CT
160mmのカバレージを有する同社のフラッグシップCT。約2年前に発売された同製品で、この度新たにアップデートされた点は8cm体軸方向の範囲でDual Energy Scanが可能となった点。従来は4cmであったためより広い範囲での撮影ができるようになった。さらに、ワークフローも改善。画像計算時間を従来より大幅に短縮させたほか、被ばくに関しても低減され、2種のX線エネルギーにも関わらず、通常のCT撮影よりも低被ばくを実現。Dual Energy Scanningのペネルティーとされていた被ばく線量と運用性の双方を解決し、Dual Energyルーチン使用を可能とした。
また、開口径80cmのガントリで、受診者に安心感をもたらすのみならず、FOVも50㎝と広く、腹部の撮影などでも、吸気で膨らむ肺や欠損しやすい腎などを欠かさずに、より確実に十分撮像範囲に含めることができる。同社のみの広いFOVで、より臨床に則した装置となっている。
管電圧のスイッチングのスピードも速くなった。80kVから140kVへの切り替えは0.25msと超高速管電圧切り替えをサポートする新型ジェネレータを搭載。スピードが上がっただけではなく、エネルギーの切り替えも矩形波のように確実に行われ、より精度の高いDual Scanが可能。画質についても、GSI Xtreamによりノイズやアーチファクトが大幅に低減した低keV画像や密度画像が得られる。
これにより、単純Dual Energyにおける精度の高い脂肪組織の把握が期待される。また、空間分解能の向上による骨の描出、金属アーチファクト低減による金属部辺縁の観察も改善されており、Dual Energy検査のさらなる診断能向上に期待が高まる。さらに、新たなアルゴリズム「Hyper Drive」により高速撮像を実現。4.5cm/sのピッチでも、部分体積効果によるアーチファクトや、ストリークアーチファクトを低減し、高画質での撮像が可能。救急撮影などでの有用性も高い。
同ブースでは、コリメータと検出器も展示。検出器はX線が放射状に照射されることから、各検出部に入射されるX線が斜入しないように面の角度を変えながら設置されている。コリメータも検出器に合わせ、カーブを描いており、必要な一次線はカットせず、散乱線のみを除去できるよう、形状に工夫が施されている。日本で設計から作成までを担っており、国内の技術が踏襲されている。
Revolution CT
骨の描出能の違い
ソフトウェア「GSI Xtream MAR2.0」により金属アーチファクト低減
高速撮像でも高画質
検出器
コリメータ
CT
同社テクノロジー、「Clarity Detector」と「ASiR-V」を搭載したRevolution EVO。主にノイズ低減に重点が置かれており、ハード、ソフトの両側面に加え、ワークフローにおいて発生するノイズもカットし、あらゆるノイズの除去に注力された製品。Revolution EVOの日本での展開はないが、WISCONSIN大学と共同開発し、最適化されたプロトコルをベースに国内でもプロトコルの展開をしていく。日本でも取り組まれているQIBA(Quantitative Imaging Biomarker Alliance)であるが、装置やタイミングの違いにより生じる画像の差異を小さくし、画像をより定量化していく。
Revolution EVO
装置ごとにプロトコルを最適化。
MRI
国内薬機法未承認の3T装置。国際磁気共鳴医学会(ISMRM)で発表された「Discovery MR750w 3.0T」の上位機種で、「Discovery MR750w 3.0T」の有用性の1つでもあった臨床のみではなく研究としても用いられる点をさらに高めた。ガントリ開口径は70cm。コイルで受信した信号はすぐにアナログからデジタルに変換され、画像形成までをフルデジタルで行っている。これにより、ノイズやひずみによる画像への影響を低減している。さらに、最大128チャンネルまでの収集を可能とした。
SIGNA Architect
装置の操作はこちらで可能。
オペレータコンソール。
左右に振れるので、装置の左右どちらからでも画面を真正面から見れる。画面上で、撮影室内にいながらも撮影条件の確認が可能。
MRI
ワイドボアが特徴的な1.5TMRI装置。ボア部分は70cmと広い開口径であり、併せて寝台の幅を56cmにまで拡張。同社の3TMRI装置「SIGNATM Pioneer」のワイドボアなどの特長を受け継いだ1.5TMRI装置「SIGNA Voyager」である。受診者により快適な検査空間を提供するだけでなく、術者もポジショニングが容易になるなどワークフロー向上の一助ともなる。画質面でも、ワイドボアを有する1.5TMRI装置でありながら0.4ppm(40cmDSV)の静磁場均一性を実現。高性能なマグネットにより、高画質を可能とした。
加えて、寝台は52cmまで下げることができる。高齢な受診者の場合、検査前の寝台への移動時や、検査後に立ち上がるときなど、寝台が高いと動作が困難になることが多かったが、寝台の最低高を低くすることでカバーした。
静音化技術「SILENT SCAN」などはもちろん、同社のアプリケーション「MAGiC」も搭載。1回の撮像で、T1強調画像やT2強調画像などの7つの異なるコントラスト画像が得られる。
SIGNA Voyager。寝台は十分低い位置まで下げられる。
MRI
国内薬機法未承認であり、この度技術紹介として展示された。特に、注目したい点は開発中のコイル。ボディコイルのような形状。布団のように体にもフィットする。従来は1チャンネル175gの重量であったが、基板に小さなマイクロチップを採用し、1チャンネル45gとし、コイルの軽量化も図っている。
マンモグラフィ
敬遠される患者の痛みを軽減した新しいタイプのマンモグラフィ装置。日本でもこの10月に発表されたばかりの新製品だ。
日本を含む世界中の医師や診療放射線技師から情報を集め、受診する方および検査する方の両方のことを考えぬいたマンモグラフィをというコンセプトで開発された、GEの自信作だ。
本製品は患者の痛みを取り除き、快適に検査を受けられるようなデザインと、術者がマンモグラフィにおいて最も重要なポジショニングに集中できるようなワークフローを兼ね備えている。
また最近、とくに臨床的有用性の高いトモシンセシス機能も備えている(オプション)。異なる角度でX線を9回照射し、撮影後にASiRDBTを用いて画像再構成することで、任意の複数断層画像を一度に得ることができる。従来の画像と比べ、アーチファクトも除去でき、よりクリアな画像の提供が可能となる。
Senographe Pristina
マンモグラフィ
SPECT/CT
世界で初めてCZT (テルル化亜鉛カドミウム) 検出器を搭載した全身用SPECT/CT装置だ。CZT半導体検出器はガンマ線を直接電気信号に変換することで、効率がよく、高精度の信号処理を可能とした。
その結果、高分解能、散乱線成分低減による低ノイズ画像が得られ、さらに高エネルギー分解能により、エネルギーピークの弁別が容易となり2核種同時収集検査の精度が向上した。これは今まではパーキンソン病の診断は、従来は脳血流シンチとダットスキャンの検査を別の日に実施していたが、1日で両検査を実施することができるようになったということである。
さらにメリットとして、被ばく量や検査時間を従来の1/2にするなど、患者の負担を大きく軽減した点は特筆すべきところだ。
また搭載されているCTは、16列となっており、逐次近似画像再構成法である“ASiR”も使用でき、被ばく低減にも寄与している。
Discovery NM/CT 670 CZT
CZT検出器とコリメータ
核医学
半導体検出器を搭載した新たなタイプのPET/CT。日本でも今年8月に発売された同製品は、新しく半導体検出器“LightBurst Digital Detector”を搭載することでTOF (Time of flight) 時間分解能を向上させ、解像度を従来の2倍にまで向上させた。これにより、従来のPETではできなかった微小の構造体が描出できるといわれている。またコンプトン散乱リカバリーという新技術の開発により感度、NECRを約20%向上させ、従来の検査時間を1/2にした。また被ばく量も1/2に抑えたところも大きな進化といえる。さらに “Q.Clear“も搭載、ノイズを抑えながら高画質と高定量精度を可能にした。
また搭載されているCTは、Revolution EVOが元になっている。そのため最新逐次近似画像再構成法である“ASiR-V”も使用でき、更なる被ばく低減にも寄与している。
SiPM半導体検出器
Discovery MIの画像。1/2の検査時間なので研究により時間がかけられたり、患者を診ることにも時間がかけられる。またより進んだプロトコールの発展にも多くの時間を割ける。
IT
GEのヘルスケアITブースでは、新たな組織名である“Healthcare Digital”のもと、病院の生産性、診療品質の向上に向けた既存製品の新たなバージョンの展示、今後活用が期待される医用画像解析やクラウドを用いた情報分析・共有などの新たなDigitalソリューションが紹介された。
今回GEは、ディープラーニングを用いた医用画像解析・診断支援の技術開発に関する病院との提携などをもとに、より深くこの領域での研究開発を行うことを発表した。例をあげると、UC San Francisco校とは、気胸に関する診断支援。またBoston Children病院においては、小児の脳関連疾患における画像診断支援を共同研究していくということだ。
また情報の共有や分析を行うクラウドベースのソリューションの発売に関するアナウンスも行った。
具体例をあげると、PACSやRISのデータを収集して放射線部門における装置の利用状況、検査の待ち時間、再撮影の頻度や読影の効率などの情報を分析できるCentricity Insights。CDなどの可搬媒体で行っていた医用画像の提供がクラウド上で可能になるCentricity 360 Case Exchange。これらの新たなソリューションは他の病院との連携もはかり、よりロスをなくし、効率化をはかるものだ。
Centricity 360 Case Exchangeのコメント入力画面
新たなバージョンであるCentricity Universal Viewer Ver.6 Sp.5は、臨床現場で働くお客様の声をもとに新たな機能が追加され、3D解析はもちろん、より一層つかい易さに磨きがかかった。スピーディで高品質な読影を可能にするため、直感的でシンプルな操作性で作業負担を軽減し、3Dや腫瘍計測などの高機能アプリケーションも装備、より高度な画像診断支援を実現した。
X線
天吊式でもなく、床置式でもない、多目的X線撮影装置。レーザーガイドのモバイル型Cアームであり、床を自由に移動できるタイプだ。
モニターや照明などのレイアウトには束縛されず、いろいろな撮影・治療が可能だ。患者様にも様々なアプローチができる空間を有し、状況に応じて最適なワークフローを実現している。
FPDは40×40cmで、広範囲にわたる撮影ができるので、いろいろな領域での臨床現場に応用が可能だ。
さらにInnova Dose Reportsにより、適切な線量使用の判断や使用線量のモニターおよび管理、レポーティングの提供も可能になっている。また検査中もリファレンスモニタにDose mapが表示され、手術中にも確認が容易だ。アーム角度情報に応じた 想定線量分布もグラフィック表示ができるのも非常に好評であるという。
ランプ部分でシステムの状態を表現している。術者は手術中でも一目で確認できる嬉しい機能だ。
超音波診断装置
超音波診断装置
世界でもっとも売れている、超音波装置。その台数はワールドワイドでなんと17,000台を数える。約5年でこの台数で、2位は10年で16,000台なので、LOGIQ E9の人気の高さがうかがえる。
LOGIQ E9には、S/Nの高いシングルクリスタルをコンベックスプローブに採用したXDclearプローブを新たに搭載。分解能とペネトレーションの両立を実現している。
また低侵襲でより正確に診断や治療効果判定、フォローアップが行える、Volume Navigation機能も装備され、同一モニタ上にCT画像をReference表示しながら、造影検査を行うことが可能になった。
さらには検査時間を短縮し、検査を標準化するScan Assistant 機能も搭載されている。無理な姿勢をとらなくても検査に集中できる、フローティングキーボードやフレキシブルな大型モニターなど、世界1位がうなずける超音波装置になっている。
LOGIQ E9 XDclear 2.0
XDclearプローブ
○GE Healthcare URL:
http://www3.gehealthcare.co.jp/ja-jp/events/rsna2016