2015年9月5日にいわて県民情報交流センター(アイーナ)で開催された、第28回北日本IVR研究会の報告を総合南東北病院放射線科 青島雅人先生にご執筆頂きました!!
はじめに
平成27年9月5日に岩手県は盛岡で開催された第28回北日本インターベンショナルラジオロジー研究会に参加した(図1)。会場はいわて県民情報交流センター「アイーナ」で開催された。会場は新幹線の駅からも近く、アクセスの良い会場であった。普段はスクラブを着ている時間が一番長く、ネクタイ、スーツは着慣れないが、9月に入り暑さも和らぎ気候は比較的快適であった。私事としては、放射線科専門医認定試験を受験後で、演題準備にあまり時間が取れない中での参加であり、発表が炎上しないことを望むばかりであった。同会の一般演題は発表8分、討論4分、看護セッションでは発表10分、討論4分とともに比較的長く設定されており、それぞれの発表は詳細で、熱を帯びた討論があり、充実した会となった。
会の構成としては一般演題、看護セッションに加え、特別企画である群雄割拠時代のIVRとしての基調講演、大学病院、一般病院からの事例紹介、教育講演として「救急のIVR:出血症例のIVR」、ランチョンセミナーでは「鳴海病院に於ける興味深い症例の供覧」が企画された(図2)。
一般演題
まず、一般演題で印象的であった演題に関して述べる。まず、東北大学病院放射線診断科の榊原宏幸先生からの発表の「中心静脈路確保困難を来したヒルシュスプリング病類縁疾患に対し、alternativecentral vein routeから中心静脈カテーテルを留置した2例」について。症例1ではCTガイド下に拡張した第3腰静脈を穿刺し下大静脈内に、症例2では超音波ガイド下に左第7肋間静脈を穿刺して、半奇静脈から奇静脈を経由して中心静脈カテーテルを留置したとのことであった。普段CTを読影していて「CVカテーテルの先端が奇静脈に存在します」とレポートを書くことはあっても、「奇静脈を介して上大静脈にCVカテーテルが留置されています」というレポートを書いたことはない。発想も技術もともに素晴らしいと感銘を受けたが同時に、熟練した術者であったから施行可能な手技であるとも感じた。
手稲渓仁会病院放射線診断科の吉野裕紀先生からは、現在ホットな話題であるリンパ管に対するIVRに関する発表があった。足背リンパ管造影法は優れた方法であったが、その煩雑さから現在はlost artとなった手技と紹介された。近年比較的平易に施行可能な経皮的直接穿刺によるリンパ管へのアプローチが注目されている。同発表でもTransnodal lymphoangiographyを施行した2例に関して安全かつ、容易に施行可能であったとの報告であった。症例2の卵巣癌根治術後の乳び腹水に対し施行した症例では、腹腔内へのリーク部位の同定は困難であったが、術後から腹水が減少し、治療に繋がった症例であり、本法が、診断から治療に繋がる非常に有用な手法であることが示唆された。竹川鉦一元弘前大学教授からは、同手技の難易度の高さに関する感慨深いコメントがあると同時に、吉野先生と手技にエールが送られた。リンパ管に対するIVRは2015年 7月31日に開催された第23回郡山血管造影・IVR研究会で慶應義塾大学医学部放射線診断科の中塚誠之先生の講演が記憶に新しく、IVR領域でトピックスとなっている分野の一つであり、機会、症例があれば経験したい。
(続きはRadFan11月号にてご覧ください!)