6月29日、金沢大学で開催された中部IVR地方会の参加レポートを名古屋市立大学の下平政史先生にご執筆頂きました!
名古屋市立大学
下平政史
はじめに
2013年6月29日(土)に金沢大学で行われた日本IVR学会第35回中部地方会に参加した。中部地方会は、北陸地区と東海地区で、ほぼ交互に開催されているが、今回は、富山大学以来、2年ぶりとなる久々の北陸での地方会だ。蒸し暑い名古屋を離れ、東海北陸道を北上し、金沢に向かった。北陸開催の地方会は、東海在住の我々にとっては、ちょっとした旅行であり、楽しい。今回は、他のIVR関係の学会と日程が重なっていたためか、IVRの演題はやや少なめであったが、会場は、開始とともに徐々に混雑しはじめ、立ち見もでていたほどであった。すべてのご発表を興味深く拝聴したが、特に印象に残ったいくつかを紹介させて頂く。
救急IVR
最初の演題は、岐阜大学からの外傷の救急症例であった。腎損傷で、厳しい全身状態であったが、迅速に動脈塞栓し、バイタルが安定したところで、腎摘除となり、救命されていた。岐阜大学では患者が到着したころから、IVR医は救急医からコンサルトを受けているとのことである。当院では、救急IVRはあまり多くなく、DCS(Damage Control Surgery)、DCIR(Damage Control Interventional Radiology)という言葉すら、定着していない。昨年末に東京で開催されたDIRECTセミナーに参加したときにも感じたが、バリバリの救急医と私のような救急IVRに不慣れな放射線科医との間では、時間に対する感覚は大きく異なっている。合併症のリスクが多少上昇しても、なにより迅速な止血を目指すDCIRの概念は、救急IVRが多くないとはいえ、十分理解しておかねばならない。自分の施設で同じような症例が発生したら、救命できるだろうか、と考えさせられるご発表であった。IVR学会からのNBCAガイドラインを再度読み直しておこうと思った。
腎AVMの症例
金沢大学からの腎AVMの症例も大変興味深かった。細く蛇行した、複数のfeederを有するAVMの治療は、難渋することが多い。私も、そのような症例に対して、Triple co-axial systemでそれぞれのfeederの超選択を試み、NBCAを用いて治療したことがあったが、カテーテルも複数使用した上、やはり一部の正常腎実質も塞栓してしまった。これに対し、このご発表は、経静脈的にカテーテルをvenous pouch近くまで挿入し、ウエッジさせたところで、逆行性にエタノールで塞栓した、というものである。正常腎実質は保ちつつ、venous pouchとfeeing arteryは見事に塞栓されていた。逆行性にカテーテルを進めるのは難しそうだな、と思って聞いていたが、Discussionの際に、フロアから、バルーンを使用する方法がsuggestionされていた。バルーンを使用すれば、ウエッジしなくてもアルコールが使用できるし、バルーン閉塞下の逆行性造影をすれば、venous pouchまでカテーテルを進めるのも容易になりそうである。それほど多い疾患ではないが、機会があれば、是非臨床で活かしてみたいと思った。
続きは「RadFan」9月号(2013年8月末日発売)にてご高覧ください。