酸感受性EHECの可能性のある株も含めて、一度の培養検査で分離することを可能にした。
検査時間の短縮により、早期診断、早期治療開始をサポート
2種類の培地からなるEHECクリアーHTシステム寒天培地では、血清型ならびに亜テルル酸感受性に関係なく、EHECが疑われる株を選択分離することが可能となる。取りこぼしによる再分離の手間が省けるため、従来の培養検査方法使用時に比べて検査結果の報告時間を約1~1.5日間短縮する。
日本BDは、本システムにより検査時間を短縮し、検査の効率化に寄与するとともに、医療現場での早期診断、早期治療開始に貢献する。
用語集
・分離/分離培養:人工的な環境下において、複数種の微生物が混在した試料や臨床検体から特定の微生物を発育させ取り分けること
・ 選択分離培地:複数種の微生物が混在した試料や臨床検体から、特定の微生物を発育させ取り分ける目的で調製された培地
※1 IASR 43(5), 2022【特集】腸管出血性大腸菌感染症2022年3月現在(niid.go.jp)
※2 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律https:/elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=410AC0000000114
※3 腸管出血性大腸菌感染症(enterohemorrhagic Escherichia coli)|症状からアプローチするインバウンド感染症への対応ー感染症クイック・リファレンス|日本感染症学会 (kansensho.or.jp)
※4 1-1 総説(R2年報) (pref.ibaraki.jp). https://www.niid.go.jp/niid/ja/ehec-m/ehec-iasrd/10245-iasrt493d01.html
日本BDについて
日本BD(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)は、BD(本社:米国ニュージャージー州フランクリンレイクス)の日本支社として1971年に創立(1985年日本法人化)。世界の製造拠点から、ライフサイエンス研究用製品、臨床検査・感染制御、環境検査関連製品、薬剤投与等の治療用製品を輸入販売している。1987年に日本における生産物流拠点として開設した福島工場(福島県福島市西工業団地)では、細菌検査用の生培地やプレフィル用シリンジ(薬剤充填式注射器)を製造し、グローバルスタンダードの製品を日本の品質基準で供給している。
主要製品:フローサイトメーター(自動細胞解析分離装置)および試薬、血液培養等の細菌・ウイルス検査システムや迅速診断キット、子宮頸がん検査システム、医療従事者を職業感染から守る針刺切創防止機構付きの安全器材や抗がん剤曝露から守る閉鎖式薬剤輸液システム、プレフィル用シリンジ、薬局の効率化をサポートする薬局ロボットなど。詳細は、日本BDホームページbd.com/jp/ を参照。
BDについて
BD(ベクトン・ディッキンソン アンドカンパニー)は、医療技術で世界をリードし、医療分野での新たな知見を求め、診断や治療の質を向上させることで、「明日の医療を、あらゆる人々に™」というパーパスの実現を目指す。患者の治療や医療プロセスに関する革新的な技術やサービス、シリーズを開発することによって医療の最前線で活躍する人々を支える。世界で77,000人におよぶBD社員は、次世代の診断・治療法の研究開発の現場で研究者をサポートし、臨床現場における医療従事者の安全性や医療効率を向上させ、医学研究者たちによる診断技術の研究を促進するよう日々努力をする。世界のあらゆる国の医療機関とパートナーシップを組み、世界規模の最重要課題に取り組むとともに、顧客である医療機関と緊密に連携することで、医療効果の改善やコスト削減、効率化、安全性の向上、医療アクセスの促進に寄与する。
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