2014年5月10~16日の6日間にイタリア・ミラノで開催された、ISMRM2014の参加レポートを、磐田市立総合病院の寺田理希先生にご執筆頂きました!
ISMRM2014参加見聞記
磐田市立総合病院
寺田理希
2014年5月10日から16日までイタリア・ミラノにあるMilano Congressiで開催されたJOINT ANNUAL MEETING ISMRM(International Society for Magnetic Resonance in Medicine)─ESMRMB(European Society for Magnetic Resonance in Medicine and Biology)に参加した。今回、ISMRMへの参加発表は、昨年のソルトレイクシティ開催に続いて2回目となる。昨年のソルトレイクシティは、観光名所もソルトレイク湖くらいしかなく連日のように学会会場で1日を過ごしたが、今回は観光名所が多く誘惑も多い中での学会であった。開催地が毎年変わることもISMRMの魅力の一つである。来年度は、カナダのトロント開催であるアピールも会場で行われていた。学会期間中の気候は、ほとんどが晴天であった。また、日本ほどの湿気もなく気温も日本と同様でとても過ごしやすく感じた。 学会参加の前々日5月10日にミラノ入りしたため、5月11日はミラノ市内の観光を行うことができた。大聖堂内部の美しいステンドグラスや大理石が魅力的で、135本の尖塔と聖人と一番高い位置に金のマリア像が輝いていているドゥオーモやイタリアの音楽家が寄贈した多数の楽器を展示した部屋、バイオリン工房を再現した部屋、電話などの電化製品の変遷の展示・乗り物、飛行機と展示・バイオメカニクスの初歩にも適用可能な先駆的研究ともいわれている筋肉、腱、人体骨格や心臓、循環器などの手稿が展示されていたレオナルド・ダ・ヴィンチ国立科学技術博物館などミラノの魅力を充分に満喫できた。
学会について
ISMRMは、MRIにおける世界最大の国際学会で、私が臨床研究を行う上で最高峰の学会であると考えている。今年は、欧州開催でありESMRMBとの共催であった。演題登録数は、ミラノ開催で人気があったためか例年より約500演題多く6,483演題であり、採択演題数4,934演題で採択率は例年より悪く76.1%であった。インフォメーションで尋ねたところ参加登録は、数十カ国から6,000人弱であった。参加者の多くは主に基礎的な開発に従事しているエンジニアや研究者が多く、postdoctorresearcherや学生らしき若者も多く見られた。また、臨床医や企業関係者などの参加も多いが診療放射線技師による参加は決して多くない印象を受けた。
Welcome&Awards
5月12日朝7時からオープニングとしてISMRM会長のPeter Jezzard, PhDとESMRB会長のElina-Marie Larsson, MD,PhD により「Welcome&Awards」が行われ聴講した。早朝から会場一広いGoldPlenary Hallで学会長挨拶、Gold Medal受賞式、Junior FellowとSenior Fellowの授賞式が行われ、学会について理解を深めるいい機会であった。また、Senior Fellowには、日本人としてラジオ周波数送受信コイルの開発で有名な藤田浩之氏が授賞された。日本人として誇らしいことである。次に行われた二つ目のnamed lectureである「Mansfield Lecture. Innovation in MRI:Seize the First Moment」の講演では、Alpha Waveに関する進歩・enhancedMRAでTRICKSを使用した時間分解の改善能や2D TOF法と比較した有用性、PC法を使用した流体解析:現状の最新撮像法である4D FLOWを用いたPC VIPERと3D Cartesianとの比較、血管内血行動態のカラーエンコードした可視化、CFDとの比較などが講演され聴講した。この講演の最後には、514年前にレオナルド・ダ・ヴィンチが手稿した動脈瘤図と現在のMRIでカラーエンコードされた4D FLOWの画像が比較されていた。技術の進歩を実感ともに衝撃があった。その後のPlenarySessionでは、MRIがGold Standardとなった脳梗塞診断、サラセミアにおけるT2*心臓MRIの紹介などが講演された。昨年も同様であったが、ISMRMのオープニングレクチャーはこれからの5日間の士気を高めるには充分の講演であるように感じた。
The Great Italian Art and Food Challenge
今回のISMRMでは、学会を楽しむためのいくつかの企画があった。臨床医のためのブッフェイベント・MRM掲載論文から現在のMRIの発展に最も影響を与えた30編の論文を紹介するイベント・MR画像を素材に使ったアート作品を展示した「The Great Italian Art and Food Challenge」・各分野のベストポスターについて2分間のプレゼンを行いその後ポスター展示会場のプラズマスクリーンを使った議論を行うPower Posters Sessionなどである。Power Posters Session後のプラズマスクリーンを使った議論では、ベストポスターであるため注目度が高く、多くの聴講者が集まり熱い議論が行われていた。
High Field Imaging Techniques for MRA
学会内容では、特別講演のPlenary Sessionや教育講演のEducational Courseなどが充実している。Educational Courseで最も印象深かった講演は、15日(木)の午後に行われた「Cardio-vascular MRI at 3T&Beyond」の「High Field Imaging Techniques for MRA」の講演であった。タイトルの通り3Tを超えて300MHz(7T)MRI装置の腎動脈MRA画像、非造影MRA画像、冠動脈MRA画像などが紹介されていた。RF pulse designの工夫やRF Shimming、Parallel transmitの最適化により得られた画像であり、Signal Noise Ratio(SNR)とContrast Noise Ratio(CNR)が増加する事が紹介されていた。今まで頭以外の7T MRI画像を閲覧したことがなく非常に衝撃であった。
続きは「RadFan」7月号(2014年6月末日発売)にてご高覧ください。