第46回日本IVR学会総会 参加レポート2

2017.06.28

第46回日本IVR学会総会参加レポートを岩越真一先生(奈良県立医科大学放射線科・IVRセンター)にご寄稿頂きました!

はじめに
 新緑の美しい季節、2017年5月16日~18日に「晴れの国おかやま」で第46回日本IVR学会総会が開催された。「晴れの国」の名前の通りに快晴の中、岡山コンベンションセンター、岡山医師会館で行われた。今回、この第46回日本IVR学会総会への参加レポートを寄稿させて頂く機会を頂いた。私は、主に大動脈疾患、下肢動脈疾患に対するIVRを行っており、動脈系IVRのセッションを中心に参加レポートを書かせて頂く。また、私が「外傷・救急IVRの教育、研修、認定 を検討するアドホック委員会」にて委員を務めさせて頂いている関係で、この外傷・救急IVRについてのセッションにも参加したため、これについても報告を行う。

外傷・救急IVRの教育、研修、認定 を検討するアドホック委員会報告
 全国的なIVR医不足に伴い、やむを得ず救急医が救急IVRを施行している施設があるとのことである。こういったIVR医以外の医者が施行する救急IVRの質を向上させる目的に上記委員会が設立された。
この委員会における活動を報告するセッションであった。
 当初、当委員会では認定制度の作成までを目指す予定であったが、認定医に課すハードルについて関係各位が納得できるレベルを設定することが困難であり、現段階では凍結という方針で決定している。認定を与えるということは、いわゆる‘お墨付き’を与えてしまうことになるので、我々IVR医としては高いレベルでのIVRができてこその認定と考えるが、外傷学会や救急学会側からすると高いハードルでは認定を取れるものがおらず、制度として成り立たないのではないかとの意見がある。実際に報告会においても、フロアから同様の意見が出され、現状で関係者全員の理解が得られるレベル設定は困難だと感じた。
 同報告会では、委員会の活動の一環として行った全国調査の結果が、北里大学の樫見先生から報告された。全国284施設中164施設(57.7%)から回答を得ており、結果を以下に纏める。また、並行して行われた若手救急医(206人)へのアンケートも報告された。

全国調査

・救急IVRの担当科;
放射線科(66%)、救急科(16%)、放射線科+救急科協稼(12.3%)
・救急IVRの担当医数/施設;
1人(13.1%)、2人(33.8%)、3人(20.6%)、4人以上(32.5%)
・主たるIVR担当者の救急・外傷診療に対する理解度;
十分理解している(62.3%)、理解しているが十分でない(35.8%)

若手救急医へのアンケート

・救急医のIVR医取得状況;
取得(6.2%)、取得していないがIVR研修歴あり(49.1%)、IVR研修歴もなし(44.7%)

・IVR研修方法;
院内放射線科出向(24.7%)、他院放射線科出向(32.6%)、救急科所属のまま(42.7%)
・IVR医取得の希望;
希望する(83%、うち何らかの理由で取得困難58.5%)、希望しない(17%)
・IVR手技のブラッシュアップコース(有料)の受講希望;
希望する(88.1%)、希望しない(11.9%)

 これら結果より、やはり現状では十分なIVR医が確保できていない施設が多いこともわかった。また、救急医からIVR医に対して、救急・外傷診療に対する基本的な知識の取得や、心構えなどが要求されていると感じた。一方で、救急医にとってもIVRのニーズを理解し、習得を目指すものが少なくない現状も理解される。
 報告会後に行われた委員会でも、十分な研修システムが確立されていないことが最も大きな問題だと認識し、今後委員会主導で十分な研修システムの構築を行い、ある程度IVRレベルの底上げがなされた時点で、再度認定制度について議論する方針となった。

会場周囲の風景

★続きはRadFan2017年8月号にてご覧ください!