第2回日本穿刺ドレナージ研究会の参加レポートを、森田 賢先生(東京女子医科大学画像診断・核医学科)にご寄稿いただきました!
2016年5月14日(土)に大阪市で開催された第2回日本穿刺ドレナージ研究会(略して穿ドレ研)に参加した。第一回でも参加見聞記を書かせて頂いたが、今回も担当せよとのご指名であったため、僭越ながら前回との比較等を中心に感想を述べさせて頂きたい。今回の会場は梅田駅直結の大型商業タワーであるグランフロント大阪の一室であった。綺麗な会場で、空調も快適で広々としており、落ち着いて勉強できるスタイリッシュな空間であった。思えば、前回は定員60名の区民センター(いわゆる公民館)に80名以上の参加で、蒸し暑い日という事もあり、会場の熱気とハンズオンで使用したコンニャクの匂いが甘い記憶として蘇るが、第二回目にしてかなりのVersion upと言えよう。今回は参加者も134名と大幅に増加した(図1)。
演題
演題は一般演題が18題(前回の11題から増加)で、教育講演、ハンズオンセミナー、スポンサードセミナー、特別講演がそれぞれ1題ずつであった。一般演題の内訳は、生検やドレナージの技術に関するものが10題、穿刺による合併症に関するものが3題、アブレーションに関するものが2題、その他が3題であった。今回は、放射線治療、外科、脳外科からの発表もあった。また、震災後にもかかわらず熊本からの発表があった事も特筆すべきであろう。前回は討論の時間が6分取られていたが、今回は演題数が増えたためか4分と短縮した。ただし、会場の時間を長めに取られていたので、後半の発表でも時間をさほど気にせずに議論ができていた。
一般演題
一般演題の花形はやはり穿刺の技術に関するもので、各施設の工夫を垣間見る事ができた。印象に残ったものとして、超音波下の肝膿瘍穿刺時にソナゾイド造影剤を用いる方法、MRIガイド時のHydrodissectionの方法、既存のチューブを穿刺して別の経路に変更する方法、チューブ抜去後のトラクトを利用して挿入する方法、経皮的な膵管内瘻化の方法等があった。若手の先生から、虫垂炎後の深部膿瘍に対し経路の工夫をしたが結局経皮的にはドレナージできなかったとの発表があったが、これに対してベテランの先生から経験に基づいたアドバイス(Hydrodissection、曲げた針の中に細いPTCD針を入れて穿刺する等)があり、この様な会ならではのやり取りであった。最後の演題は、VATSの目印のために留置したHookwireが、気管支、咽頭、食道を経由して胃から摘出されたという珍しい報告であり、会場が最も沸いた。
代表世話人の保本 卓先生(都島放射線科クリニック)(右)と
最優秀演題賞を受賞された木下光博先生(徳島赤十字病院)(左)
最優秀演題賞
最優秀演題賞は、徳島赤十字病院の木下光博先生[PTBDにおける仮想透視画像(Virtual Fluoroscopy)活用の試み]が受賞された(図2)。PTBDの際に、事前にWorkstation(SYNAPSE VINCENT)で胆管像を作成しておき、これを参照しながら穿刺・挿入するというものであった。最近のIVR機器には備わっている機能で、血管で使用する事が多いが、これを胆管に応用するといった内容であった。穿刺時やガイドワイヤ挿入時にイメージが沸き易いため、術者の安心度を高めるという意味では有用な手法と考えられる。発表のみでなく、受賞後のスピーチも秀逸で、3 ヶ月間週1日徳島から福井県済生会病院の宮山士朗先生の元に通われて、IVRの研鑽のみでなく、研究に対する姿勢を学び、今回の受賞につながったとの感動的なスピーチであった。
★続きはRadFan2016年7月号にてご覧ください!