2012年9月29~30日、長崎で開催された第22回日本救急放射線研究会の参加報告を、柴田尚明先生にご執筆いただきました!
第22回日本救急放射線研究会参加レポート
聖マリアンナ医科大学病院放射線科
柴田尚明
はじめに
2012年9月28日(金)~30日(日)の3日間、長崎で開催された第48回日本医学放射線学会秋季臨床大会に併設される形で、29日(土)午後および30日(日)午前の2日間にわったて第22回日本救急放射線研究会が開催された。今回この救急放射線研究会の参加レポートを書く機会をいただいたのだが、まず私の自己紹介から少しさせていただく。私はもともと初期研修終了後、約1年半の間関西の救命救急センターで後期研修を行い、昨年の秋から聖マリアンナ医科大学病院放射線科にて救急放射線を中心とした放射線科の勉強をさせていただいている。そのため、今回の研究会も非常に楽しみにしていた。しかし、ちょうど30日の未明ころから台風17号が日本へ接近していたため、帰りの飛行機の都合上、30日のセッションは参加できず、大変残念であった。
研究会のプログラムとしては、「一般演題(26例)」、「石川メモリアル・レクチャー」、「特別教育講演」、「フィルムリーディングセッション」、「ERセミナー」となっていた。このうちアイオワ大学医学部放射線科の佐藤 豊先生の「特別教育講演」と「フィルムリーディングセッション」および「一般演題」の一部は30日に行われたため、これらのレポートは今回割愛させていただくことをご了承願いたい。
さまざまな症例が紹介された一般演題
近年、CTをはじめとした各画像検査の技術的進歩が目覚ましい。そのため、多くの診療現場において、診断・治療を主な目的として、画像は大いに活用され、そして今や必要不可欠なものとなっていることは言うまでもない。このことは救急診療においても言えることである。夜間・休日にもCT検査などを行える病院が増加してきているため、救急診療の質が向上していることは間違いないことと思われる。そのため、救急放射線というもののニーズも今後ますます増加していくのではないだろうか。ただ、救急診療は日常診療よりもより時間的・人的な柔軟性・迅速性が要求され、このためには病院全体での職種を超えた各スタッフの縦横の連携が必要不可欠となってくると考えられる。そのため、各施設で救急診療体制は異なり、診断方法や治療方法の選択などに個性があらわれる。
さて、今回の研究会で発表された「一般演題」にも各施設の個性を垣間見ることができる症例がいくつかみられた。京都市立病院の立川裕之先生が発表された「異所性膵に発症した急性膵炎の1例」や国立病院機構仙台医療センターの加賀谷知己雄先生が発表された「腎動脈損傷後に生じた腎血管性高血圧症の1例」などでは、検査のタイミングや治療方針選択に関して、会場からいくつか質問やコメントが飛び交っており、それらを傾聴させていただきながら、私ならどうするだろうかと考えさせられた。救急に限らず各診療において正解は一つではないため、できるだけ多くの選択肢を知っておくことは大切であり、各ケース・各施設に合わせてアレンジしていくことが大切なのだろうと改めて感じさせられた。さらに、自分では経験できることが限られているため、このような研究会などにできる限り出席し、他施設のいろいろな症例を聞くことが非常に有用であるとも再度感じさせられた。今回も自分では経験したことのない症例をいろいろと勉強させていただき、非常に有意義な「一般演題」であった。
※続きは「Rad Fan2012年12月号」(2012年11月末発売)にてご覧下さい。