第42回 日本IVR学会総会参加レポート Part1

2013.06.21

2013年5月16~18日の間軽井沢にて開催された第42回 日本IVR学会総会の参加報告を、加茂実武先生にご執筆いただきました!

聖路加国際病院放射線科
加茂実武

はじめに
 5月16~18日に軽井沢プリンスホテルで開催された日本IVR学会総会に参加した。“領域を超えた知恵と技術の融合”というメインテーマのもと、今回もたくさんの興味深い講演や発表があった。自分自身が日常診療で関わることの多い分野に偏りがちであるが、印象に残ったことに関して雑多に書かせて頂く。“である調”で書いてもらいたいとのことで、無駄にエラそうな文章になってしまい恐縮な限りです。稚拙な内容もあるかと存じますが、何卒ご容赦ください。

TACE
 バルーン閉塞下TACE(B-TACE)の各施設からの報告が複数あった。ConventionalなTACEではやや否定的な報告が続いているミリプラチンであるが、B-TACEとの親和性は高いのかなと感じた。TACEはIVR医にとっておそらく最も慣れ親しんでいる手技ではあるが、使用薬剤の種類、マイクロバルーンの併用の有無など、それぞれの症例において何が最善であるかまだまだ検討すべきことが多いと改めて感じた。近い将来にビーズが導入された際には、さらに色々な選択肢が増えることになるのであろう。

NBCA
 2012年にIVR学会でもガイドラインが作成され、今回のIVR学会総会では一般演題の大項目のひとつとして挙げられたNBCA。ここ数年で塞栓物質としての地位はより確立し、以前にも増して多くの施設で様々な状況下で使用される機会が増えたように感じる。今回の学会でも、産科出血や上部消化管出血などに対するNBCAによる塞栓術の良好な治療成績の報告がされていた(O-163、出血性胃十二指腸潰瘍に対するNBCA塞栓術後の粘膜障害の評価、嶺貴彦先生他、日本医科大学)。また最近のJVIRのcase reportにもあったがADPKDに対する塞栓術もNBCAを用いた報告があり(O-058、多発性嚢胞腎に対する低濃度NBCA混合液を用いた経カテーテル的動脈塞栓術、吉田理絵先生他、関西医科大学付属枚方病院)、当院でも機会があれば施行したい。2日目ランチョンセミナーでは、バルーン閉塞下NBCA(B-Glue)に関しての講演があった。バルーンを用いて意図的にwedge injectionの状態を作りだすことで、塞栓範囲のコントロールをより良く行うことが出来、大きなスペースを効率よく充填出来る有用なオプションとなる。従来のNBCAによる塞栓術では治療し難い病変/病態に関しても良好な塞栓術が施行できる可能性が示唆され、液状塞栓物質としてのNBCAの新たな可能性が見えたように思う。バルーンへのadhesionのリスクや実際の造影剤とNBCAの動態が異なることなど検討すべき項目はまだ多いが、注目していきたい。座長をされた佐藤先生ら和歌山大から報告されているNBCA、lipiodol、ethanolの混合液による塞栓術(動物実験の段階とのことであるが)も今後が期待される。

※続きは「Rad Fan2013年7月号」(2013年6月末発売)にてご覧下さい。