2015年7月18日に東京コンファレンスセンター品川で開催された、第27回関東IVR研究会の報告を日本医科大学放射線医学 安井大祐先生にご執筆頂きました!
第27回 関東IVR研究会参加体験記
日本医科大学放射線医学 安井大祐
はじめに
平成27年7月18日に東京コンファレンスセンター品川で開催された、第27回関東IVR研究会に参加したので報告する(図1、2)。今年度より日本IVR学会関東地方会から関東IVR研究会に名称変更となっていた。夏の盛りにもかかわらず、多くの参加者のため盛況であり、複数の領域にわたり非常に活発なディスカッションが展開された。一般演題は44演題を数え、ランチョンセミナー・スポンサードセミナーがそれぞれ1演題ずつ用意されていた。また会の最後には今後のIVR専門医制度に関するオープンディスカッションがあり、熱い議論が交わされた。以下印象に残った演題、テーマについて記載する。
一般演題
非血管系及び血管系IVRともに演題は充実していた。非血管系IVRでは、特に防衛医科大学校からのNodal lymphangiographyの話題が印象的であった。昨今リンパ系インターベンションはhotなテーマであり、先の宮崎でのIVR学会総会でも多くの演題が見られた。かつては足背のリンパ管からアプローチしてリンパ管造影を施行していたと聞くが、代替する方法として、経皮的に鼠径リンパ節を穿刺し造影を行うTransnodal lymphangiographyが認知されてきている。非常に簡便な方法であり、造影を行うのみで、ある程度の治療効果が期待できるとのことだったので、当施設でも積極的に症例を探し、是非施行したいと思った。血管系IVRでは、とちぎメディカルセンター下都賀総合病院からの肺AVM治療後の再開通症例が印象的であった。これはAVMの流入動脈をコイル塞栓したが、16年後にcoil compactionによる再開通のため、AVMが再増大し、追加治療を要した症例であった。ディスカッションでは、昨今topicsとなっているsac embolizationの概念やAVMのフォローアップの方法(造影or非造影CT、造影MRI)が話題となっていた。骨盤領域等のAVMでは、すでにprimary venous sacの塞栓という概念が導入されており、肺のAVMに関してもsac embolizationという考え方はreasonableと感じた。また聖マリアンナ医科大学からの膵頭部領域のNBCA-Lipiodolを用いた動脈塞栓術に関する演題も印象的であった。当施設でも術後出血や特発性腹腔内出血に対してNBCAを使う機会が非常に多くあり、改めてNBCAを用いた塞栓術のリスクに関して考えさせられた。大血管のインターベンションでは、昭和大学藤ヶ丘病院からの、慢性解離に対して複数回ステントグラフト留置を行ったという演題が印象的であった。改めて慢性解離の複雑な血行動態に関して考えさせられた。
ランチョンセミナー
兵庫医科大学の廣田省三先生より「門亢症に対するIVRの役割」という演題で御講演いただいた。個人的には成書や文献等でしか廣田先生のことを存じ上げなかったため、直接講演を拝聴でき、非常に有意義であった。まずは門脈系の解剖、BRTOの基本的概念や歴史に関してご説明いただいた。またBRTO後の肝機能の推移やElastographyを用いた予後予測に関してお話しいただいた。前者に関しては、Porto-systemic shunt syndromeという概念を提示されていた。
(続きはRadFan9月号にてご覧ください!)