第二回加齢画像研究会 2013/10/19 報告 ~「加齢画像研究」という新たな学問分野の創生~

2013.10.23

10月19日、エッサム神田ホールで開催された第二回加齢画像研究会レポートを関西医科大学の米虫 敦先生にご執筆頂きました!

加齢画像研究会の様子
奥田逸子先生
第二回加齢画像研究会 2013/10/19 報告
~「加齢画像研究」という新たな学問分野の創生~
 

関西医科大学放射線科
米虫 敦

はじめに

 加齢画像研究会は、近年の美容外科や化粧品開発などの抗加齢医学に対して、画像診断の貢献について研究すべく、放射線科・美容外科・解剖学の専門家が発起人となって2012年に発足した。同研究会の発足のきっかけは、2010年のRSNAに遡る。国際医療福祉大学三田病院の奥田逸子先生がRSNA2010で発表された「Facial Muscles Affect Facial Aging: Does Imaging Allow Diagnosis of Facial Aging?」という教育展示が、学会新聞であるRSNA 2010 Daily Bulletinに取り上げられたことに端を発する。本研究は、CT画像を用いて顔面の加齢性変化を定量的に評価するという内容であり、その独創性と先見性に多くの注目が集まった。近年の画像診断装置の高性能化を背景として、抗加齢を解剖学的あるいは形態学的に研究する新たな学問分野が切り拓かれたのである。

 本稿では、2013年10月19日にエッサム神田ホールで開催された第二回加齢画像研究会について報告をさせていただく。今回の当番世話人はイリモトメディカルの煎本正博先生であった。本研究会が発足して、わずか1年。まだ第二回目の研究会であるにもかかわらず、教育展示が3演題、ランチタイムセミナーが2演題、一般演題が6演題、特別講演が1演題という充実の内容で、土曜日の10時から16時まで開催された。参加者は、放射線科医、解剖学者、美容外科医、形成外科医、化粧品開発者など多岐にわたっていた。

教育講演

 教育講演1では、鹿児島大学大学院医歯学総合研究科神経病学講座人体構造解剖学分野の島田和幸先生が、顔面の表情筋の解剖について講演をされた。本講演では、古典的な解剖書における表情筋に対する記載が系統的に紹介された。表情筋は、個人差と人種差のみならず、左右差においてもバリエーションが多く、特に頬骨筋の幅広いバリエーションを強調されていた。

 教育講演2では、岩手医科大学医学部形成外科・美容外科学講座の柏谷 元先生が、顔面の脂肪解剖について講演をされた。眼輪筋と広頚筋を基準として、顔面脂肪を浅層脂肪と深層脂肪に分類して解説をされた。特に浅層脂肪として、malar fat pad、preplatysmal fatの重要性を強調されていた。Malar fat padは、鼻唇溝(所謂ほうれい線)の形成に関与しており、顔面加齢研究において重要な構造の1つである。
これらの顔面の筋肉や脂肪については、頭頸部の日常臨床画像で描出されているにもかかわらず、今までは画像診断医がほとんど注目をしてこなかった部分である。人が注目をしない部分に関心を持ち、研究を深めることによって、新たな学問的価値を発見するという点で、非常に興味深い講演であった。

 教育講演3は、国際医療福祉大学三田病院放射線診断センターの奥田逸子先生による「画像診断学的解析による顔面加齢の評価」という講演であった。本研究会の発足のきっかけともなった研究の紹介のみならず、最新の研究データを交えた今後の研究展望についての概説であり、本研究会の基調講演とも言える内容であった。加齢画像研究は、まだまだ始まったばかりであり、興味深い研究テーマが無数に存在する分野である。加齢画像研究について、様々な研究テーマの新たなアイディアが湧き上がる素晴らしい講演だった。

続きは「RadFan」12月号(2013年11月末日発売)にてご高覧ください。